ビジター・センターへ  チェスラー・パーク・トレイル
 ニードルスの概要  旅のヒント
 スリックロック・フット・トレイル

わが国からニードルスへ向かうには、ユナイテッド・エクスプレス等の就航しているグランド・ジャンクション Grand Junction が便利だ。 インターステート70号線を西に約80マイルのクレッシェント・ジャンクション Crescent Junction からUS191を南へとる。 モアブ Moab を越えてモンティチェッロ Monticello の手前のチャーチ・ロック Church Rock でニードルスへ通ずる道UT211へと右折(西へ)する。
クレッシェント・ジャンクションからチャーチ・ロックまでが約50マイル、ここから一本道をニュースペーパー・ロック Newspaper Rock を越えてニードルスのビジター・センターまでが35マイルと、結構距離がある。 なおニュースペーパー・ロックにはアナサジの岩石彫刻 petroglyphs がある。
ビジター・センターの手前の公園入口ではパンフレットを必ずもらっておこう。 そのパンフレットに記載されている地図は比較的詳しく役に立つ。 私の訪れたトレイルにはどこもトレイル・ヘッドに案内書は置いて無かったが、ショート・トレイルを歩く場合にはこれで十分だろう。 1時間以上のトレイルを歩く場合には、トレイル・イラストレイテッド・マップ Trail Illustrated Map を購入すると良い。 ビジター・センターで $9.85 であった。 ただし62,500分の1の縮尺で、それほどは詳しくはない。

ニードルスの概要

ニードルスも大変広い。 公園内の舗装道路はわずかだ。 一方ダートの四輪駆動車またはマウンテン・バイク用の道路も本数が少なく長距離だ。 そのため一般車を使う入園者の行動範囲は限定されてしまう。 ここではそのアクセス面から道路を基礎に4つの地域に分けてニードルスを説明しよう。
まずゲートから舗装道路で10マイルほどのビッグ・スプリング・キャニオン・オーバールック Big Spring Canyon Overlook を中心とする地域。 ここにはスリックロック・フット・トレイルがある。
2番目の地域は、ビッグ・スプリング・キャニオン・オーバールックへの道路から別れて舗装道路を1マイルほどのスコー・フラット Squaw Flat、そしてスコー・フラットへ行く道から分岐し、3マイルほどのダートではあるが一般車の通行可能なエレファント・ヒル・アクセス・ロード Elephant Hill Access Road の終点エレファント・ヒル・パーキング・エリアを起点とした地域。 これらの南に位置するニードルス・トレイル Needles Trails という一帯にはトレイルが多く、ニードルスの景観を堪能できる地域だ。 しかし短いトレイルでも3時間以上は必要で、この近辺だけで丸1日かける価値が十分ある。 これら2つの地域が一般者向きだ。
3つ目の地域は主に四輪駆動車と熟練したドライバー達がバックカントリー・パーミッツを事前に取得した上で入る地域だ。 ソルト・クリーク・ロード Salt Creek Road およびホース・キャニオン・ロードHorse Canyon Road を通り、キャッスル・アーチ Castle Arch やフォートレス・アーチ Fortress Arch を見ることができる。 ここはキャンプ場が無いことからハイキングも難しいようである。
4番目の地域は体力のあるハイカーたちの地域。 片道5マイルのピーカブー・トレイル Peekaboo Trail に続く、ホース・キャニオン・ロードの西側のアッパー・ソルト・クリーク・トレイル Upper Salt Creek Trail という片道22.5マイルのトレイルに沿った地域だ。 このトレイルではいくつかのアーチの他、アナサジの住居跡等の遺跡を見ることができると言う。 またトレイル終点の公園外のキャシードラル・ビュート Cathedral Butte (キャニオンランドの最高所 2,382m)近辺で未舗装道に接続している。

スリックロック・フット・トレイル

キャニオンランズにつくとまず舗装道路一番奥のビッグ・スプリング・キャニオン・オーバールックに向った。 道々奇妙な形の魅力的な岩岩が遠望される。 終点にほど近いスリックロック・フット・トレイル Slickrock Foot Trail 入り口に車を止め、その2.4マイルのループ状のトレイルを歩き始める。 やがて眺望が開け、右写真のような谷の向こうに多少面白い形状の岩が見られる。 しかし正直印象的とは言いがたい。
トレイル・ヘッドに戻ると少し奥のビッグ・スプリング・キャニオン・オーバールックへ向かう。 ここではいくつかの奇岩を間近に見ることができる(下写真)が、これもたいしたことは無い。 キャニオンランズとはこんなものかと思い始める。 

チェスラー・パーク・トレイル

ビッグ・スプリング・キャニオン・オーバールックからスコー・フラットへの分岐に戻り、舗装道路を少し走った後未舗装のエレファント・ヒル・ロードに入る。 分岐から4マイル、未舗装となってから3マイルでエレファント・ヒルのパーキング・エリアに着く。 このパーキング・エリアにはトイレが設置されている。 ここから奥のトレイルにはトイレは一切無いのでここを利用しておくと良いだろう。
ここからはエレファント・ヒルの四輪駆動車用の道が続くが、そのスタート地点の急峻で荒れた道に驚愕する。 本当にここを四輪駆動車は登っていけるのだろうか。
さて私たちはチェスラー・パーク・トレイル Chesler Park Trail を行くことにする。 右地図の「You Are Here」とある所がエレファント・ヒルのパーキング・エリアでここから赤い点線で示されるトレイルを行くわけだ。 午後4時半にここを出発し、日没前の午後7時にはこの地点に戻ってこないとならない。 したがって2時間半で往復できる範囲でこのチェスラー・パーク・トレイルを歩くことになる。 ちなみにチェスラー・パーク・ビューポイント Chesler Park Viewpoint と言う地点までの往復は6マイルで、3−4時間かかると言うことである。
駐車場わきの道標(左写真)に従い、かなりの急坂を登る。 そこを登りきるとしばらく平坦なトレイルとなり、その両側に多様に好ましい形に削られた赤茶けた砂岩の岩岩が連なる(右写真)。 やがて左側に1人のレンジャーが岩に座って上から監視しているのに出会う。
そこを通過するとトレイルがわかりづらくなってきた。 たよりは石積みの道標であるが、これがなかなか見つからない場所がある。 

