横田<miskij>萬や 通信


公衆アクセス権と情報バリアフリー



2001.Apr.7
最近当たり前のように目にするようになったらしい「情報バリアフリー」の定義、
一般的なものって何?と聞かれて、はた、と思い当たる。
某所で私が使ったのがおそらく最初、ということもあり、ここで宣言してみましょう。

移動バリアフリーの主旨が「移動の機会を対等にもたらすこと」と考えれば、
情報バリアフリーは「情報に触れる機会を対等にもたらすこと」でしょうか。

そう考えれば、情報に触れられることを阻害してはならない、と気づきますね。
移動しやすいように設えたスロープに文句を言う前に、自らスロープを付けるのが、事業者の責務。
セリフを伝えるために字幕を作る人に文句を言う前に、自ら字幕を付けるのが、事業者の責務。
これにおかしいところはありますか?

2000.May.13
各マスコミ殿

記事やニュースなどを作成される際、「誰が」入手(読んだり見たり)するのかを意識されてますか?
これがあまりにもおざなりにされているように感じます。

ケース1:NHK手話ニュース
上野の博物館の様子が報道される。最後に連絡先のテロップ。
電話番号のみだったので、一応確認も兼ねてF−NETを利用してお祝いのファクス祝電を送ってみる。
ファクスが接続されてなかったか、音声通話だけだったらしく、案の定F−NETからの不達通知が来た。
数回送ってみて、その都度不達通知が返ってくるのを確認しだい、NHK文字放送で案内されている 視聴者センターへ、不達通知のファクスと共に一言「手話ニュースって、誰が見てるの?」 と書き添えて申し上げてみた。
…以来、連絡先を記すテロップには必ずファクス番号も併記されるようになりました。

ケース2:「アイ・ラヴ・ユー」奈良公開
奈良での上映の記事が朝日新聞、奈良新聞に掲載されるが、これも音声通話番号しか記載されていない。
事前に奈良での上映委員会の連絡先を知っていたのもあり、 こちらへ「なぜファクス番号が掲載されてないのでしょうか」と問い合わせてみる。
…どうやら記事を作成した担当がファクス番号だけを省いたようである。
この事で委員会の方が困惑している様子が伺えた。
ちなみに「アイ・ラヴ・ユー」は、日本初のネイティブろう者女優主演作。
そして聴覚障害関係の協会などに参加していない(しない)者も少なからず存在し、また孤立した者も存在する。

ケース3:「衆議院選挙公開討論会」(シカと選挙を見届ける会)
4月21日、朝日新聞の奈良版で記者会見の記事が掲載されるが連絡手段は音声通話のみ。
現時点では政見放送や演説会などに手話通訳や字幕などの情報保障が付くことが公式に認められていない。
しかしこの討論会に情報保障を付けることは違法ではないので、要約筆記の人に提案し、 私の代わりにファクス番号を教えてもらう。
1週間の間に、とんとん拍子でOHPによる要約筆記も付くことが決まったものの、 のちに入手した同会のチラシを見るとファクス番号も明記されていることが判明。
新聞記事を再度確認するとファクス番号も併記する余白が残っている。

ケース4:JR西日本きっぷ予約サービス
音声通話によるきっぷ予約サービスを提供している。
交通バリアフリーの視点から見ると、移動の機会の提供の点ではいかがでしょう。


聴者は音声通話番号によって(しごく当たり前のように)情報にアクセスできています。
これと対等な機会を、音声通話が利用できない者にも、もたらしていただきたいだけ。
郵送、というのはアクセス機会の視点で見るとケース4において、甚だしい格差があります。


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