Q&A(司法書士)
・司法書士の報酬の計算について(1件とは)
Q1(平成11年)
・司法書士の報酬について(高い?) Q2(平成11年)
・司法書士によって報酬が異なる? Q3(平成11年)
・司法書士で食べていける? Q4(平成12年)
注)追記―平成15年、司法書士の報酬基準は撤廃され、各司法書士がその責任において、それぞれ各司法書士の報酬が明示されることとなります。したがって、現在、下記の報酬部分のところは適用がありません。
(報酬)
Q1、貴ホームページを見て、報酬について質問があります。登記の報酬で1件とは、どういうとらえ方をするのでしょうか?例えば、土地2筆と土地上の建物1件の所有権移転登記をお願いした場合、まとめて1件として、不動産の個数が3個なので、基本報酬、手続報酬ともに、報酬表の額に1個について970円を加算すれば良いのでしょうか。(平成11年)
例えば
土地A 評価額400万円
土地B 評価額300万円
建物 評価額250万円の場合、
400+300+250=950万円
基本報酬 17,420円(15,480円+970円×2)〜21,110円(19,170円+970円×2)
手続報酬 6,840円(4,900円+970円×2)
という考え方で良いのでしょうか?よろしくお願い致します。
A1、1件とは、申請件数のことで、所有者甲さんから乙さんへ土地2筆と土地上の建物1個の所有権移転登記であれば、1申請で可能ですから、1件になります。
これが、土地については、乙さんへ移転、建物については丙さんへ移転ということになれば、土地について1申請、建物について1申請となりますので、2件となります。申請件数が増えれば、報酬額も増えます。
課税価格が950万円であれば、基本報酬15,480円以上19,170円以下
手続報酬4,900円
最低で計算すると、15,480円+4,900円+2,000円(個数加算)=22,380円(1件)
個数加算は最後にします。
それに、謄本代や売渡証書を作成した場合の報酬などを加えることができます。また、立会をした場合(担保抹消・移転・担保設定など連件一括処理事案)は、基本報酬と手続報酬の合計額に15%以内の金額を加えることができます。その他事案によっては、日当などがかかる場合があります。
報酬には5%の消費税がかかります。
もちろん実費として登録免許税や登記印紙代はかかることになります。(平成11年)
ちなみに土地は、固定資産台帳に登録された価格に3分の1を乗じたものが課税価格になります。
(司法書士報酬額基準にてらせば上記のとおりですが、司法書士報酬額基準はあくまでも「基準」であり、司法書士に対して強制力があるわけではなく、報酬は、各具体的事案、各司法書士によって異なります)
Q2、マンションを購入予定です。現在、不動産屋と各種登記費用について相談させていただいております。先方から、紹介された司法書士の方から、不動産屋を経由して、登記費用の報酬について見積をいただきました。報酬は下記内容ですが、これが私には少し法外な金額に思えてならないので、アドバイスを頂ければ幸いです(貴殿のホームページの報酬のところを参考にしました)。不動産屋に聞いても、高いか安いか全然分からないとの解答でした。課税標準額(購入価格)2000万 支払方法 頭金1500万円 住宅金融公庫でのローン500万円ただしつなぎ融資は使わないで、契約時は2000万を一括支払い。物件は中古物件です。(平成11年)
所有権移転登記 報酬 40,600円(報酬は最高でも21,980+4,900円だと思うのですが)
抵当権設定登記 報酬 23,000円
書類作成・抄本 報酬 16,400円(報酬の内容は何なのでしょうか)
立会 報酬 15,000円
合計 報酬 95,000円
消費税 4,750円 その他実費が20万円ぐらい
A2、立会(所有権移転・抵当権設定などを続けてする場合で、関係当事者の会する場に出席し、手続の説明、書類の確認等をする連件一括処理事案)の場合、個々の事件の基本報酬と手続報酬の合計額に15%以内の金額を加算することができます。また区分建物(通常マンション)で敷地権(土地)の移転の効力があるもの(敷地権付区分建物)は1万円ほど加算することができます。したがって、例えば課税標準価格が1000万円超えているとして、基準(基本報酬と手続報酬の合計)が26,700円ぐらい、それの15%増で、30,700円それに1万円プラスするとちょうど報酬額程度になります。報酬 houshuu.htm
抵当権設定も同様に15%以内の金額を加算することができます。基準が債権額500万円として、18,900円ぐらいそれの15%増で21,700円、それに不動産の個数加算(土地が1個だと970円)をすると報酬額程度になります。(債権額500万円まで基本報酬 11,210円以上14,220円以下+手続報酬 4,900円)
書類作成・抄本は、抵当権設定契約書の補完や、登記簿謄本・図面の取得に関する費用などだと思います。
