マンション管理費等の滞納の問題。マンションの管理費等が滞納した場合、回収手段について。

最終手段。

「建物の区分所有等に関する法律」で、マンションの管理費等の確保のために認められた法的保護。

先取特権(7条)−順位・効力については共益費用の先取特権とみなす。

この先取特権の対象は、マンションの区分所有権自体(共用部分、敷地利用権含む)とマンションに備え付けた動産です。先取特権行使の順序として、まず動産から実行しなければなりません(民法335条)。しかし、執行可能な動産は極めて少なくなっており、動産執行自体、効果があまり期待できません。また先取特権は、住宅ローンなどの登記した抵当権に後れます。したがって、競売することもできますが、住宅ローンなどの抵当債権は先取特権に優先し、昨今の不動産価格が下落している状況では、競売価格が抵当債権額を下回ることも多く、競売手続きが取消されて実効性に乏しいといえます。

住宅ローンなどの抵当権者が抵当権を実行した場合、その配当手続きに加わって配当請求を行いますが、やはり競売価格が抵当債権額を下回れば配当してもらえないこととなります。

特定承継人の管理費等支払義務(8条)

それに対し、特定承継人に対する請求権は有力な武器となります。管理費等の滞納者が所有している区分所有権が、滞納のまま売買等(競売含む)で譲渡された場合、元の区分所有者だけでなく新たに区分所有者となった者(特定承継人)に対しても滞納管理費等を請求することができます。新しい区分所有者は、管理費等の滞納があることを知らなくてもその支払を拒むことはできません。

通常の売買であれば、宅地建物取引主任者(仲介業者)がその点につき説明することとなり(重要事項説明書に記載されます)また、競売の場合、通常、競売物件の調査報告書には、滞納管理費等のあることが明記されるので(記載がない場合は、記載を促す上申書を裁判所へ提出する)、マンション(区分所有権)を買受けた人・競落した人は、滞納管理費等があることを知って、マンションを競落することになります。したがって、そのマンションを買受けた人・競落した人に滞納管理費等を支払ってもらうことができます。逆に言えば、マンションを買受ける人・競落する人は、滞納管理費を支払う覚悟で買受ける・競落する必要があります。

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