所有権の更正登記(まとめ) 参考 shoyuukenkousei.htm

・単有名義を共有名義に更正する(AをA 2分の1・B 2分の1に更正)

・共有名義を単有名義に更正する(A 2分の1・B 2分の1をA単独名義に更正)

<ポイント>

所有権移転登記(相続を除く)の更正の場合、前所有者が義務者として加わる。したがって、前所有者の印鑑証明書と登記済証が必要になる。相続を原因とする所有権移転登記の更正は所有権保存登記の更正と基本的に同様。

利害関係人に注意。例えば、更正前の所有権全部に抵当権などの担保権が設定されている場合、その抵当権者は利害関係人となる。単有名義を共有名義に更正する場合で、更正前の所有権に地上権などの用益権が設定されている場合、その地上権者は利害関係人となる。更正登記する場合、その利害関係人の承諾書が必ず必要。下記の表参照 clickR

そして、更正登記されると、職権で抵当権の範囲を縮小する。例えば、A名義をA・B共有名義に更正すると、更正前所有権全部に及んでいた抵当権は、Bの持分には及ばなくなる(職権更正)。また、A・B共有名義をA単独名義に更正すると、抵当権は、更正前のA持分にしか及ばなくなってしまう(職権更正)。もともと所有権全部に及んでいた抵当権が縮小されてしまうため抵当権者の承諾書が必要となる。地上権の場合、職権で抹消される。

所有権の差押権者、仮登記権利者は、抵当権に準じて考える。

・持分のみの更正(A2分の1、B2分の1をA4分の1、B4分の3に更正)

<ポイント>

上記と異なり、前所有者は出てこない。

更正前の所有権全部に抵当権が設定されている場合でも、その抵当権者は利害関係人とならない。更正前の所有権に地上権などの用益権が設定されている場合も、その地上権者は利害関係人とならない。

手続

所有権保存登記の更正の場合(単有を共有に更正)

AをA・Bに

 

添付書類

登記手続

(金融機関などの抵当権が設定されている場合)

1、所有権更正登記

権利者B

義務者A

登記済証(権利書)

Aの印鑑証明書

Bの住民票の写し

(A・Bの司法書士への委任状)

抵当権者(金融機関)の承諾書(金融機関の代表者の資格証明書・代表者の印鑑証明書付)

更正登記されると抵当権の範囲は職権でA持分のみとなる。

 

 

所有権全部に抵当権の効力を及ぼそうとすると持分に追加設定が必要

2、持分抵当権設定登記(追加)―B持分抵当権設定

抵当権追加設定契約書(原因証書)

更正登記の登記済証(権利書)

Bの印鑑証明書

(金融機関とBの司法書士への委任状)

金融機関の代表者の資格証明書

共同担保目録

所有権移転登記(相続を除く)の更正の場合(単有を共有に更正)

AをA・Bに

 

添付書類

登記手続

(金融機関などの抵当権が設定されている場合)

1、所有権更正登記

権利者B

義務者Aと前所有者

登記済証(権利書)

Aの印鑑証明書

Bの住民票の写し

(A・Bの司法書士への委任状)

抵当権者(金融機関)の承諾書(金融機関の代表者の資格証明書・代表者の印鑑証明書付)

前所有者の印鑑証明書と登記済証(と司法書士への委任状)

更正登記されると抵当権の範囲は職権でA持分のみとなる。

 

 

所有権全部に抵当権の効力を及ぼそうとすると持分に追加設定が必要

2、持分抵当権設定登記(追加)―B持分抵当権設定

抵当権追加設定契約書(原因証書)

更正登記の登記済証(権利書)

Bの印鑑証明書

(金融機関とBの司法書士への委任状)

金融機関の代表者の資格証明書

共同担保目録

所有権保存登記の更正の場合(共有を単有に更正)

A・BをAに

 

添付書類

登記手続

(金融機関などの抵当権が所有権全部に設定されている場合)

1、所有権更正登記

権利者A

義務者B

登記済証(権利書)

Bの印鑑証明書

(A・Bの司法書士への委任状)

抵当権者(金融機関)の承諾書(金融機関の代表者の資格証明書・代表者の印鑑証明書付)

更正登記されると抵当権の範囲は職権で更正前のA持分に縮小される

 

 

抵当権の効力を所有権全部に及ぼすためには右の登記が必要

2、抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更

抵当権追加設定契約書(原因証書)

更正登記の登記済証(権利書)

Aの印鑑証明書

(金融機関とAの司法書士への委任状)

金融機関の代表者の資格証明書

 

所有権移転登記(相続を除く)の更正の場合(共有を単有に更正)

A・BをAに

 

添付書類

登記手続

(金融機関の抵当権が所有権全部に設定されている場合)

1、所有権更正登記

権利者A

義務者Bと前所有者

登記済証(権利書)

Bの印鑑証明書

(A・Bの司法書士への委任状)

抵当権者の承諾書(金融機関の代表者の資格証明書・代表者の印鑑証明書付)

前所有者の印鑑証明書と登記済証(と司法書士への委任状)

更正登記されると抵当権の範囲は職権で更正前のA持分に縮小される

 

 

抵当権の効力を所有権全部に及ぼすためには右の登記が必要

2、抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更

抵当権追加設定契約書(原因証書)

更正登記の登記済証(権利書)

Aの印鑑証明書

(金融機関とAの司法書士への委任状)

金融機関の代表者の資格証明書

更正登記の原因は「錯誤」。

登録免許税は、所有権の更正が不動産1個につき1000円、抵当権に関する登記が不動産1個につき1500円(登録免許税法第13条2項)。

100条2項により所有権保存登記されているA単有名義を、A・B共有名義に所有権更正登記する場合、表題部所有者(敷地権たる権利の名義人)の所有権譲渡証明書・承諾書(印鑑証明書付、法人の場合代表者の印鑑証明書・資格証明書付)が必要になります。

利害関係人

AをA・Bに更正

抵当権者

なる(職権更正)

 

地上権者

なる(職権抹消)

A・BをAに更正

抵当権者

なる(職権更正)

 

地上権者

 

A持分抵当権者

ならない(注意的に登記)

 

B持分抵当権者

なる(職権抹消)

A2分の1、B2分の1をA4分の1、B4分の3に

抵当権者

ならない

 

地上権者

ならない

 

A持分抵当権者

なる(職権更正)縮小

 

B持分抵当権者

ならない(注意的に登記)

所有権の差押権者、仮登記権利者は、抵当権に準じて考える。

用益権者は、地上権者に準じる。

・登記原因の更正(例えば、贈与を売買に訂正する)

前所有者が義務者で、現所有者が権利者となる。登録免許税は、更正前の原因と更正後の原因の差額を納めるため、定率課税となる場合がある。多く納めているときは、定額課税(不動産1個につき1000円)となる。