新・闘わないプログラマ No.161

ジャンク品


先日、パソコンなどの中古品を扱っている店に行って、ジャンク品を漁っているときに、そばにいた客同士の会話を耳にしました。その店は、秋葉原のような特殊(←おい)な場所にある店じゃなくて、横浜の郊外の方にあったりして、客層もカタギ(?)の人ばかりのようでした。
「ここの物って、『動作保証はいたしません、返品は受け付けません』って書いてあるぞ」
「なんだ、それ。こっちには『壊れています』って書いてるよ」
「そんなもん売るなんて、いい根性してるよなあ」
「しっかし、こんなん買うやつなんがいねーよなあ。壊れてるんだぜー」
「店の奴らもバッカじゃねーか? それとも、騙されて買う奴を期待してるのか?」
「まったくさあ、こんなあくどい商売、許されるのか?」

果たして「ジャンク品」というカテゴリが、どの程度まで一般的に認知されているのか、私はよく分からないのですけど、秋葉原などのようなある意味特殊な場所じゃない、この店のようなところでジャンク品を売る、というのは店側としても結構危険が伴うのではないか、などと他人事ながら心配になったりするわけでして。
上のような会話を聞いていると、結構、トラブルもあったりするんじゃないかなあ、などと思ったりするのですけど、実際にはどんなものなんでしょう。
掲示板なんか眺めていても、結構、その手のトラブルって見つけられます。例えば、こんなの。

「○○という店で○○の中古品を安く見つけて、買いました。家に帰って使って見たら、これが動かない。早速、店にクレームを付けたのですけど、返品にも交換にも応じようとしないんです。これは『ジャンク品』とかいうもので、返品はきかない、そう書いてあるだろう、といわれてしまいました」
「そりゃまあ、ジャンク品なんだから、返品は無理でしょうね」
「でも、壊れていたんだから返品くらいしてくれてもいいじゃないですか」
「だから、店側としては、動作保証もしないし、返品も受け付けない、というのを前提に安い値段を付けているんだから、それは無理というものでしょ」
「それは変でしょう? だいたい、壊れているものには何の価値も無いんだから、そんなものに値段を付けて売るのは詐欺行為じゃないですか!」
「いや、だからさ、『動くかどうか分からないよ、それを承知の上なら買ってね』というのがジャンク品なんだから」
「ほら、そうやって『ジャンク品』なんていうごく一部でしか通じない隠語を使って消費者を煙に巻くようなことを言って…」
「だからさあ、ちゃんと『返品や交換は受け付けない』って書いてあったでしょ?」
「それは不良品じゃない場合でしょう? 書店にだって『お買い上げいただいた書籍の返品は出来ません』って書いてあるけど、乱丁や落丁の場合は交換して貰えるでしょ?」
「…」
「消費者保護の観点から、こういう悪徳商法は禁止すべきだと思う」
「全然、悪徳じゃないと思うんだけど。中古品を新品と偽って売ったり、動作保証が無いものを、そうじゃないように見せかけて売ったりしたら、そりゃあ詐欺だと思うけど、そういうわけじゃないでしょ?」
「それはおかしい。消費者は保護されるべきなのであって…」
「無条件の『消費者保護』は、結局、自分で自分の首をしめることになると思うんだけどなあ」
「だいたい、壊れていると分かりきっているのなら、誰一人として、そんなものをお金を出して買ったりするはずがないでしょう?」
「いや、そうとも限らないよ」
「へー、じゃああなたは壊れているものにお金を出すんですね、信じられない」
「あなたが信じるかどうかはどうでもいいけど、全体としては正常に動作しないかも知れない物でも、個々の部品は生きていたりするわけで、部品取り用としては使えるし…」
「部品を取ってどうするの?」
「自分の持っている機械の修理に使ったり、逆に手持ちの部品でジャンク品の方の修理したり…まあいろいろ使い道があるんだよね」
「そんなことするの、ごく一部の人間だけでしょう?」
「そうだよ。何を当たり前のことを言っているの。ジャンク品なんて、そういう一部の人向けのものなんだけど」
「だったら、そんなもの、法律で禁止したらいいんだよ。それで困る人間なんてほとんどいないんだから。いかなる場合でも不良品には交換の義務を店に課す、というふうにすればいい」
「そりゃ、ジャンク品が好きな私が困る」

私自身、ジャンク品はあまり買ったりしたことは無いのですけど、眺めて歩くのは好きですね。何か、懐かしいモノとか、「おお、こんなモノまで売ってるよー」っていうのとかあって、結構楽しいです。だから、あまり変なクレームとかが増えて、そういうのが商売として成り立たなくなったりすると、それはそれでヤだなあ、と思ったりするのですけど、杞憂でしょうか。
しかし、最近は、昔に比べて掘り出し物が少ないというか、全体的に値段が上がっちゃったような気がするのですけど、気のせいでしょうか。こんなん100円だよ100円、ってのが1000円くらいで売っていたりして、100円なら買ったかも知れないけど、ということも結構あったりします。
まあ、それで無くても、うちにはコンピュータ関係その他もろもろのガラクタがダンボール6箱…いやいや7箱だったか…くらいに入っていて、さてどうしたものやら、という状態だったりするわけでして…。

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