相続時精算課税制度(ポイント・注意点)

趣旨は、親から子への贈与を促し、子の消費活動によって、すこしでも景気の振興を図ろうとするもの。

65歳以上の親から20歳以上の子(養子含む)への贈与。子が亡くなっているときには20歳以上の孫(推定代襲相続人)を含む。

贈与財産に制限はない。

住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例(平成2612月まで)の場合、65歳未満の親からの贈与でも可。

特別控除額2500万円。超えた部分につき20%課税。住宅取得等資金の贈与については別途、控除(1000万円など)あり。

それぞれの親ごとに選択可能、子についても兄弟姉妹それぞれ別々に選択可能。

もともと相続税課税が予想されないような場合は、有効に利用できる。

この制度は、相続時に精算する制度なので、相続税課税が予想される場合は適用には注意を要する(不利になる場合があります)。

(住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例の適用は、従来の住宅取得等資金の贈与の特例zouyotoku.htm などと比較し、検討する)

一度適用すると、その贈与者が死亡し相続が開始するまで、その贈与者の適用者に対するすべての贈与につき、適用となる。適用になった贈与すべてが、相続時に遺産に加算され、相続税として精算。

適用された生前贈与財産につき、その全額が現実の遺産に加算され、その課税財産としての価額は贈与時の価額とされる。

(例えば、相続時になくなってしまう可能性のある財産(例えば、事業用機械等)を、この制度を利用して贈与した場合、相続時、贈与時の時価で相続財産に加算されるため、この点では不利となります)

一度適用すると変更できない。

一度適用すると、その贈与者からの翌年以降の贈与については、贈与税の基礎控除(110万円)の適用はなくなる

将来、相続税の基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人の数)が減額された場合、課税範囲が拡大し、相続税課税はないと思っていたところ、課税ありになる可能性がある。(こわー)

後継者の子へ事業承継する場合、有効に利用できる場合がある。

適用するためには、税務署への届出、申告が必要。期限内届出申告が必要

相続時精算課税制度を選択した場合、その贈与者の相続発生時まで、この贈与者と受贈者との関係は、相続時精算課税制度が続き、やはり期限内申告が必要(翌年以降の贈与につき110万円の基礎控除はないため、110万円以内の贈与でも申告が必要)。

基礎控除110万円がある暦年課税は、贈与を受ける人が基準で、例えばAさんが、同年に、Bさんから100万円贈与を受け、Cさんからも50万円贈与を受けた場合、Aさんが受けた贈与は合計150万円となり、基礎控除の110万円は超え、通常、申告納税が必要。

相続時精算課税制度は、贈与者(特定贈与者)が基準となり、例えばAさんが、同年に、父Bさんから1500万円贈与を受け、Cさんから100万円の贈与を受けた場合、父Bの贈与について(要件を満たせば)相続時精算課税制度を利用することができ(2500万円控除)、Cさんについては暦年課税(110万円基礎控除あり)でいける。相続時精算課税制度の2500万円控除は累計であり、翌年、Aさんが父Bさんから1000万円贈与を受けた場合、当然、相続時精算課税制度適用(昨年、父Bを特定贈与者として相続時精算課税制度を利用しているので)となり、昨年の1500万円と合わせて2500万円なので、2500万円の控除内となる。ただし、父Bについては2500万円控除を使い切ったので、次の年からはAさんは父B(特定贈与者)からの贈与については控除がなくなる(110万円控除もない)。他の人からの贈与は暦年課税で110万円控除あり。母Bからの贈与で相続時精算課税制度を利用する場合は、父Bとは別で2500万円控除あり。

 

参考)贈与税速算表

平成1511日以後

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

 

200万円を超え300万円以下

15%

10万円

300万円を超え400万円以下

20%

25万円

400万円を超え600万円以下

30%

65万円

600万円を超え1000万円以下

40%

125万円

1000万円を超え

50%

225万円

 

参考)相続税速算表

平成1511日以後

 

税率

控除額

1000万円以下

10%

 

3000万円以下

15%

50万円

5000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

3億円以下

40%

1700万円

3億円超

50%

4700万円

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