第3章 有形文化財

第2節 登録有形文化財

 (有形文化財の登録)
第56条の2 文部大臣は、重要文化財以外の有形文化財(第98条第2項に規定する指定を地方公共団体が行っているものを除く。)で建造物であるもののうち、その文化財としての価値にかんがみ保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを文化財登録原簿の登録することができる。
2 文部大臣は、前項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴くものとする。
3 文化財登録原簿に記載すべき事項その他文化財登録原簿に関し必要な事項は、文部省令で定める。

 (告示、通知及び登録証の交付)
第56条の2の2 前条第1項の規定による登録をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録をされた有形文化財(以下「登録有形文化財」という。)の所有者に通知する。
2 前条第1項の規定による登録は、前項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。ただし、当該登録有形文化財の所有者に対しては、同項の規定による通知が当該所有者に到達した時からその効力を生ずる。
3 前条第1項の規定による登録をしたときは、文部大臣は、当該登録有形文化財の所有者に登録証を交付しなければならない。
4 登録証に記載すべき事項その他登録証に関し必要な事項は、文部省令で定める。

 (登録有形文化財の登録の抹消)
第56条の2の3 文部大臣は、登録有形文化財について、第27条第1項の規定により重要文化財に指定したとさ、又は第98条第2項に規定する指定を地方公共団体が行つたときは、その登録を抹消するものとする。
2 文部大臣は、登録有形文化財についてその保存及び活用のための措置を講ずる必要がなくなつた場合その他特珠の事由があるときは、その登録を抹消することができる。
3 前2項の規定により登録を抹消したときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録有形文化財の所有者に通知する。
4 第1項及び第2項の挽定による登録の抹消には、前条第2項の規定を準用する。
5 第3項の通知を受けたときは、所有者は、30日以内に登録証を文部大臣に返付しなければならない。

 (登録有形文化財の管理)
第56条の2の4 登録有形文化財の所有者は、この法律及びこれに基づく文部省令に従い、登録有形文化財を管理しなければならない。
2 登録有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、適当な者を専ら自己に代わり当該登録有形文化財の管理の貢に任ずべき者(以下この節において「管理責任者」という。)に選任することができる。
3 文化庁長官は、登録有形文化財について、所有者が判明せず、又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困薙若しくは不適当であることが明らかである旨の関係地方公共団体の申出があつた場合には、関係地方公共団体の意見を聴いて、適当な地方公共団体その他の法人を、当該登録有形文化財の保存のため必要な管理(当該登録有形文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で当該登録有形文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行う団体(以下この節において「管理団体」という。)に指定することができる。
4 登録有形文化財の管理には、第31条第3項、第32条、第32条の2第2項から第5項まで、第32条の3及び第32条の4の規定を準用する。
5 登録有杉文化財の管理責任者及び管理団体には、第1項の規定を準用する。

 (登録有形文化財の滅失又はき損)
第56条の2の5 登録有形文化財の全部又は一部が滅失し、又はき損したときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部省令で定める事項を記載した書面をもつて、その事実を知つた日から10日以内に文化庁長官に届け出なければならない。

 (登録有形文化財の修理)
第56条の2の6 登録有形文化財の修理は、所有者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
2 管理団体が修理を行う場合には、第32条の2第5項、第32条の4及び第34条の3第1項の規定を準用する。

 (登録有形文化財の現状変更の届出等)
第56条の2の7 登録有形文化財に関しその現状を変更しようとする者は、現状を変更しようとする日の30日前までに、文部省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。ただし、維持の措置若しくは非常災害のために必要な応急措置又は他の法令の規定による現状の変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、文部省令で定める。
3 登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、第1項の届出に係る登録有形文化財の現状の変更に関し必要な指導、助言又は勧告をすることができる。

 (登録有形文化財の管理又は修理に関する技術的指導)
第56条の2の8 登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体は、文部省令で定めるところにより、文化庁長官に登録有形文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。

 (登録有形文化財の公開)
第56条の2の9 登録有形文化財の公開は、所有者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
2 前項の規定は、登録有形文化財の所有者及び管理団体以外の者が、所有者(管理団体がある場合は、その者)の同意を得て、登録有形文化財を公開の用に供することを妨げるものではない。
3 管理団体が行う登録有形文化財の公開には、第47条の2第3項の規定を準用する。
4 登録有形文化財の活用上必要があると認めるときは、文化庁長官は、登録有形文化財の所有者又は管理団体に対し、登録有形文化財の公開及び当該公開に係る登録有形文化財の管理に関し、必要な指導又は助言をすることがでさる。

 (登録有形文化財の現状等の報告)
第56条の2の10 文化庁長官は、必要があると認めるとさは、登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体に対し、登録有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

 (所有者変更に伴う登録証の引渡し)
第56条の2の11 登録有形文化財の所有者が変更したときは、旧所有者は、当該登録有形文化財の引渡しと同時にその登録証を新所有者に引き渡さなければならない。  

第3節 重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財

 (技術的指導)
第56条の2の12 重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財の所有者は、文部省令の定めるところにより、文化庁長官に有形文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。  

第3章の2 無形文化財

 (重要無形文化財の指定等)
第56条の3 文部大臣は、無形文化財のうち重要なものを重要無形文化財に指定することができる。
2 文部大臣は、前項の規定による指定をするに当たつては、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となつている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
3 第1項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体として認定しょうとするもの(保持団体にあつては、その代表者)に通知してする。
4 文部大臣は、第1項の規定による指定をした後においても、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
5 前項の規定による追加認定には、第3項の規定を準用する。

