−おまけ−
乃梨子は事態を唖然と見送った。
真っ赤な顔をした紅薔薇さまがすごい勢いで横を駆け抜けて行ったのもか
なりなインパクトがあったけれど、その数瞬前の出来事があまりにも強烈
すぎてあまり印象に残っていなかった。
「あ、あ、あ…」
訳のわからない言葉しか口からは出てこなかった。
全校生徒の憧れの的である紅薔薇さまと黄薔薇さまのラブシーン。
宝塚も真っ青なシーンをほんの1、2メートルの距離で見せ付けられた乃
梨子は完全に頭がショートしてしまっていた。
「祥子にはちょっと刺激が強すぎたかしら」
いや、祥子さまだけじゃないです。
こんなシーン見せられたらリリアンの殆どの生徒は卒倒しますって。
由乃さまに知れたらそれこそ血の雨すら降りかねないじゃないですか。
「乃梨子ちゃん、大丈夫?」
令さまが乃梨子の前で手を振る。
いえ、全然大丈夫じゃないです。はい。
「う〜ん、ハーレクイーンとかじゃ普通にあるシーンなんだけど」
令さまは、なぜ?っていう表情で乃梨子を見やった。
も、問題はそこなんですか……
その日からしばらく、紅薔薇さまと黄薔薇さまを見るたびに、乃梨子はこ
の出来事を思い出して顔を真っ赤にしてしまうのだった。
− f i n −
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