南海奇皇「恋のバカんしゅ」裏話


その1.「恋のバカんしゅ」の謎
その2.ゲストキャラ・名前の謎


「恋のバカんしゅ」の謎
とりあえず、バロウ語ではありません(笑)。

『南海奇皇』のサブタイトルは、一応各担当ライターがつけます。
が、最終的には原作の會川さんが決定することになっています。
私がこの話につけたサブタイトルは「海潮の悲劇・海上編」。
実は最初の頃、「サブタイトルには三姉妹の名前を入れよう」という方針があったのです。
(川崎ヒロユキ氏が担当した「キタとミナミ」などが典型的な例です)
その方針に沿って、私も「海潮」の名を入れた訳です。
しかしこの方針は、この話の決定稿が出た後に消滅してしまいました。
方針が消えれば、自由にサブタイトルをつけられます。
ここで會川氏は「恋のバカンス」というサブタイトルを提示してきました。
別にこのサブタイトルでもよかったのですが、この話は「九州編」の第1話。
どこか九州的なテイストを出したかったのです。

「だったら、『恋のバカんしゅ』はどうでしょうか?」

九州地方の方言では、形容動詞の語尾が撥音便化して、「ん」になることがあります。
また「し」は、「衆」すなわち「人々」「連中」を意味します。
「バカんし」で「馬鹿な連中」という意味になります。
これに「ゅ」をつけることで、「バカンス」的な雰囲気も出そうとしたのです。

私の提案は受け入れられ、この話のサブタイトルは「恋のバカんしゅ」となりました。
意味としては「夏休みに恋に現を抜かす馬鹿な連中」といったところでしょうか。
自分では気に入っているんですが、やはり多くの人には意味不明なサブタイトルだったようで……
当然と言えば、当然ですけどね(笑)

ゲストキャラ・名前の謎
この話から始まる、いわゆる「九州編」には何人かのゲストが登場します。
名前のついてるキャラは以下の通り。

海江田吾郎
祁答院貴子
市来
上水流
木室卓哉
苫米地辰次
苫米地佳恵

このうち、木室は第16話を担当した稲荷昭彦さんのネーミング。
苫米地夫妻は會川さんのネーミングです。
残り四人は、基本的には私がつけた名前です。
ただ「海江田吾郎」については、最初は「伊吹」という名字をつけていました。
「伊吹吾郎」ですね(ああ、まるで俳優の名前……(^^;))
最終回近くに「イブキ」という虚神が出てきますが、そういった虚神を守ってきた一族という意味でつけたのです。
ですが「この段階でその名を出すのはまずい」との會川さんの判断により、「海江田」に変更されました。
「海江田」としたのは會川さんです。

祁答院貴子。
名前に関してはすぐに思いつきました。
そう、第9話の裏話で出てきた、実在の安藤夫妻の次女の名前が「貴子」なのです。
名字に関しては、何とか九州っぽくしたいと色々考えました。
九州っぽい名前(?)の代表格というと「伊集院」。
ですがこの名字、あまりにあちこちで使われていて、新鮮味がない気がします。
他であまり使われてなくて、いかにも九州っぽい名前……
考えるうちにポンと浮かんだのが、鹿児島にある「祁答院(けどういん)」という地名。
それをそのまま拝借しました。
読みづらい、との声もありましたが、そこがいかにも九州っぽくて、いいんじゃないでしょうか(^^;)。

市来、という名字は、他の地方ではあまり見かけませんが、鹿児島ではごく普通の名字です。
脇を固める九州キャラにはふさわしい名字でしょう。
シナリオ執筆中は、高校の同級生・市来雅至君をイメージして書いていました。
が、実際に画面に現れた風貌は、学生寮の先輩・市来国資さんに似てました。
上水流(かみづる)は鹿児島でも頻繁に見る名字ではありませんが、他では全く見かけません。
中学時代の同級生にこの名字がいました。
彼のことをちょっぴりイメージして書いてます。

市来雅至君は、大学も同じだったので、たまに消息を聞く機会もあります。
上水流君は元気でやってるのかな〜〜?


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