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この町ではよくつっけんどんな対応に出くわす。 一般のタクシーは感じが悪く働く気があるのか不明だ。
ところが、2001年11月初めてこの地を訪れてからあっという間に訪問回数は3回になってしまった。 プラハは本当に不思議な吸引力を持った町だ。
この町には音楽が満ち満ちている。 3つのオペラ劇場、2つのすばらしいコンサート・ホールがある。 またこれらの施設そのものが芸術作品だ。 そしてかなりの確率ですばらしい演奏に接することができる。 教会では室内楽や宗教音楽のコンサートが頻繁に開催され、マリオネットのオペラもある。
町のたたずまいも魅力的だ。 そしてムハ Mucha。 右はプラハ城内の聖ヴィート大聖堂のムハのステンドグラスの一部だ。
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日本からプラハへは直行便は無い。 したがって飛行機でプラハに向かう場合にはフランクフルト、ミュンヘン、ウィーン、コペンハーゲンあたりで乗り換えることになる。
プラハの空港は1ヶ所、プラハ・ルズィニェ空港 Puraha Ruzyne Airport は規模は大きくないが機能的な良い空港だ。 鉄道はここまで来ていないので、プラハ中心部へ行くにはタクシーか
CEDAS 社の空港シャトルバスということになる。 90コルナで共和国広場 nam
Ripubliky まで行く後者はその近辺に宿泊する場合には最適の交通機関だ。 タクシーで市内までは600から700コルナと思われるが、必ず事前に交渉し、料金を紙に書いてもらうくらいの事をやっておいたほうが良いかもしれない。 なお一般のタクシーは市内でちょっと乗ってもこれくらいの金額を言ってくる。 その点高めだがホテル・タクシーをホテルに依頼しておくと安心だ。
鉄道でウィーンやベルリンから到着する場合には普通ホレショヴィツェ駅 Praha-Holesovice
に到着する。 ここからは地下鉄C線があるが、市内のホテルまでタクシーということになるとやはり600から700コルナ要求される。 ブルノ等からの国内線列車の場合にはプラハ本駅
Praha-Hlavní に着く。
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プラハの公共交通機関も充実している。 A、B、Cの3つの地下鉄を中心にトラムが市中心部はもとよりかなりの郊外まで網の目のように張り巡らされている。 ただし2002年8月中旬の東欧の大雨のためにプラハの交通機関は多大の影響を受けた。 特に被害の大きかったのは地下鉄で、中心部はA、B、Cのいずれの線も2002年12月現在不通のままだ。 その代替としてX-A、X-BおよびX-Cのトラムがそれぞれ不通のA、B、C線の経路に準じ運行している。 そのトラムも一部で運休中である。
プラハ・トランスポーテーション・システムに属す地下鉄、トラム、バスの乗り換え不可1回券
Non Transfer Ticket は8コルナ、乗り換え可能1回券が12コルナで、後者は1時間内の乗換えが可能だ。 その他1日券70コルナ、3日券200コルナ、7日券250コルナ、15日券280コルナと期間が長くなると1日あたりの単価は非常に安くなる。 旧市街広場や共和国広場近くにホテルをとった場合には主要な見所は歩いていける距離だが、プラハ・ヒルトンや郊外に宿をとった場合には大いに利用価値がある。
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プラハの町にはいたる所にすばらしい建造物がちりばめられている。 ここではそのほんの少しを紹介しておこう。
まず誰もが訪れるのはヴルタヴァ川 Vltava にかかるカレル橋 Karluv most だろう。 カレル4世の時代の1357年7月9日5時31分にその基石がすえられそれから60年近い歳月がかけられ完成されたと伝えられる。 全長516m、幅10m、橋脚の数16というこの巨大な石橋の左右には各15対合計30体の彫像が並んでいる。 旧市街側から3つ目の右側の位置に14世紀にキリストの磔刑像が設置されたが、これが1657年に修復されてから次々とその数を増し現在の30体になった。 朝早い時間にここを訪れるとほとんど人もいず、ゆっくりとこの橋を堪能することができるが、やがて橋上には露店が並び非常な賑わいを見せる。 この橋の両端にはそれぞれ橋塔が立っている。 30コルナほど払って旧市街側の塔に登ってみた。 内部は思ったより広く、すばらしい木製天井を持つ広間など印象深い。 この塔の上から対岸を眺めたのが右写真である。 右上方に見えるのがプラハ城
