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ゴリラとの分岐は1050万〜1200万年前?

[07.8.23]エチオピアの約1000万年前の地層から、ゴリラの祖先「チョローラピテクス・アビシニクス(新種)」の化石(歯)が見つかった(8月23日付Nature発表)。今回の発見で、ゴリラとヒトの分岐が1050万年〜1200万年前に見積もられるという。従来は約800万年前とされていた。これが本当なら、ヒトとチンパンジーの分岐も遡ることになる。研究チームは700万年〜1000万年前と見積もっているようだ。(読売新聞報道)
#これで、500万年〜1500万年前という暫定見積もり(00.12.31公開)に、さらに近づいた。

山下町洞人、国内最古の「新人」と確認

[07.6.13]沖縄タイムス2007年6月9日朝刊1面によれば、1968年に那覇市山下町で発見された「山下町洞人」(約3万7千年前の子供)は、日本最古級の新人化石として知られていたが、このたび県立博物館、東京大学、国立科学博物館の共同研究により確認され、「太平洋学術会議」で発表される(14日)。CTスキャンの映像を縄文人の骨と比較し、「骨の形態や頑丈さを調査した。縄文人の身長や体格などから、考えられる範囲内だった」という。(読売新聞報道)

ヤリを使うチンパンジー

[07.2.23]読売新聞の記事で紹介されたが、セネガル南東部、チンパンジー35頭が生息するフォンゴリ地区で、チンパンジーが「ヤリ」のような道具を使っていることが確認された。レポートは『Current Biology』に発表された「Savanna Chimpanzees, Pan troglodytes verus, Hunt with Tools」(全文テキスト)。主に子供とメスが、枝を折り取り、側枝や葉をちぎって手ごろな長さにした上で、さらに端部を歯で噛んで鋭くし、「ヤリ」を作る。これを樹木の空洞などに突き刺して空洞の中を探る様子が観察された。こうした行動が、10頭に計22回観察され、1回は夜行性の小型のサル「ガラゴ」を捕獲した。同地区は森林よりも食料確保が難しいサバンナのため、「雄に比べて非力な雌が、たんぱく質を得る手段としてヤリによる狩りを考え出したのではないか」と推測されている。チンパンジーはアリを取るために細い枝を使う例があるので、その延長線上と考えれば不思議ではない。非力であることが、道具の工夫につながっているという見方は興味深い。

チンパンジーの考古学

[07.2.14]一部のチンパンジーは木の実を割るために石器を使う。表採による調査は聞いたことがあるが、当然、遺跡としても残ることになる。加カルガリー大のチームがコートジボワールで2001年、2003年に調査を行い、取り上げた石器や石片206点のうち、2cm以上の64点を詳しく分析した。包含層は約4300年前らしい。分析によれば、1)ヒトの石器より大きく、チンパンジーが使う石の大きさに近い、2)ヒトの石器に多い石英等ではなく、チンパンジーが好む花崗岩が使われている、などの特徴があるという。笑えるのは「チンパンジーの石器時代」の文言。論文は米国科学アカデミー紀要に載るようだ。当然、「チンパンジーの石器時代」の起源は分からないが、霊長類もチンパンジークラスともなると、ヒト(ホモ)と変わらぬ工夫や試行錯誤を行うだろう。ただ、言語の発達度合から、保持できる文化は猿人クラスだろう。猿人とチンパンジー、どちらが頭が良かったかは知らない。

ネアンデルタール人DNAの解析進む

[06.11.20]2006年11月17日号のScienceに載った論文「Sequencing and Analysis of Neanderthal Genomic DNA」(ネアンデルタール人のゲノムDNAの配列決定と解析)によれば、ネアンデルタール人と現代人は、解剖学的現代人が現れる706,000年前に共通の祖先を持ち、370,000年前に分岐しているという。#よく分からない表現ですが、ゲノム解析はそういうものなんでしょう。いずれにせよ、以前の分析の話と同様、数十万年前に分岐しており、数万年前の混血は再度否定されました。もっとも、チンパンジーとボノボの分岐よりも、近い関係である事に変わりはありませんが。

...a most recent common ancestor ~706,000 years ago, and that the human and Neanderthal ancestral populations split ~370,000 years ago, before the emergence of anatomically modern humans.

ヒトとチンパンジーの祖先は交雑?

[06.5.20] ハーバード大などのチームの研究によれば、人間とチンパンジーのゲノムを比べると、何度も分岐した可能性があり、最初の分岐と最終的に異なる種に分岐したとみられる時期に約400万年の開きがあるという(18日付Nature)。ちょっと想定しにくい状況である。

ホモ属の小型新種−ホモ・フロレシエンシス Homo floresiensis

[05.03.08] 2004年インドネシアのフローレス島(ジャワ島の東約600km)で新種のホモ属化石が見つかった(BBC記事−27 October, 2004)。石灰岩洞窟(Liang Buaと呼ばれる)からの発見だが、年代は38,000〜18,000年前というから、極めて新しい(ホモ・サピエンスにとっては後期旧石器時代だ)。成人の身長1mくらいで、LB1の脳容量は約417ml、CTスキャンによる脳の形態分析から、ホモ・エレクトスの系統だとされている(『サイエンス』2005年3月3日、BBC記事−3 March, 2005)。側頭葉や前頭葉が発達しており、共伴した繊細な石器の製作が可能であったようにも受け取れる。フロレス島は渡航手段が無いと渡れない島のようだから(陸橋があったのは何時の事だろう)、フロレシエンシスがやってきたルートも興味深い。ともあれ、まだ1点の分析である。LB1以外にも分析例が追加される事を期待したい。


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