新・闘わないプログラマ No.246

管理


とりあえず、「管理」という言葉を広辞苑で引いてみますと(岩波書店「広辞苑 第五版」CD-ROM版より引用)

かん‐り【管理】クワン‥
(1)管轄し処理すること。良い状態を保つように処置すること。とりしきること。「健康―」「品質―」(2)財産の保存・利用・改良を計ること。→管理行為。(3)事務を経営し、物的設備の維持・管轄をなすこと。「公園を―する」

いまいち面白くありませんね。ま、「広辞苑」だし、こんなものかも知れませんが。では、「新明解」(←おお、一発変換した。やるな、MS-IME 2000)ではどうでしょうか(三省堂「新明解国語辞典 第五版」より引用)

かんり クワン―【管理】
[「管」はつかさどる、「理」はおさめる、の意] (一)そのものを全体にわたって掌握し(絶えず点検し)、常時意図する通りの機能を発揮させたり好ましい状態が保てたりするようにすること。「三十数人の技術者を―しながら、コンピューターのソフト開発を進めている」(後略)

だそうです。予期せずに「コンピューターのソフト開発」などという例文が出ていて、やっぱりそういう仕事と「管理」と言う言葉は仲がいいのかなあ、などと思ったりもするわけでして…。
しかし、いつ見ても、「広辞苑」は解ったようでよく解らない解説と言うか、単なる言葉の置き換えみたいな解説をしてるし、「新明解」は妙に思い込みの激しい(と思われる)解説をしますねえ。

などと前回の駄文と全く同じ始まり方をしたのは、当然手抜きをしたかったからです。すみません。
さて、その前回に書いた、「とてもとても読みづらいCのプログラム」ですが、1週間解読して、かなりその全貌が理解できるようになってきました。
どうもコーディングルールとやらを決めた人間が「管理」と言う言葉が好きだったらしく、コメント上にも「管理台帳」なるものが散見されました。さらに解読していくと、

といったものが存在したような形跡がありました(←ほかにもあったような気がしたけど忘れた)。でもって、これらの「管理台帳」なるものが、ファイル(と言っても、ディスク上のファイルじゃない)に綴じられた紙ベースだった、ということを伝聞の伝聞で聞いた私は、返す言葉もありませんでした。私、COBOLって知らないのですが、いかにCOBOLとは言え、こんな「管理台帳」を使ってやたら面倒なことはしないと思うのですが、どんなもんでしょうか。
しかし、内部変数一つ作るたびに、紙ベースの管理台帳に登録するのは、いくらなんでもやりすぎでしょう。んな面倒なことやってられん。まあ、関数管理台帳だってやりすぎだと思いますが。
だいたい、名前のスコープと言うか、名前空間の考え方が分かっていれば、別にシステム全体でユニークな命名をする必要も無いし、そんなことに何の意味もないことはわかるはずなんですけどねえ。関数の内部変数まで、システム全体でユニークにする必要性はどこにあるのでしょうかね。
あ、そうだ。思い出した。私自身、かなり昔に、ある人とこんな会話をしたことがあったっけ。

「名前には有効範囲がありますから、こことそこで同じ名前と付けたって、全く別のものとみなされますので、同じ名前にしたって全然問題無いですよ」
「君は文法に詳しいから、それがすぐにわかるかも知れないけど、プログラムはもっとCの文法に詳しくない人間だって組むんだ。だから、この変数と、その変数が、『名前が同じだけど別の変数だ』などということがわからない人間だっているんだよ。変数名を別の名前にしておけば、明らかに別の変数だということが分かるし、バグも少なくなるんだよ」

それって何か違うだろー、と思ってしまったのですが…変数のスコープすら理解していないような人間にプログラムを作らせること自体、何か間違っているように思えるのですが。ぶつぶつぶつぶつ ←と、ここで文句を言っても仕方ありませんね。

話が横道に逸れてしまい、そのまま今回の駄文が終わってしまうような気もするのですが、それはともかく、「新明解」の例文「三十数人の技術者を管理しながら、コンピューターのソフト開発を進めている」じゃないですけど、いったい何をもって「管理」していると言えるでしょうね、と疑問に思うこともしばしば。
「なんちゃら管理台帳」などという代物をたくさん作って、それで「管理」した、と悦に入っている人もいたりするわけですし。

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