シンポジウムの動画記録対応 ーメモリビデオカメラー

 研究発表やシンポジウムの動画記録は、発表者のしゃべる内容と身振りの相関を窺わせて、(上手く言えないが)味気ないの反対である。字面以上に、強弱のニュアンスが伝わるのだ(録音だけだと、この効果はない)。画面は小さくてもいい。そこで「シンポジウムの動画記録対応」だ。

 研究発表やシンポジウムでは、一会場で一日に7時間強行われることがあるので、長時間記録が要求される。miniDVテープによるDVカメラは高画質だが、テープ交換が煩雑だ(テープ管理も煩雑だし、テープ代も馬鹿にならない)。そこを合理化するためには、HDDビデオカメラが最右翼だ。最高画質で7時間以上撮れる(30GBの場合、7時間20分)。もう一つの可能性はフラッシュメモリを使うタイプである。それは、デジカメの進化系として、一つのジャンルを呈している。ここではメモリビデオカメラとする。

表1.一般的な設定における各種方式ビデオカメラの比較(約は省略)
方式 メディア コーデック ビットレート 特徴 1時間容量
DVカメラ miniDVテープ DV 28Mbps 高画質 13GB
HDDビデオカメラ HDD MPEG2 最大9Mbps 十分な高画質 4GB
メモリビデオカメラ SDカード MPEG4 最大3Mbps まあ高画質 1.3GB

 メモリビデオカメラの記録方式(コーデック)には、デジカメの大部分に備わっているモーションJPEGと、長時間記録に適したMPEG4がある。問題は画像サイズ、フレームレート(fps)、圧縮率(圧縮品位)である。メーカーやカメラによって設定が異なるが、大まかに表にしてみた。

表2.メモリビデオカメラにおける各種設定の比較(約は省略)
画像サイズ fps 圧縮品位 コーデック ビットレート 内、音声レート 1時間容量
640×480 30 H モーションJPEG 11.3Mbps63kbps(PCM) 5.3GB
320×240 30 H モーションJPEG 5.3Mbps63kbps(PCM) 2.3GB
320×240 15 L モーションJPEG 1.4Mbps63kbps(PCM) 650MB
640×480 30 H MPEG4 3.1Mbps 125kbps(AAC) 1.5GB
640×480 30 L MPEG4 2.1Mbps 125kbps(AAC) 1GB
320×240 30 H MPEG4 850kbps 125kbps(AAC) 380MB
320×240 15 H MPEG4 600kbps 125kbps(AAC) 270MB

 仮に2GBのSDカードを使うとして、収録時間が7時間を超えるのは、表の最後のMPEG4・320×240・15fpsの場合だけである。2GBで収録時間が2時間30分(休憩時間を除く、シンポジウムの連続時間に相当)を超えるのは、モーションJPEG・320×240・15fps(3時間)か、MPEG4・320×240・30fps(5時間20分)、あるいはMPEG4・320×240・15fps(7時間40分)になる。

 実際の選択条件としては、音声品位が重要なので、MPEG4カメラの方が優位だ。ステレオで音声ビットレートは125kbpsだが、コーデックはAACだ(機種はSANYOのC6)。モーションJPEGカメラは、AACのような高尚なコーデックは使っていない。

 なお1枚のメモリカードで1時間以内では、全く実用的でない。少なくとも80〜90分は連続して撮れないと、長めの講演時間に対応できない(討論は2時間を越えることもあるが)。バッテリは1時間程しか持たないが、SANYOのC6では同梱のACアダプタが使える。必要なら外部バッテリも可能だ。

結論

 新規導入なら、HDDカメラか(SONYのDCR-SR100)、メモリビデオカメラ(SANYOのC6)というのが、現時点での具体的な選択肢になる(2006年4月2日)。後者と2GBのSDカードを合わせて6万円程度である。バックアップ装置(フォトストレージ)もあるが、最大でも7時間強収録できればいいので、必要なら予備のSDカードを用意した方が安くつく。フォトストレージは3〜6万円、1GBのSDカードは1万円以下である。メモリビデオカメラは、装置の軽量性コンパクト性とコストから、HDDカメラ導入より良いのではないかと思う。現時点では選択せざるをえない、QVGAとVGAの画像サイズをどう考えるかにもよるが、外部公開の動画はQVGAが主流である。プレゼン画面の視認性については、元データからコンテンツを編集した方がいい。
シンポジウムの静止画コンテンツ

表3.最大設定における各種方式の比較(約は省略)
方式 画像サイズ 使用メディア 最大収録時間
DV 640×480(720×480) 80分テープのLPモード 2時間(プラス数分)
HDD 640×480 HDD 30GB 7時間20分(最高画質DVD相当)
メモリ 320×240 SD 2GB 7時間40分(15fps、MPEG4)

 なお、4GBのカードは将来は利用可能になると思われるが、ファイルシステムの関係で、現行機材や環境では利用できない。

※追記(06.6.11):HDDビデオカメラを数台用意するなら、レンタルでいいのだ。例えば日本レンタルカメラなら、2泊3日13,000円だ。