「直し」は、直すべき箇所の分量によって「小直し」「中直し」「大直し」「全直し」に分けられます。 「小直し」とは、要するに『ほとんど直す箇所がない』という事です。 ストーリー展開とか、構成には問題なし。 せいぜい「このセリフとこのセリフがちょっと引っ掛かる」という程度の直しです。 この程度の直しだと、 「直しをFAXしてもらったら、決定稿にしましょう」 となります。 会議のその場で、原稿に直しを書き込んで決定稿、という場合もあります。 「小直し」で済めば、脚本家にとってはラッキーです。 「中直し」とは『全体的には問題ないが、個々のシーンや構成とかに若干の問題がある』場合。 「このシーンは、こうした方がいいのでは?」「こことここは、入れ替えた方がいいのでは?」とかです。 「中直し」の場合、もう一度シナリオ会議が開かれます。 次の会議で「小直し」が出て、そして決定稿という流れになります。 このパターンが実際には一番多いのではないでしょうか? 「大直し」になると『大きな部分で問題がある』ということです。 脚本の半分以上の箇所に手を入れなければなりません。 かなりの労力がかかります。 「全直し」が出ると、目の前が真っ暗になります。 要するに『全部直さなければならない』という事ですから。 新しく脚本を書くのと同じ労力がかかるのです。 これは、プロットに問題があるのに、誰も気付かずに脚本を書いてしまった場合に起こりがちです。 以上の区分については、厳密に基準があるわけではありません。 シナリオ会議の出席者の感触です。 中には、この感触が人とずれてる人もいて、 「今回は小直しだね〜」 と言いながら、ズラズラと直しの箇所を列挙…… そんな時、私は、 「そりゃ中直しだろが!」 と、心の中で突っ込んでます(^^;)。 |