Prazsky Hrad と城内にある聖ヴィート大聖堂 Chrám svatého Víta
である。
カレル橋を渡り、マラー・ストラナの聖ミクラーシュ教会 Chrám sv Mikuláse
の所で1本北(右)側のネルドヴァ通り Nerudova の坂をのぼり、城を右手に見ながら右に鋭角に曲がって急坂を上り詰めたところが王宮の入り口だ。
ここでは毎日正午に衛兵の交代式を見ることができる。 軍楽隊が王宮内の建物に陣取り金管楽器を奏し、衛兵交代の儀式が執り行われる。(左写真)
王宮内の聖ヴィート大聖堂は926年に建設された円筒形の教会ロトンダにその起源をさかのぼることができる。 その後そのロトンダはロマネスク様式の教会へと改築され、カレル4世が招聘したフランス人建築家ダラスによって設計され、その建築は1344年に開始された。 この大聖堂には随所に美しいステンド・グラスが見られるが、その中の一つにムハの作品(このページ最初の写真)がある。 聖ヴィート教会以外の王宮内の教会では聖イジー教会内の王宮らしい趣のある左右対称の湾曲した階段が実に美しく、見る価値が十分ある。
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旧市街 Staré Mesto の旧市街広場に行ってみよう。 この広場は北に旧市街の聖ミクラーシュ教会
Kostel svatého Mikuláse、ここでは宗教曲のコンサートが頻繁に行われる、東にはゴルツ・キンスキー宮殿
Palác Goltz-Kinskych と、2本の高さ80メートルもあるおとぎ話の城の尖塔ような鐘楼を持つティーン教会
Matka Bozi pred Tynem、そして南西には旧市庁舎 Stromestská radnice
を擁する広大な広場だ。
現在この広場の真ん中から少し北東よりに、チェコの宗教改革の先駆者で1415年に異端として火あぶりの刑に処せられたヤン・フス
Pomník Jana Husa の青銅像が彼の没後500年目に当たる1915年に建造された。
旧市庁舎には有名な天文時計 Orloj (右写真)が南面に取り付けられていて、1時間ごとに「12使途の行進」の仕掛け人形が、この写真では見えないが上の文字盤より上の2つの扉の中で行進する。 上の文字盤は1年で1周する天体の動きを表すプラネタリウムと呼ばれるもので、下は黄道12宮の描かれたカレンダリウムだ。
モーツアルトの「ドン・ジョバンニ」の初演の行われたスタヴォフスケー劇場
Stavovské divadlo はこの広場の南東に位置する。
この広場からは共和国広場やムハ美術館 Muchovo Museum も近い。
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チェコ・フィルハーモニー Ceska filharmonie の本拠地、芸術家の家 Dum umelcu、通称ルドルフィヌム
Rudolfinum は旧市街カレル橋のたもとを北へ400mほど行った左側に位置(右写真)する。
ごらんのようにその堂々たる正面(南面)の前には良く整備された広場がある。 内部にはドヴォルジャーク・ホール
Dvorakva sín と呼ばれる大ホールや、スーク・ホール Sukova sín
などがある。 この建物はデザイン・コンペティションの勝者、ヨーゼフ・ジーテック
Josef Zítek とヨーゼフ・シュルツ Josef Schulz の設計に基き、1876年から1885年にかけて建設された。
大ホールに入ってみよう。 まず舞台の位置が低いことに驚くが、これがオーケストラ席の聴衆とのコミュニケーションを大変良いものにしている。 ギリシャ様式の列柱の背後にはバルコニー席が広がる。
