新・闘わないプログラマ No.126

インストーラ


先週、大量インストールについて書いたら、何通かメールを頂きました。
LinuxなどのPC UNIXのブートフロッピーやCD-ROMを使って、大量インストールやディスクのリカバリを実際に行っている、という方もいらっしゃいました。PC UNIXでも、いろいろやれば1枚のフロッピーで、TCP/IP上のプロトコルでサーバからディスクイメージを取って来て、ローカルのディスクに書きこむ、ということも出来るようです。まあ、今ならCD-ROMブートが出来るPCも多いから、そっちでやった方が、ブートディスクのサイズの制限が緩くて面倒が無いかも知れませんが。
それから、これも紹介していただいたのですけど、NORTON Ghostという、ディスクイメージバックアップツールというのもあるようです。私もちょっと見てみたのですけど、面白そうなソフトです。マルチキャストを使って、大量のPCに高速にディスクイメージを書きこむことが出来るようで、これはかなりよさそうです。ただ、もちろんこの手のソフトは実際に試用して見ないと、使い勝手や制限等がよく分からないところもありますから、機会があったら調べてみようかな、などと思っています。あ、あと一台あたりのライセンス料が必要のようで、このあたりもちょっと…この手のソフトはインストールやリカバリ時にしか使いませんからね。

先週は、初期インストール時のことについてあれこれ書きましたが、今回はインストーラについてあれこれ書いてみようか、などと思っています。要するに先週の続き、という安直なテーマです。

1997年頃に、あるシステムを構築しました。そのシステムでは、クライアントとしてWindowsNT 3.51のPCを1000台くらい入れました。そのクライアントPCでは、件のシステムのアプリケーションの他に、Microsoft Office 95、Netscape Navigater Version 3(←細かいバージョンは忘れた)を入れて、OAシステム(←死語?)や「いんたーねっと」もできるようになっていたのですが……ユーザからのソフトのバージョンアップの要求が結構すごい。

要するに、ユーザ側の要求って「なんか分からないけど、新しいのが出たからバージョンアップしてくれ」というのが多いんですよね。いやまあ、それなりにお金をちゃんと貰えればやらないことも無いですけど、ソフトのバージョンアップの料金は払っても、こっちの仕事(バージョンアップに伴う動作確認やら、実際のバージョンアップの作業費)などはロクに払ってくれないことも多かったりして…結局ただ働きに近かったりすることも多いです。
「どーせ、ロクに新しい機能なんて使ったりしないくせに、どーしてエンドユーザって、バージョンアップしたがるんだろーなあ」というのが本音だったりします。

ところで、このソフトのバージョンアップを大量のPCに対して行う、というのは結構大変な作業です。これが数台程度だったら手作業で一台一台やっていっても大した作業量じゃないですが、これが数百台・数千台になると、これが大変な仕事です。
前々から思っているのですが、現状のほとんどのPC用ソフトウェアのインストーラって、どうしてGUIベースなんでしょうね。あれ、困るんですよね。一台一台手作業でやって行くだけなら、GUIインストーラも便利かも知れませんが、大量な定型作業としてインストールを行う場合なんかは、「マウスでボタンをクリック」なんてことはやってられないのですね。間違って違うボタンを押しちゃうこともよくありますし。
コマンドラインで動く(コンソールアプリケーションになっている)インストーラが付いてさえいれば、スクリプト(バッチファイルなど)を書いておいて、それを動かしちゃえば、間違いの無いインストールやバージョンアップが出来るのになあ、などと思っちゃうわけです。
要するにUNIXのパッケージ管理のようなイメージですね。例えばRed Hat LinuxならRPMというパッケージ管理の仕組みがあって、コマンドでパッケージのインストールやバージョンアップや削除が出来ます。「コマンドで操作するのは使いづらいし面倒じゃないか」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そういう方のためには、GUIを使ったパッケージ管理のプログラムもあって、そいつが実際のコマンドを起動する、という形で使うことも出来ます。

クライアントコンピュータを集中管理するシステムが製品としていろいろありますが、それらの機能の一つとして、プログラム配信というのがあります。これは、センター側から一括してアプリケーションなどのソフトウェアをクライアントに送って、クライアントにインストール(新規インストールの場合もあるし、バージョンアップの場合もある)する機能です。
これを使うと、いちいちクライアント側でインストール作業を行わなくても、センター側の指示で集中的にインストールの指示が出来たりするので、ソフトのインストールの手間が大幅に省けたりする、というのがうたい文句です。
ただ、これ、インストーラがコマンドになっているやつなら、ユーザに分からないように裏でインストール作業が出来ますので、まあ問題無いのですけど、GUIインストーラのやつって、そううまく行かないのですよね。私もいろいろな製品を触ってみたのですけど、GUIインストーラしかないソフトウェアをインストールする場合、インストール指示を出すと、クライアントPCにインストール画面が出てきて、勝手にインストールを始めてしまう。ユーザが使っていようがお構いなし。
「あ、あの、私のパソコンが勝手に…勝手に動いているいるんです!! ホントですってば。ど、どうしたらいいんでしょう。私、なんにも変なことしてません。でも、おかしいんです!!」

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