新・闘わないプログラマ No.3

大手コンピュータメーカ営業マンの通信簿


私のようなショーバイをしていると、コンピュータメーカを中心にいろんな会社の営業マン(やSE)と付き合う必要があります。一つの会社の中には、当然いろんな人がいるわけで、○○という会社の営業マンは○○だ、などと簡単に決めつけることは出来ないのですが、それでも、よく観察していると、その会社毎の傾向のようなものが見られて面白いです。これは、そんな各社の営業マンたちを観察記録です。
なお、この物語はフィクションであり、I社、N社、F社、等々、いろいろ出てきますが、これをお読みになっているあなたが思い浮かべた会社名のイニシャルと仮に一致していたとしても、それは偶然の一致です:-)

まず、外資系のI社です。大きな青い会社ですね。外資系といっても他のちゃらんぽらんな外資系とは一線を画しています。さすが腐ってもI社です。私が入社したころまでは、なにしろI社でした。世界のコンピュータ業界はうちの会社で持っているんだ、という強烈なプライドが営業マンたちにもありました。ですから、値引き交渉をしようとしても「この値段で嫌だったら他をあたってくれ」みたいな「別に使ってくれなくてもいいもんね」というところがありました。ただ、依頼したことはきちんとやります。その辺はさすがに信頼されるだけのものを持っていました。
ところが、この業界もここ10年ほどで大きく様変わりしました。それにつれて、I社の営業マンたちの腰も見る見る低くなっています。以前など二・三千万程度のチンケな商談など見向きもしなかった(そりゃぁ、メインフレーム1台売れば数10億ですから)のですが、最近は違います。そんな仕事でも、ぜひウチの製品を使ってくれ、と積極的に売り込みに来ます。最近はネットワークの方面にシフトしているようで、なんかのシステム構築時にルータを1台でも2台でもいいから入れてくれ、とまで言ってきます。
なんか、栄枯盛衰を見るようですが、でも、ちゃんとこちらからお願いしたこと(○○の資料が欲しい、とか)は期限通りにちゃんとやってくれますから、その点は私の方も安心できます。

次は、N社です。ここの営業マンははっきり言ってちゃらんぽらんです。「ばざーるでござーる」で全員売っぱらってしまった方が・・・って買い手がいないか。これは、うちに来ている営業マンだけなのかなぁ、何せ、あまりに酷いものだから。「電話くれ」と伝言しておいても、実際に電話がかかってくることは皆無だし、書いてもらった見積書が間違っていて、こっちはもう稟議書回してしまったあとになって「実は・・・」と言ってくることも2度や3度じゃ無いし、それで、こっちも用心して、見積書を詳細に点検して「ここは大丈夫?あそこはどう?」と確認しているのに、それなんだもの。
あと、営業で負けそうになると、搦手から攻めてくる(うちの役員に泣きついたりする)こともあるので、油断が出来ません。(そんなことやっている暇があるくらいなら、ちゃんと仕事しろよ)
ただ、このちゃらんぽらんさも時には役にたつこともあります。詳しくは書けないのですが、こちら側のミスでN社側に泣いてもらったことも無いわけではありません。このへんの融通性がいいところでしょうか。あと、田町に例の穴の開いた本社ビルが出来たときも、営業に言って、あっちで会議をやるという名目で遊びに行ったこともあります(^^)

F社は、私自身はあまり付き合いが無いのでよく解りません。すいません。

「この木、なんの木」のH社は、やっぱり堅いです。営業マン自体がそんなに堅いわけでは無いのですが、仕事の話になると妙なところでカタくなります。やり取りもちゃんと文書でやらないといけないところが多かったり(N社なんか発注の時でも、「あれ発注するよ」「あいよ」で終わってしまうこともあるのですが、さすがにH社はそういうわけには行きません)するのですが、その分、こちらが依頼した仕事はきちんとやります。
ソフトとかハードとかの仕様について質問しても、次の日には必ず答えが返ってきます(解らない場合は、いついつまでに解答します、と言ってきます)。なんか当たり前のことのように思えますが、これが出来ない会社(どことは言いませんが)が多すぎます。そういう点はH社は信頼できます。

次は、磯野家の電化製品を作っているT社です。ここの営業マンとは、私はほとんど付合いはありません。ただ半年ばかり、うちで発注したシステムのテストをするために、某刑務所の隣にある工場に行っていたことがあって、そちらの印象の方が強いです。
ここもH社と似ているところがあって堅めですが、その昔、N社と組んで汎用コンピュータを作っていた(もう有史以前の話ではありますが)ことが影響しているのかも知れませんが、N社らしさもほんの少し感じられます(なわけ無いか)

最後に、その他もろもろの外資系各社です。
このあたりは何が問題かといって、転職率の多さでしょうか。せっかく、うちの要求とかをある営業マンに理解してもらったと思っていたところで、次電話かけたら「もう退職しました」ですから。しかもほとんどの場合引き継ぎなんてやっていないんじゃ無いでしょうか。一回きりの発注で済むシステムならいいのですが、永続的に機器やソフトを入れていかなければいけないようなシステムの場合、うちのシステムのことをよく知っている営業マンがいないと、また一から説明し直しになってしまうのです。これが結構大変だったりします。

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