会社設立の際の現物出資について
個人事業者が法人成りする場合、事業に使用していた個人所有の什器備品等(机、パソコン、自動車など)を、会社へ移転する手段として、設立の際に、現物出資を利用することができます。
会社設立の際、株式会社は最低1000万円、有限会社は最低300万円の資本金が必要となり、その出資は、金銭もしくは物(現物)ですることになり、出資した人は、株式会社では株主、有限会社では社員ということになります。
例えば、資本金を金銭で250万円用意し、あと業務用として使用していた自動車を60万円で出資すれば、資本金310万円として有限会社を設立することができます
(資本金以外の設立費用
seturituhiyou.htm )。・金銭で出資した場合―金融機関に保管してもらい、保管証明書を発行してもらう
・現物出資した場合―財産引継書を作成する
現物出資する際の注意点
1、定款に定めた現物出資の価格が、資本金額の5分の1を超えるか、もしくは500万円を超える場合、裁判所選任の検査役の調査が必要となります。検査役の調査が必要となると余分に費用と時間がかかることになります。
資本金額の5分の1以下でかつ500万円以下の場合は、検査役の調査は不要となり、通常この範囲で現物出資をします。
その他、取引所の相場のある有価証券や不動産について、一定の場合、検査役不要の特例があります。
2、譲渡所得税や贈与税が課税される可能性があるため、適正な価格(時価相当額)でおこなうようにする(特に不動産の場合)。
3、現物出資をした場合、定款にその内容を記載する必要があります。
定款の例(有限会社)
第8条
現物出資をする者の氏名、出資の目的たる財産、その価格およびこれに対して与える出資の口数は次のとおりとする。
1、現物出資をする者の氏名
2、出資の目的たる財産の表示およびその価格
自動車一台
車名・型式・車台番号・登録番号この価格
金何万円以上に対して与える出資の口数
何口
(株式会社の場合は、出資の口数が、株式の額面・無額面の別、種類および数になります)
4、その他、財産引継書の作成が必要になり、また取締役・監査役の調査事項になります。