新・闘わないプログラマ No.52

プレゼンテーション


仕事柄、メーカーの営業の人から、新製品等のプレゼンテーションを受けることがよくあります。で、配られた資料を見るとですね、みんな画一的と言うか、どれも似たようなデザインになっていて、しかも見たことのあるイラストがいっぱいちりばめられていたりして・・・。もう、みんなMicrosoft PowerPointで資料を作ったことが見え見え。
あれって、お手軽にそれなりのレベルの資料を作るにはまぁそこそこ使えるのですが、でも本当にお手軽に作ってしまうと、あまりにも安っぽい資料が出来てしまいます。でもって、件のプレゼンテーションの内容の無さと、資料の悪趣味なド派手さには相関関係があるようで、酷い内容のものほど、美的センスを疑うような色使いをしていることも多いです。そもそも、PowerPointにあらかじめ用意されているテンプレート自体が悪趣味なのが多いのですが、それをそのまま使ってしまうところに、そのプレゼンテーションの安直さが現れているような気がします。しかし、箇条書きの一行ごとに色を変えるのは止めて欲しいぞ > N社の営業マン :-p
いや別に私は、プレゼンテーションの資料のデザインに凝れと言っているわけではなく、「伝えたい内容があるんでしょ、だったらそれをいかに分かり易くストレートに表現するか、というのが重要なところだと思うのだけど・・・え、内容の無さをデザインのド派手さでごまかそうとしている? はい、左様ですか、私が悪うございました(^^;) でも、そんなん、聞いているほうにはすぐにバレちゃうんですけど・・・。

最近は仕事の内容が変わったんで、自分自身ではプレゼンテーションをやったり、その資料を作ったり、ということはほどんど無くなったのですが、数年前まではよくやっていました。
そもそも、私は人前で話をしたりすることは苦手で大嫌いだったんですけど(今でも苦手だし)、大学の研究室でさんざん鍛えられたから、まぁ、それなりのテクニックというか、そういうのは身につきました。これは、私が大学で得られたほとんど唯一のことです(^^;) まぁ、これだけでも大学に行った甲斐があったかも知れませんけどね。
話は逸れますが、いかにして他人にわかりやすい文章を書くか、わかりやすい資料を作ってわかりやすいプレゼンテーションをするか、なんていう技術は、学校では教えてくれないんですよね。小学校から大学まで、どこでも。少なくとも私は、純粋に技術的な手法について教育を受けた記憶がありません。やるとしたら国語の時間とかなんでしょうけど、あれって文学作品を教えることに偏重していますしね。弁論なんてものもありましたが、私の経験では、(いかに感動的な)テーマを選ぶか、ということしか評価の基準になっていないように思えました。
だから、大学の研究室内での発表で、教授から「おまえらの話はさっぱり分からん」と怒鳴られながら、そういった技術を習得していったわけですね。わかりやすい資料というのはどういうものなのか、それをもとにしてどういう風に話せば分かってもらえるのか。聞いている人たちが自分の言っていることを理解してくれているのか、反対に、分かりきったことをだらだらと話して退屈していないか。

このへんで、メーカーなどのプレゼンテーションを聞いていて思ったことなどをいくつか。
まず、お題目だけの内容の無いセールストークだけのやつ、これは一番苦手ですね。いまどき、技術者(一応)に向かって「イントラネット」だの「マルチメディア」だの言って、恥ずかしくありません?
「あのね、私はそんなお題目はどうでもいいの。もっと技術的な話をしてくれよ」と思いつつ、睡眠学習モードに入ってしまいます。このパターンでは、話をする人は大概の場合営業マンですから、口だけは上手い。でも内容は全くありません。資料もイラストが沢山あるだけのあっても無くてもいいような代物。なのに、わざわざノートパソコンなんか持ち込んで、プロジェクタでスクリーンに映しながら説明する。ソフトは言わずと知れたPowerPoint。うち職場にあるプロジェクタ、古いので暗いんですよね。だから、プレゼンテーションをする部屋はカーテンを閉めて、照明を消さないといけなくて、まぁ、寝るにはもってこいですが・・・・。

もっと技術的な話になると、こんどは開発の現場の技術者の登場になるのですが、こりゃもう、悲しくなるくらいに下手な人間が多いです。
あの、だから資料をそのまま読み上げるだけというのは止めていただけませんでしょうか。それは書いてあるから読めば分かるんですけど、とか
そのミミズの這ったような図、何がどうなっているか全く分からないのですが。そういう重要な図は、その場で書くんではなく、事前に用意していただけませんでしょうか、とか
すみませんが、何をおっしゃられているのか全然聞こえないんですが。マイクでもお使いになられますか、とか
えーっと、その言葉、多分、貴社の社内でしか使われていない隠語だと思うのですが、もっと一般的な言葉で話していただけませんでしょうか、とか
とにかく挙げればいくらでも出てきます。

なんか、今回はあんまりコンピュータと関係の無い話になってしまいました。
でもまぁ、結局なんのかんの言っても、プレゼンテーションで一番大切なことは、ハッタリ、これですけどね。この技術さえ習得できれば、どんなプレゼンテーションでも恐いもの無し :-p

[前へ] [次へ]

[Home] [戻る]


mailto:lepton@amy.hi-ho.ne.jp