新・闘わないプログラマ No.245

常識


とりあえず、「常識」という言葉を広辞苑で引いてみますと(岩波書店「広辞苑 第五版」CD-ROM版より引用)

じょう-しき【常識】ジヤウ‥
(common sense) 普通、一般人が持ち、また、持っているべき知識。専門的知識でない一般的知識とともに理解力・判断力・思慮分別などを含む。「―のない人」

いまいち面白くありませんね。ま、「広辞苑」だし、こんなものかも知れませんが。では、「新明解」(←おお、一発変換した。やるな、MS-IME 2000)ではどうでしょうか(三省堂「新明解国語辞典 第五版」より引用)

じょうしき ジヤウ−【常識】
[common senseの訳語] 健全な社会人なら持っているはずの(ことが要求される)、ごく普通の知識・判断力。〜(中略)〜 −論[=一応視野が広くて首肯出来るように見えるが、専門的見地からすると成立しないと思われる考え(方)]
【常識家 】常識を備えている人。[ひらめきを有しない人や、冒険をしない平凡な人の意にも用いられる]

だそうです。「健全な社会人」とか「ごく普通の」とか「専門的見地からすると成立しないと思われる考え」とか、なんだかよくわからないけど、勝手に決め付けを行っているあたりが新明解の新明解たる所以だったりするわけですが、でも、もっとすごい解釈をしてくれるか、と期待した割にはいまいちでした。

さて、別に「常識」という言葉が辞書でどういうふうに解説されているか、というのを調べるのが今回のテーマでは、もちろんありません。
世の中にはこの「常識」と言う言葉、とにかくやたら使いたがる人が結構いますね。仕事の上でも、やたら「常識」「常識」言う輩、嫌と言うほど目に付くわけですが、
「○○するときには、△△に決まってるだろ? そんなの常識だよ。何考えてるんだ、オマエは?」
なとど言われて、
「どうして、△△が常識なんですか?」
などと尋ねても、
「ばかやろー、常識だから常識だ、って言ってんだよ。『○○には△△』これは常識なんだよ。いいから、つべこべ言わずにやれ!」
などと言うことになって、「はあ、そうですか。『常識だから常識』なんですね、はいはい」ということになるわけです。
自分の主義やら主張やら要求やらを、強引に相手に押し付けたい場合なんかに便利ですよね、「常識」って言葉。理由も明らかにせず(出来ず)とも「そんなの常識」と言ってしまえばそれで済む。いや、便利な言葉ですね、「常識」。

先日、某社で作られた、とてもとても読みづらいCのプログラムを見る羽目になったのですが、何が読みづらいかと言って、訳の分からないコーディング規則に則って作られているからなんですね。
実際にそのコーディングルールは目にしてないので推測ですが、変なところを挙げてみると、

他にもいろいろとあるのですが、止めておきます。
何やら「台帳管理」というのが好きらしく、いたるところにその痕跡が…。
そのプログラムを作った会社の人に、又聞きの又聞きで聞いたところによると、「メインフレームの常識」「COBOLあたりの常識」なるものをかなり持ち込んで、そのコーディングルールが作られたらしい、という情報は得ました。
多分、今は偉くなっている、昔のCOBOLプログラマが、「これが常識なんだよー!! これからはこのルールに従って作れ」とか怒鳴りつつ、そういう変なコーディングルールが成立したのではないか、と。そのときの光景が目に浮かぶような気がしますが、気のせいでしょうか?

とにかく、仕事でもプライベートでも、やたら「常識」「常識」と連呼する輩は多いですが、私自身としては「常識」という言葉を連発する人間は信用しないというか、出来れば避けて通りたいなあ、と思っています。そういう人たちって、何事によらず思考停止していそうで、話をするだけで疲れてしまいそうです。
というわけで、「『常識』を連呼する人間は避けて通る」…これ常識。

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