脚本ができるまで.その15


直しの分量
「直し」は、直すべき箇所の分量によって「小直し」「中直し」「大直し」「全直し」に分けられます。

「小直し」とは、要するに『ほとんど直す箇所がない』という事です。
 ストーリー展開とか、構成には問題なし。
 せいぜい「このセリフとこのセリフがちょっと引っ掛かる」という程度の直しです。
 この程度の直しだと、
「直しをFAXしてもらったら、決定稿にしましょう」
 となります。
 会議のその場で、原稿に直しを書き込んで決定稿、という場合もあります。
「小直し」で済めば、脚本家にとってはラッキーです。

「中直し」とは『全体的には問題ないが、個々のシーンや構成とかに若干の問題がある』場合。
「このシーンは、こうした方がいいのでは?」「こことここは、入れ替えた方がいいのでは?」とかです。
「中直し」の場合、もう一度シナリオ会議が開かれます。
 次の会議で「小直し」が出て、そして決定稿という流れになります。
 このパターンが実際には一番多いのではないでしょうか?

「大直し」になると『大きな部分で問題がある』ということです。
 脚本の半分以上の箇所に手を入れなければなりません。
 かなりの労力がかかります。

「全直し」が出ると、目の前が真っ暗になります。
 要するに『全部直さなければならない』という事ですから。
 新しく脚本を書くのと同じ労力がかかるのです。
 これは、プロットに問題があるのに、誰も気付かずに脚本を書いてしまった場合に起こりがちです。

 以上の区分については、厳密に基準があるわけではありません。
 シナリオ会議の出席者の感触です。
 中には、この感触が人とずれてる人もいて、
「今回は小直しだね〜」
 と言いながら、ズラズラと直しの箇所を列挙……
 そんな時、私は、
「そりゃ中直しだろが!」
 と、心の中で突っ込んでます(^^;)。


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