立会報酬(15%以内加算とは別の日当的なもの)については、基準がなく、いくらかははっきりしていないのですが、これぐらいの費用であれば、不当に高いとはいえないと思います。日当として、半日で24,270円以内の報酬が請求できることになっています。
司法書士の報酬は、加算方式になっており、基本的な基準だけから判断すると高く感じるかもしれません。また、事案の難易度や各司法書士によって差が出てくるものです。もし納得がいかないようであれば、直接担当の司法書士に問い合わせてください(取引当日ではなく事前に)。報酬についての説明は司法書士の義務になっています。
(感覚として「法外」ということですが、司法書士の仕事は、非常に細かいところまで神経を使わないといけない場合が多く、またリスクも負っているということで、理解して下さい)
ちなみに課税標準価格は売買代金とは異なります。課税価格 kazeikakaku.htm
(司法書士報酬額基準にてらせば上記のとおりですが、司法書士報酬額基準はあくまでも「基準」であり、司法書士に対して強制力があるわけではなく、報酬は、各具体的事案、各司法書士によって異なります)
できるだけ正確に答えているつもりですが、メールでの質問でもあり、勘違いしている点があるかもしれません。その点ご了承ください。(平成11年)
Q3、マンションのローンの支払いが終了し、抵当権抹消登記の案内が銀行からあり、司法書士に依頼して下さいということなので、費用はいくらぐらいかかるのかと思い、その銀行に問い合わせると、「だいたい司法書士に依頼すると3万円ぐらいかかります」と言われました。その時は、そんなにするのであれば、自分でやろうかなと思いました。念のため電話帳で調べ、近くの司法書士に問い合わせると、4万円ほどという司法書士もいれば、1万5000円ぐらいという司法書士の方もおられました。実際、その司法書士に依頼し、1万5000円で抹消登記をしてもらいました。司法書士の報酬には基準があるということですが、なぜこのような差がでてくるのでしょうか。(平成11年)
A3、具体的な登記費用は、不動産の所在地や個数、不動産の評価額、登記簿の内容などがはっきりしないと計算することはできません。したがって、単純に「抵当権を抹消するのにいくらかかる」とか「相続登記はいくらぐらいかかるの」と質問された場合は、答えることはできません。その場合は、事案を具体的に聞き出し、概算を計算します。マンションなどの場合、その底地が何筆もある場合があり、概算の段階ですこし高めにいう場合があります。抵当権の抹消登記で、3万円という概算でも、実際の請求の段階では、2万円以内におさまる場合もあります。
(登記費用という場合、登録免許税など実費を含めたものを指しますので、それがすべて司法書士の報酬というわけではありません。むしろ実費の方がはるかに高い場合が多くあります)
一応、司法書士には、報酬についての基準はあるのですが、あくまでも基準であり(強制力はない)、また付随報酬を含めるかどうかなどによって、同じ事案でも各司法書士によって多少違いがでてきます。
一般的には、報酬基準を超えて高くするというのは、あまりないと思います(基準を超えて不当に高くした場合は、司法書士会からおとがめがあります)。私の場合は、報酬基準に照らして単純に計算した結果、労力やリスクを考え、少し高いかなと思えば、基準よりも安くする場合もあり、また「この事案は、苦労したな」ということであれば、日当など付随報酬で調整したりします。(平成11年)
(司法書士)
Q4、司法書士をめざして試験勉強をしている者ですが、「司法書士では食えない」という話を聞きました。実際のところ、開業してやっていけるものなのでしょうか。(平成12年)
A4、どのように答えていいのか悩む質問ですが、現に司法書士という職業があり、それで生活していますので、やっていけるというのが結論になります。ただ、よく受験関係の本に「高収入」とか謳ってあるものがありますが、開業して、すぐやっていけるという人は少ないと思います。強力なこね(銀行や不動産会社とかに)がなければ、最初は挨拶回りなどある程度営業をし、依頼のあった仕事をこつこつこなし、信頼関係をつくっていかなければなりません。そして、その後高収入になるかどうかは人それぞれ(やり方など)ということになります。開業の際、先輩司法書士から「3年は辛抱しなさい」といわれました。
現状は、不動産登記を仕事の中心にしている司法書士が大部分で、最近の不動産取引の減少は、そのまま仕事の減少となり、司法書士全体では収入減となっていると思われます。長年司法書士をされている先生も経費削減に苦慮されているようです。しかしその反面、新しい風も吹き始め、例えば、クレサラ問題に積極的に取組む司法書士が増えたとか、成年後見制度の骨格ができはじめそれに取組む司法書士も増えてきている、など。
資格取得後のかたちとして、すでに開業して仕事が安定している事務所内で司法書士としてやっていくのもあれば、合同事務所でやっていく方法などいろいろな形があると思います。人から強制されるのではなく、自分の考え・判断でできるというところが独立業の魅力の一つだと思います。
資格取得をなぜめざしたのかということころを大切にしてがんばってください。(平成12年)