私の「コンピュータ」履歴書 No.7

ついにパソコンを買う


なんとか教養部を2年間で終えて、学部の方に行けることになりました。
学部の3年生のカリキュラムは、大体、午前中が講義、午後は演習(問題を解いたりする)と実験です。まあ、この実験の時間がかなりの時間を占めています。
今は全然違うとは思いますが、当時は、実験と言ってもコンピュータを使うことは希で、やっぱりほとんどコンピュータには縁の無い生活を送っていました。一つだけ、年代もののよく訳の分からないコンピュータを使ってデータ処理を行う実験もありましたが、こいつは、実験データを紙テープに記録してデータ処理を行っていました。それだけじゃなくて、コンピュータのブート時も紙テープを読ませていたなぁ、もしかしてあれにOSが入っていたんかな? どんなコンピュータだったかもうすでに忘却の彼方なんですが、こんなもん動くんかいな、というような代物でした。よくよく考えてみると、私が紙テープを扱ったのって、後にも先にもあれだけだったような気がします。
紙テープっていうと、よくありがちなシーン、やたらランプやらスイッチやらがいっぱい付いたコンピュータ(らしきもの)のパネルから、カタカタカタとかいいながら紙テープが出てくるあのシーン、出てきた紙テープを真剣な顔をして読む主人公(←じゃなくてもいいけど)。「あのー、紙テープって人間が読むためにあるんじゃないんですけど……」
とか言いながらも、紙テープが読める人間というがうちの職場にもいますけど。私は読めませんが。

そんな折り、友人が富士通のFM-8(Fujitsu Micro 8)というパソコン(あれ、当時はまだ「マイコン」って言っていたっけ?)を買って、散々私に自慢しまくっていました。そういえば、今でも富士通のパソコンは「FMなんちゃら」って名前ですが、FM-8ってこの「FMなんちゃら」の一番最初のコンピュータですね。FMって「Fujitsu Micro」の略なんですよね、知っていました?
このFM-8、当時としてはかなりハイスペックで、CPUはモトローラの6809を2つ積んでいて、デュアルCPUだったんですね。ただ、今で言うSMPじゃなくて、一つのCPUはグラフィック処理専用に使われていましたが。ただ、FM-8自体は残念ながらあまり売れなかったようで、次に出したFM-7の系統がその後発展して行くことになります。
そんな友人を指をくわえて見ていた私だったのですが、この年、NECがPC-8801というパソコンを出す、という情報が入りました。このコンピュータ、今となっては当たり前ですが本体とキーボードが離れていてカールコードで接続する(それまでは本体とキーボードが同一筐体のものがほとんど)タイプで、見た目もカッコイイ。その前のベストセラー機種PC-8001と互換性のあるモードを持っていてPC-8001のソフトも動かすことが出来る、機能的にもFM-8と同等以上のものがある、ということで、「こ、これは、あの友人に自慢しかえすためには、これを買うしかない」というわけで買ってしまいました。
確か値段は、本体が228,000円(高い)、しかも今と違ってほとんどまけない。学生生協でも5%引きくらいじゃなかったでしょうか。ディスプレイはとても買うお金が無かった(当時はカラーディスプレイが15万円くらいしたのよ)のですが、RFコンバータなる怪しげな装置(と言ってもNEC純正ですが)があって、これを使うとテレビに接続できるので、とりあえずそれでガマンすることにしました。

そんなわけで、やっと私もコンピュータのオーナーに。
付属のN88-BASICでいろいろプログラムを作って遊んだり、あと、当時のパソコン雑誌には、プログラムが載っていた(ほとんどゲームかな)ので、それを打ち込んで遊んだり、なんてことやっていました。今と違ってほとんど実用になるようなことは出来ませんでしたけど、いろいろとコンピュータの仕組みを知る上では貴重な経験だったと思います。
そのPC-8801、今でも実家に置いてあります。さすがにもう何年も電源を入れていませんけど、まあ、壊れるようなところもない機械ですから、電源を入れればあの有名な「How many files (0-15)?」(でしたっけ? 記憶をもとに書いているので間違っているかも知れません)のメッセージが表示されることと思います。

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