第3節 地方公共団体及び教育委員会

 (地方公共団体の事務)
第98条 地方公共団体は、文化財の管理、修理、復旧、公開その他その保存及び活用に要する経費につき補助することができる。
2 地方公共団体は、条例の定めるところにより、重要文化財、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財及び史跡名勝天然記念物以外の文化財で当該地方公共団体の区域内に存するもののうち重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができる。
3 前項に規定する条例の制定若しくはその改廃又は同項に規定する文化財の指定若しくはその解除を行つた場合には、教育委貞会は、文部省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を報告しなければならない。

 (地方債についての配慮)
第98条の2  地方公共団体が文化財の保存及び活用を図るために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、適切な配慮をするものとする。

 (都道府県又は市の教育委員会が処理する事務)
第99条 次に掲げる文化庁長官の権限に属する事務の全部又は一部は、政令で定めるところにより、都道府県又は市の教育委員会が行うこととすることができる。
一 第35条第3項(第36条第3項(第56条の14、第76条第2項(第95条第5項で準用する場合を含む。)及び第95条第5項で準用する場合を含む。)、第37条第4項(第56条の14及び第77条第3項で準用する場合を含む。)、第46条の2第2項、第56条の6第2項、第56条の9第2項(第56条の21で準用する場合を含む。)、第56条の14、第56条の18第2項、第73条の2、第75条、第81条の2第2項、第95条第5項及び第95条の3第3項で準用する場合を含む。)の規定による指揮監督
二 第43条又は第80条の規定による現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可及びその取消し並びにその停止命令(重大な現状変更又は保存に重大な影響を及ぼす行為の許可及びその取消しを除く。)
三 第51条第5項(第51条の2(第56条の16で準用する場合を含む。)、第56条の15第2項及び第56条の16で準用する場合を含む。)の規定による公開の停止命令
四 第53条第1項、第3項及び第4項の規定による公開の許可及びその取消し並びに公開の停止命令
五 第54条(第56条の17及び第95条第5項で準用する場合を含む。)、第55条、第82条(第95条第5項で準用する場合を含む。)又は第83条の規定による調査又は調査のため必要な措置の施行
六 第57条第1項(第57条の2第1項において準用する場合を含む。)の規定による届出の受理、同条第2項の規定による指示及び命令、第57条の2第2項の規定による指示、第57条の3第1項の規定による通知の受理、同条第2項の規定による通知、同条3項の規定による協議、同条第4項の規定による勧告、第57条の5第1項の規定による届出の受理、同条第2項又は第7項の規定による命令、同条第3項の規定による意見の聴取、同条第5項又は第7項の規定による期間の延長、同条第8項の規定による指示、第57条の6第1項の規定による通知の受理、同条第2項の規定による通知、同条第3項の規定による協議並びに同条第4項の規定による勧告
2 都道府県又は市の教育委員会が前項の規定によってした同項第五号に掲げる第55条又は第83条の規定による立入調査又は調査のため必要な措置の施行については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
3 都道府県又は市の教育委員会が、第1項の規定により、同項第六号に掲げる事務のうち第57条の3第1項から第4項まで又は第57条の6第1項から4項までの規定によるものを行う場合には、第57条の3第5項又は第57条の6第5項の規定は適用しない。
4 都道府県又は市の教育委員会が第1項のの規定によってした次の各号に掲げる事務(当該事務が地方自治法第2条第8項に規定する自治事務である場合に限る。)により損失を受けた者に対しては、当該各号に定める規定にかかわらず、当該都道府県又は市が、その通常生ずべき損失を補償する。
一 第1項第二号に掲げる第43条又は第80条の規定による現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可 第43条第5項又は第80条第5項
二 第1項第五号に掲げる第55条又は第83条の規定による調査又は調査のため必要な措置の施行 第55条第3項又は第83条第2項
三 第1項第六号に掲げる第57条の5第2項の規定による命令 同条第9項
5 前項の補償の額は、当該都道府県又は市の教育委員会が決定する。
6 前項の規定による補償額については、第41条第3項の規定を準用する。
7 前項において準用する第41条第3項の規定による訴えにおいては、都道府県又は市を被告とする。
8 都道府県又は市の教育委員会が第1項の規定によってした処分その他公権力の行使に当たる行為のうち地方自治法第2条第9項第一号に規定する第一号法定受託事務に係るものについての審査請求は、文化庁長官に対してするものとする。

