新・闘わないプログラマ No.207

立会い


新システムのカットオーバーの時とか、何かシステムに大きな変更が加わった時とか、はたまた特別日(まあ著名な日としては2000年1月1日みたいな)とか、システムに何らかの障害が発生する確率の高いとき、しかもその可能性が平日の昼間とかいうような通常の勤務時間外の場合、障害に即座に対応できるように、そのシステムに詳しい人間を出勤させて待機させる、というようなことをよくやります。
私の知っている範囲内では、どこもこのことを「立会い」と呼んでいます。多分、この業界では、どこでもそう呼んでいると思うのですけど、どうなんでしょう?
暇つぶしにちょっと、辞書でも引いてみると…(「広辞苑 第五版」岩波書店)

たち‐あい【立会・立合】‥アヒ

  1. たちあうこと。特に、後日の証拠のため、その場に臨席すること。また、その人。
  2. 江戸幕府の評定所の定期会合の一。毎月6・14・25日に三奉行・大目付・目付が出席し評議する。式日寄合に対する。
  3. 取引所で売買取引を行うこと。
  4. 能などで数人が一緒に演ずること。一番の中で相舞する場合(弓矢立合・船立合)と一番ずつ競演する場合とあった。
  5. 相撲で、双方が仕切りから立ち上がること。

なんかいつも「辞書を見てみると…」ってときには「広辞苑」ばかり引用していますが、別にこれは、私が盲目的に「広辞苑」を信頼している、とかそういうわけではなくて、ただ単に、いまこの文章を書いているノートPCに入っている辞書がそれしかない、というより、そもそも私が持っているCD-ROM版国語辞典がこの「広辞苑」しかない、っていうだけの話だったりします。
いや、他にもいくつか入れておきたいんですけど、何せこのPC、もうディスクの容量が無くて入れることができない、いやいや、それ以前にいろいろな辞書を買うお金も無いか。
まあ、そんなことはどうでもいいのですけど、しかしこの「広辞苑」の「たちあい」の項、最初の解説はいったいなんなんでしょ。「たちあうこと」って…。見た瞬間、どっと力が抜けてしまった私。いいのか? こんな解説で。
で、今回のこの駄文のテーマになっている「立会い」は…1番目の「たちあうこと」かいな? 別に「特に、後日の証拠のため、その場に臨席すること」ではないですけれど。

ううむ、辞書など引用してしまったら、全然本題に入らなくなってしまったぞ。
で、話を戻して、立会いなのですけど、私もこの業界に入って10ウン年、数え切れないほど立会いをやってきました。
夜遅くまで残っての立会い、早朝に出勤しての立会い、夜に出社して朝までの立会い、休日に出勤してきて立会い。どれも経験してますね。
この立会い、何もトラブルが無ければ、ただぼけーっとしているだけなので、それほど嫌な仕事ということでもなかったりします。まあ、一旦トラブルが起これば大騒ぎになるわけですが。
そんな中で、私が経験した立会いで、一番侘しかったのは、ある年の大晦日の夜のやつでしょうか。大晦日〜正月の立会いでも、1999年から2000年にかけての例のやつはもうお祭り騒ぎで、立ち会っている人間の数も多かったでしょうから別にどうということも無かったでしょうけど、その「ある年」は、ごく普通の大晦日でした。
その立会い、結構色々とやることがあって、大晦日の午後に始まった作業が一段落したのは夜の7時過ぎ。予定では、その後、明日の元旦の午前3時頃まで立ち会って、正常にバッチ処理が終了するのを見届ける、というものでした。
その日、立会いで仕事していたのは私一人。とにかく腹が減ったので、外に何か食べに行こうかな、と駅の方向に向かいました…んが、店が皆閉まっている。「そうか、今日はどこの店も早仕舞いか…」
開いていたのは蕎麦屋のみ。しかしそこは予約で満員。仕方が無いので弁当でも、とコンビニに行ってみると、弁当の棚は空っぽ。しんと静まり返った職場で、私は一人寂しく、コンビニで売れ残っていたパンをかじったのでした。
あと、これはまた別のときの話ですが、このときの立会いも結構辛かった…5月の連休中、というのはまあ仕方が無いとして、何せ立会いでやる確認作業(10分程度で終わる)が12時間おきに計8回。連休中、毎日10時と22時に出勤しての確認作業。勤務時間は合計2時間弱なのに、連休がこれですべて潰れてしまったという…。

最近は、会社のネットワークにダイヤルアップのアクセスポイントを設けて、家からでも会社のネットワークに接続できるようになって、職場で立会いをしなくてもいいような場合も増えてきています。
障害が発生しても、家から接続して復旧作業を行う、なんてことも可能なことが結構多いです。大抵のサーバやら機器はtelnetやらWWWで操作が可能なので、遠隔地からであっても操作するのに支障はほとんど無いのですけど、問題なのが、Windows NT/2000。
Windows NTやWindows 2000でもそれなりに遠隔操作は出来ないことも無いのですけど、いろいろな操作自体が、原則としてGUIベースのアプリケーションで行うため、非常にやり辛い。デスクトップ自体をリモートコントロールする方法も(それなりのソフトウェアを導入すれば)可能ですが、細い回線でそれをやると恐ろしく時間がかかるし。
これはもう、繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し(←しつこい)言われていることですけど、NTのように、各種設定をGUIアプリケーションに頼るのは止めて欲しいわけです。あと、できればレジストリに設定内容を入れる、というやり方も。
まあレジストリは、その考え方自体にはいろいろとメリットはあるわけですけど、でも、/etcの下にテキストファイル(これがHKEY_LOCAL_MACHINEに相当するのかな)、ホームディレクトリの下にドットファイル(これがHKEY_CURRENT_USERかな)、っていうUNIX流のやり方でもさほど不都合は起きてないわけですし、それでも別にいいんじゃないのかいな、と思うわけです。

などと、今週もまた駄文を書いている日曜の夜だったりするわけですが…あれ? そういえば明日の朝は立会いじゃなかったかな。ええと、確か朝の6時半までに出社…げ、もうこんな時間ではないか、早く寝よ。

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