私はここで2002年10月11日にウラジミール・アシュケナージ Vladimir Ashkenazy
指揮、プラハ・フィルハーモニック・コーラス Prazsky filharmonicky sbor 合唱、ソプラノ
Inger Dam-Jensen、メゾ・ソプラノ Birgit Remmert でマーラーの「復活」を聞いたが、度肝を抜かれるほどのすばらしさであった。
ちなみにこのルドルフィヌム、1919年から1939年の間チェコ共和国国会として使われており、1992年に1985年当時の様式に復元されて今日に至っている。
プラハにはもう一つすばらしいコンサート・ホールがある。 市民会 館 Obecní dum の中にあるスメタナ・ホール Smetanova sín だ。 共和国広場に面し、1912年に正式にオープンしたこのアール・ヌーヴォー・スタイルの市民会館は当初は一部の建築家から前時代的だと批判されたそうだ。 内部にはムハの装飾した部屋などがあり、ガイド・ツアーに参加するとスメタナ・ホールを含めその華麗な内部を見て回ることができる。
「プラハの春」は毎年5月12日、このホールでのスメタナの「わが祖国」で開幕する。
ここはプラハ交響楽団の本拠地である。
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劇場が引けた後の食事の場所を探すのはどこの都市へ行っても苦労するが、その点プラハは比較的恵まれている。
まずスタヴォフスケー(エステート)劇場の近くではレストラン・ムハ Restaurant Mucha (Melantrichova 5, Praha 1, Tel 224 225 045)が良い。
壁面にはムハのリトグラフが飾られ、ワインもオリジナルのムハ・レーベルのものがうれしい。 上品で味も良いので、プラハに行くと1回はここで食事をしないと気がすまないといった感じだ。 24時までやっているのでオペラの後でもOKだ。
国民劇場の近くでは、国民劇場から旧市街のほうへ少し戻った所にあるクラステルニ・ヴィナルナ Klasterni Vinarna (Národní 8, 110 00 Praha1, Tel 224 930 070) は落ち着いた雰囲気の上品なレストランで24時まで営業している。 ここではピアノなどの生演奏も聞くことができる。
それともう一軒、国民劇場からクラステルニ・ヴィナルナの前を通り越し、スーパー TESCO の十字路を左に折れたすぐ左側にウ・メドヴィドゥク U Medvidku (Na Perstyne 7, Praha1 Tel 224 211 916) というビア・ホールがある。 アメリカのものでない本場のバドヴァイザーを飲ませてくれる。 ここは23時までなのでコンサートの後などでは使える。 ただしビア・ホールの好きな方にはお奨めだが、料理は不細工で、値段もそれほど安くない。
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プラハのホテルはどこも高く、また予約も取りにくい。
プラハ国際空港から最も経済的に市中心部に向かうには、「プラハに到着」の項で述べたCEDAS 社の空港シャトルバスで共和国広場へ到着することだ。
この近くにはホテル・メテオル・プラザ Hotel Meteor Plaza (Hybernska 6, 110
00 Praha 1, Tel 224 192 559) というベスト・ウエスターン加盟の4つ星ホテルがある。 このホテルの良さは、予約がベスト・ウエスタンのホーム・ページからでき、共和国広場から1分というロケーションが最高なことだ。 またシーズン・オフにはシングル朝食つきで80ユーロを切るかなり安いレートが出る。 部屋は狭いが清潔だ。
もう一つ少し遠いがヒルトン・プラーグ(右上写真) Hilton Prague (Pobrezni
1, Praha 8, Tel 224841111)は部屋が広くて快適だ。 しかも上記ホテル・メテオル・プラザよりレートが安いこともあるので、私は必ず双方のレートを確かめて予約するようにしている。 ここの場合にはしかし劇場に行くにはトラムを使うかホテル・タクシーということになる。
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