 (出品された重要文化財等の管理の委任)
第100条 文化庁長官は、政令で定めるところにより、第48条(第56条の16で準用する場合を含む。)の規定により出品された重要文化財又は重要有形民俗文化財の管理の事務の全部又は一部を、都道府県又は指定都市等の教育委員会が行うこととすることができる。
2 前項の規定により、都道府県又は指定都市等の教育委員会が同項の管理の事務を行う場合には、都道府県又は指定都市等の教育委員会は、その職員のうちから、当該重要文化財又は重要有形民俗文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。

 (修理等の施行の委託)
第101条 文化庁長官は、必要があると認めるときは、第38条第1項又は第93条の規定による国宝の修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置の施行、第58条第1項の規定による発掘の施行及び第78条第1項又は第93条の規定による特別史跡名勝天然記念物の復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置の施行につき、都道府県の教育委員会に対し、その全部又は一部を委託することができる。
2 都道府県の教育委員会が前項の規定による委託に基き、第38条第1項の規定による修理又は措置の施行の全部又は一部を行う場合には、第39条の規定を、第58条第1項の規定による発掘の施行の全部又は一部を行う場合には、同条第3項で準用する第39条の規定を、第78条第1項の規定による復旧又は措置の施行の全部又は一部を行う場合には、同条第2項で準用する第39条の規定を準用する。

 (重要文化財等の管理等の受託又は技術的指導)
第102条 都道府県の教育委貞会は、所有者(管理団体がある場合は、その者)又は管理責任者の求めに応じ、重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の管理(管理団体がある場合を除く。)、修理若しくは復旧につき委託を受け、又は技術的指導をすることができる。
2 都道府県の教育委員会が前項の規定により管理、修理又は復旧の委託を受ける場合には、第39条第1項及び第2項の規定を準用する。

 (書類等の経由)
第103条 この法律の規定による文化財に関し文部大臣又は文化庁長官に提出すべき届書その他の書類及び物件の提出は、都道府県の教育委員会を経由すべきものとする。
2 都道府県の教育委員会は、前項に規定する書類及び物件を受理したときは、意見を具してこれを文部大臣又は文化庁長官に送付しなければならない。
3 この法律の規定により文化財に関し文部大臣又は文化庁長官が発する命令、勧告、指示その他の処分の告知は、都道府県の教育委員会を経由すべきものとする。但し、特に緊急な場合は、この限りでない。

 (文部大臣又は文化庁長官に対する意見具申)
第104条 都道府県及び市町村の教育委員会は、当該都道府県又は市町村の区域内に存する文化財の保存及び活用に関し、文部大臣又は文化庁長官に対して意見を具申することができる。

 (地方文化財保護審議会)
第105条 都道府県及び市町村の教育委員会に、条例の定めるところにより、地方文化財保護審議会を置くことができる。
2 地方文化財保護審議会は、都道府県又は市町村の教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、並びにこれらの事項に関して当該都道府県又は市町村の教育委員会に建議する。
3 地方文化財保護審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。

 (文化財保護指導委員)
第105条の2 都道府県の教育委員会に、文化財保護指導委員を置くことができる。
2 文化財保護指導委員は、文化財について、随時、巡視を行い、並びに所有者その他の関係者に対し、文化財の保護に関する指導及び助言をするとともに、地域住民に対し、文化財保護思想について普及活動を行うものとする。
3 文化財保護指導委員は、非常勤とする。

 (事務の区分)
第105条の3 第70条第1項及び第2項、第71条第1項並びに第70条第3項及び第71条第4項において準用する第69条第3項及び第4項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第2条第9項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。


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