やがて木製の道標のある地に着く。 ここを左に行くとスコ−・フラット、右がチェスラー・パークとドゥルード・アーチ Driud Arch 方面だ。 右へ登っていくとやがて峠になるのだが、そこが切通しのようになっている(左写真)。 高さ5−6mの岩が人が1人やっと通れる60−80cmの幅できれいに切り取られているのだ。 地面については人為的に改良されているのが明確だが、国立公園の中でこれだけの距離に渡って人の手によって岩が削り取られたとは考えにくい。 自然のなせる業であろうか。
この切通しを通過すると、全く別の世界が眼前に開ける(右写真)。
そこを抜けるとエレファント・キャニオンという道標があり、ドゥルード・アーチへ直行する道と、チェスラー・パークおよびチェスラー・パーク経由でドゥルード・アーチへ行く道に分岐する。 ここまでおおよそ50分かかってしまった。 私たちに残された時間は25−30分である。 チェスラー・パークへの道を進む。

右に谷のかなたに砂岩のきのこ上の尖塔群を見、左には切り立った岩山を見ながら進む。 やがて前方にひときわ際立った尖塔が迫ってくる(左写真)。 トレイルはその尖塔とその右側にあるもう一つの尖塔との間をかなりの急傾斜で登っていく。
そこを登りきると、さらに圧倒的な景観が現れる。 左側にこけしのような形の岩が並び、その右側遠方に形の良い尖塔が連なる(下写真)。 ここには道標が無かったが、どうもここがチェスラー・パーク・ビューポイントのようだ。 その写真にハイカーが1人写っているが、この方は日本人でこの日すでにこの二-ドルス・トレイルという一帯を8時間ほど歩いておられると言うことだった。 それほど魅力のある地域である。
さて目を右に転じると、その下の写真のようにこれまたすばらしい形の岩岩が遠望される。 ここで予定オーバーの5時50分となってしまったので、次回にはここで最低1日は歩くぞと心に誓いながら後ろ髪を引かれる思いで引き返すことにする。 

Chesler Park View Point

先ほど通った見上げるような尖塔の間を抜けると夕闇が迫って来、谷の向こうのきのこや尖塔がその赤みを増した(下写真)。

切通しを通過し、スコー・フラットへの分岐を過ぎ、行きに石積みを見失ったあたりも左に丸っこい岩岩を臨みながら順調に通過でき、無事7時5分過ぎには駐車場に戻ることが出来た。
未舗装道路を揺られ、公園入り口を過ぎると真っ暗闇となった。 スピードを落とし時間をかけUS191に出、それを北上してモアブで宿を取った。
帰国後地図を広げて調べてみると、この地域をキャンプをせずに回るには3日程度必要なことがわかった。 

旅のヒント

ニードルスの主要な見所をおおむね見ようとするのは難事業だ。 公園内に宿泊施設が無いのがネックとなっている。
モンティチェッロ近辺を基地にして日帰りのハイキングを繰り返す方法だと理想的には4日必要だ。 すなわち1日目はスコー・フラットからピーカブー・トレイルをピーカブー Peekaboo へ片道5マイル、帰りはロスト・キャニオン・トレイル Lost Canyon Trail、スコー・キャニオン・トレイル Squaw Canyon Trail 経由で戻ると片道8.5マイル合計13.5マイル。 2日目にはスコー・フラットからビッグ・スプリング・キャニオン・トレイル Big Spring Canyon ドゥルード・アーチ・トレイル Druid Arch Traul 経由でドゥルード・アーチに至る。 ここまでで8.4マイル。 帰りはチェスラー・パークトレイルに出てスコー・フラットに戻ると7.4マイル。 合計15.8マイル。 かなりきつそうだ。 そして3日目にエレファント・ヒルのパーキング・エリアを出発し、チェスラー・パーク・トレイルからジョイント・トレイル Joint Trail を通り、大きくデビルス・キッチン Devils Kitchen を回って駐車場に戻る13.4マイル。 そして4日目はビッグ・スプリング・キャニオン・オーバールックからコンフルエンス・オーバールック・トレイル Confluence Overlook Trail をオーバールックまで行く往復11マイルのトレイル。 オーバールックからはコロラド川とグリーン・リバーの合流点が俯瞰できると言う。
その他比較的に参加しやすいのがエレファント・ヒルを行く4WDの3日間のツアーあたりだろう。 これは3月ころから10月ごろまで週1回程度催行される。 食事はつくが、テントやスリーピング・バッグは自前またはレンタルする必要がある。
最も行きにくいのはアッパー・ソルト・クリークのハイキングで、これはバック・カントリー・パーミットを取り、テントを担いで歩くしかない。