新・闘わないプログラマ No.69

出張サポート


何が不愉快かと言って「パソコン買ったんだけど、教えてくれるー」なんて軽く言う奴、お前はいったい何を教えて欲しいんだよ、などと思ってしまいます。これがまだ、若い女性なら、手取り足取り親切に教えて上げないこともないのですが……いやいや、そんなことはどうでもいいのですが。
しかも「ちょっと、わかんないところがあるんだよねー、来てくれる?」などとお気楽に言う奴、お前なあ、なんで私がわざわざ千葉や埼玉の奥地まで行かなければいけないんだよ、いやいや、別に千葉や埼玉を差別しているわけじゃなくて、横浜に住んでいる私がそんなとこまで2時間もかけて行くのは大変だ、と言いたいだけで。これがまだ、若い女性なら、いかに時間がかかろうとも……いやいや、そんなことはどうでもいいのですが。
しかもしかも「なんかうまく動かないんだけど、ちょっと急いでいるんだよねー。すぐ来てくれる」などと言い放つ奴、私にだって都合と言うものがあるんだけどなあ、これから行ったら帰りは夜中になるじゃないか、明日は仕事だというのに。これがまだ、若い女性なら、万難を排してでも……いやいや、そんなことはどうでもいいのですが。

個人向けのパソコン出張サポートサービス、なんてものがあるようですね。電車の車内広告とかで見たこともありますし、あと駅のポスターとか、webなんかでも時々見掛けますが、あんまりまともに商売になるような代物じゃないようで、個人がアルバイト感覚でやっていたり、なんてのが多いのかな、と推察します。
そもそも、そういう需要ってあるんでしょうか? 個人が、1時間何千円かの料金を払って、わざわざそういうサービスを頼む、という構図が、どうもあまりピンとこないのです。
そんな中で、先日、どこをどう辿っていったのかもう忘れてしまいましたが、あるパソコン出張サポートサービスの宣伝のwebページを見る機会がありました。どんなことが書いてあるのか興味があったので、ちょっと覗いてみました。もうURLも分からないので、あくまで一般論として聞いて下さい。
そこを読んでいて、まずのけぞったのが、

私もパソコン初心者です。だから、こんな初歩的なこと聞いて笑われるんじゃないか、などという心配はいりません。専門家の人には恥ずかしくて聞けない質問でも、懇切丁寧に説明いたします。私も初心者ですから、分からないこともたくさんあります。皆さんと一緒に勉強して行きましょう。

あのさぁ〜、お前、商売でやっているだろう? プロ意識ってもんは無いんか? ←無いんだろうね。
「パソコン初心者」? そんなんがどうやって「懇切丁寧に説明」するんだ? ←出来るわけ無い。
「一緒に勉強して行きましょう」だあ? そんなんで金取るんか? ←取るつもりなんだろうね。

これ、前にも書いたと思うのですが、よく言われる「専門家は初心者の気持ちが分からないから、初心者に分かりやすく説明できない」っていうやつ、私はこの考え方に全く同意できないんですね。
どんな分野でも同じことだと思うのですが、ただ単にその分野で長いことやっているというだけで、その分野の事柄を体系的に整理して理解することができていない「エセ専門家」と、自分の頭でモノを考えることをしない「永遠の初心者」が出会ったときに、「専門家は初心者の気持ちが、云々」ということになるだけの話なわけです。
まともな「専門家」ならば、相手のレベルに合わせて、相手が理解できるような言葉で、説明をしてくれるはずです。もしそれが出来ないならば「その分野の事柄を体系的に整理して理解することができていない」と言っても過言ではありません。こんなのは「エセ専門家」でしかありません。
と、ここまでは、自分のことは棚に上げておいて言っています(^^;)

パソコンって、いままで使ったことが無いような人が突然使おう、としたってそんな簡単にできるような代物じゃないとことは明らかなわけです。少なくとも、テレビや洗濯機やら冷蔵庫なんかよりは遥かに難しい。ビデオの録画予約なんかよりもずっと難しい。
iMacのようにオールインワンで、しかも余計なものは思い切ってばっさり省いてしまって、というのは、一般消費者向けの商品として方向性は正しいと思いますけど、でも、あれだってまだまだ難しいですよね。
ですから、「向上心の無い初心者」には、パソコンを使いこなす、というのは現状ではかなり困難なのかな、という気がするわけです。少なくとも「向上心の無い初心者」でもテレビは見ることが出来ますけど、パソコンはねえ……。
そもそも「パソコン教えて」の一言で、自分は一切の努力をせずになんでもかんでも教えてくれる(しかも、自分が理解できないのは、相手の教え方が悪いせい、など)と思っている人間に何かを教えようとするのは、とてつもない困難が伴います。
もしかすると、そういう人間からは、サポート料を取るというのが正しい行き方だったりして。私もそういうのを考えようかな。

話が果てしなく「出張サポート」から離れてしまいましたが、気にしないで下さい。書きながら内容を考えて行くので、こういうことはよくあることだったりします(^^;)

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