年報52の発行は2001年5月1日であるから、2000年11月5日の捏造発覚後である。各都道府県の動向の内、北海道・岩手・宮城は、この「事態」を前提にして記述されている。当該部分を下記に引用するので、ご確認いただきたい。なお山形・福島の項は「事態」を反映していなかった。[03.6.13 正誤表に従い、岩手県を追加]

日本考古学年報52(1999年度版)

II 部 各都道府県の動向


1 北海道

旧石器時代
前・中期
 新十津川町では総進不動坂遺跡の第2次調査が実施され,石器が9点出土している。しかし,翌年度の第3次調査における出土石器が全て捏造されたものと判明した。この問題を受けて,文化庁,日本考古学協会,北海道考古学会,調査担当者は初年度からの調査を含めて検証作業を実施する必要性が生じたものとしている。ほかに,長万部花岡3遺跡では,Ko−g火山灰層より下のローム層から中期旧石器とみられる石器が3点出土したものといわれている。(p.81)


4 岩手県

旧石器時代
 岩泉町瓢箪穴洞穴の調査では、洞穴最奥部の10万年前と推定される地層から石器と獣骨がセットで発見されたが、今後検証が必要と思われる。(後略…以下は後期旧石器遺跡の記述が続く)(p.92)


4 宮城県

旧石器時代
 原稿執筆中に築館町上高森遺跡第6次調査の「ねつ造」事件が報道された。同遺跡の第5次調査(文献58・141-1・142)・色麻町中島山遺跡第2次調査(文献142)の評価については現時点では再調査中であり,留保したい。今後,これまで積み上げられてきた研究の根底からの検証作業が行なわれなければならないのは言うまでもない。(p.99)

index  会告: 図書の取り扱い