 (重要無形文化財の指定等の解除)
第56条の4 重要無形文化財が重要無形文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、文部大臣は、重要無形文化財の指定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特殊の事由があるときは、文部大臣は、保持者又は保持団体の認定を解除することがでさる。
3 第1項の規定による指定の解除又は前項の規定による認定の解除は、その旨を官報で告示するとともに、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に通知してする。
4 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この条及び次条において同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、重要無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合には、文部大臣は、その旨を官報で告示しなければならない。

 (保持者の氏名変更等)
第56条の5 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他文部省令の定める事由があるときは、保持者又はその相続人は、文部省令の定める事項を記載した書面をもって、その事由の生じた日(保持者の死亡に係る場合は、相続人がその事実を知った日)から20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について、同様とする。

 (重要無形文化財の保存)
第56条の6 文化庁長官は、重要無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、重要無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、国は、保持者、保持団体又は地方公共団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を補助することができる。
2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第35条第2項及び第3項の規定を準用する。

 (重要無形文化財の公開)
第56条の7 文化庁長官は、重要無形文化財の保持者又は保持団体に対し重要無形文化財の公開を、重要無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
2 重要無形文化財の保持者又は保持団体が重要無形文化財を公開する場合には、第51条第7項の規定を準用する。
3 重要無形文化財の記録の所有者がその記録を公開する場合には、国は、その公開に要する経費の一部を補助することができる。

 (重要無形文化財の保存に関する助言又は勧告)
第56条の8 文化庁長官は、重要無形文化財の保持者若しくは保持団体又は地方公共団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、重要無形文化財の保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。

 (重要無形文化財以外の無形文化財の記録の作成等)
第56条の9 文化庁長官は、重要無形文化財以外の無形文化財のうち特に必要のあるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し、又は公開することができるものとし、国は、適当な者に対し、当該無形文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を補助することができる。
2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第35条第2項及び第3項の規定を準用する。  

第3章の3 民俗文化財

 (重要有形民俗文化財及び重要無形民俗文化財の指定)
第56条の10 文部大臣は、有形の民俗文化財のうち特に重要なものを重要有形民俗文化財に、無形の民俗文化財のうち特に重要なものを重要無形民俗文化財に指定することができる。
2 前項の規定による重要有形民俗文化財の指定には、第28条第1項から第4項までの規定を準用する。
3 第1項の規定による重要無形民俗文化財の指定は、その旨を官報に告示してする。

 (重要有形民俗文化財及び重要無形民俗文化財の指定の解除)
第56条の11 重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財が重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、文部大臣は、重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財の指定を解除することができる。
2 前項の規定による重要有形民俗文化財の指定の解除には、第29条第2項から第4項までの規定を準用する。
3 第1項の規定による重要無形民俗文化財の指定の解除は、その旨を官報に告示してする。

 (重要有形民俗文化財の管理)
第56条の12 重要有形民俗文化財の管理には、第30条から第34条までの規定を準用する。

 (重要有形民俗文化財の保護)
第56条の13 重要有形民俗文化財に関しその現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又はこれを輸出しようとする者は、現状を変更し、若しくは保存に影響を及ぼす行為をし、又は輸出しようとする日の20日前までに、文部省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。ただし、文部省令の定める場合は、この限りでない。
2 重要有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る重要有形民俗文化財の現状変更若しくは保存に影響を及ぼす行為又は輸出に関し必要な事項を指示することができる。 第56条の14 重要有形民俗文化財の保護には、第34条の2から第36条まで、第37条第2項から第4項まで、第42条、第46条及び第47条の規定を準用する。

 (重要有形民俗文化財の公開)
第56条の15 重要有形民俗文化財の所有者及び管理団体(第56条の12で準用する第32条の2第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人をいう。以下この章及び第6章において同じ。)以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて重要有形民俗文化財を公衆の観覧に供しようとす るときは、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、観覧に供しょうとする最初の日の30日前までに、文化庁長官に届け出なければならない。ただし、文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体があらかじめ文化庁長官から事前の届出の免除を受けた博物館その他の施設(以下この項において「公開事前届出免除施設」という。)において展覧会その他の催しを主催する場合又は公開事前届出免除施設の設置者が当該公開事前届出免除施設においてこれらを主催する場合には、重要有形民俗文化財を公衆の観覧に供した期間の最終日の翌日から起算して20日以内に、文化庁長官に届け出ることをもって足りる。
2 前項本文の届出に係る公開には、第51条第4項及び第5項の規定を準用する。

第56条の16 重要有形民俗文化財の公開には、第47条の2から第52条までの規定を準用する。

 (重要有形民俗文化財の保存のための調査及び所有者変更等に伴う権利義務の承継)
第56条の17 重要有形民俗文化財の保存のための調査には、第54条の規定を、重要有形民俗文化財の所有者が変更し、又は重要有形民俗文化財の管理団体が指定され、若しくはその指定が解除された場合には、第56条の規定を準用する。

 (重要無形民俗文化財の保存)
第56条の18 文化庁長官は、重要無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、重要無形民俗文化財について自ら記録の作成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、国は、地方公共団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を補助することができる。
2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第35条第2項及び第3項の規定を準用する。

 (重要無形民俗文化財の記録の公開)
第56条の19 文化庁長官は、重要無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。
2 重要無形民俗文化財の記録の所有者がその記録を公開する場合には、第56条の7第3項の規定を準用する。

 (重要無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)
第56条の20 文化庁長官は、地方公共団体その他重要無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。

 (重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財の記録の作成等)
第56条の21 重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財には、第56条の9の規定を準用する。


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