横田<miskij>萬や 文字放送と字幕放送


デコーダーって?


役所で福祉給付を受けようとすると、「文字放送チューナ」ではなく「文字放送デコーダ」という名前で紹介されます。これは言い直して欲しいと思います。単純に、市場には厳密にはそのような仕様の製品は全く出荷されていないからです。
なんでこんな言葉が出てきたのかというと、衛星放送の「WOWOW」を見るために必要な「スクランブルデコーダ」があるせいでしょうか。これって、デコーダ単体で「WOWOW」を見ることはできないでしょう。別途、衛星放送受信機(要するに、BSテレビやBSビデオ、ほとんど見なくなりましたがBSチューナー)が必要になります。
つまり、デコーダの機能というのは、「(映像)信号から特定の信号を復元して見られるようにする」だけです。

昔の文字放送チューナーは、「文字放送アダプタ」と呼んでいました。これも、単独ではTV放送を見ることができず、テレビや、ビデオなどから映像信号を貰い、文字放送信号を抜き出して表示するようになっていました。つまり、デコーダーと同じです。
しかも、当時としてはメモリがあまりにも高く、少しでも値段を抑えるための苦肉の策としてチューナー回路(アンテナ信号から、任意の放送局を選局する回路)を外部に依存するようにもなっているわけです。

しだいにコストダウンが進み、テレビやビデオとは別に、アンテナ信号を入力し、単独でも放送局を選べるようになりました。結果として、チューナ機能を搭載してきたわけです。よって、メーカーは「文字放送(デコーダ内蔵)チューナ」として呼ぶようになったのです。
厳密にあらわすとすれば、「文字放送デコーダ付きテレビ放送チューナ」となるでしょうけど。
そんな事よりも、不用意に単語が氾濫してしまうと、ただでさえ情報が入りにくい(あるいは、施されてばかりで自発的に情報を獲得しようという気があまりない?)難聴者には混乱の元になりかねません。
実際、「字幕放送」と「文字放送」が別だと思っている方もいます。(私の母も、初めはそう思っていた)

他にも、文字放送の実験放送が開始された頃の方式の混乱も澱のように意識に残っているのもありそうです。NHKのノイズに強いイメージ方式、日本テレビのデータ効率が良いテキスト方式が対立し、両方を取り入れたハイブリッド方式として本放送が開始されたのですが、これが「文字放送」と「字幕放送」の違いか?などと不幸な誤解の根源にもなっているかもしれません。

ちなみに、文字テレビについては、正式には「文字放送デコーダ内蔵テレビ」です。

RTS
1998 Feb. 1
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