ビジター・センターへ  アップヒーバル・ドーム
 アイランド・イン・ザ・スカイの地形と道路  その他の見所
 グランド・ビューポイント・トレイル  旅のヒント

アイランド・イン・ザ・スカイへのゲート・シティーはモアブ Moab だ。 ここからUS191を北に、アーチーズへの分岐を過ぎたモアブから8マイルほどのところをUT313へと左折する。 なおそのT字路前方右側に牧場風のジェネラル・ストアがあり、給油、飲み物、食料品などの調達に便利だ。
左折するとすぐ踏み切りだ。 ここから公園入り口ゲートを通過し、約24マイルでアイランド・イン・ザ・スカイのビジター・センターだ。 モアブからだと32マイルである。 モアブから5マイルでビジター・センターと言うアーチーズに比べると格段に遠い。

アイランド・イン・ザ・スカイの地形と道路

アイランド・イン・ザ・スカイは西のグリーン・リバーと東のコロラド・リバーによって逆三角形状に他の地域から三方が隔離されている。 唯一他の地域と連続して接しているのは北側である。 ゲート・シティーであるモアブはこの地の北東に位置するのだが、コロラド川に阻まれモアブからアイランド・イン・ザ・スカイへの道は大きく北側を回って作られているため32マイルもの距離となっている。
アイランド・イン・ザ・スカイ内の舗装道路はY字型に広がる平坦で広大なメーサの上に、その頂上部分の形状にしたがってY字状に作られている。 その高度はおおむね6,000フィートだ。 この頂上部分が空に浮かぶ島のようであるので、この地は「アイランド・イン・ザ・スカイ」と名づけられたようである。 そのメーサの下方には標高4,800フィート地点に広がるホワイト・リム White Rim があり、コロラド川の標高はさらに低く約4,000フィートである。
公園北東部に公園入り口とビジター・センターがある。 その舗装道路中心部のY字路を北西に行くとその終点部分がアップヒーバル・ドーム Upheaval Dome、南へ行くとその終点がグランド・ビュー・ポイント・オーバールックと単純だ。 そしてアイランド・イン・ザ・スカイの周りを大きく一周する総延長100マイルに及ぶ未舗装の4輪駆動車のみ通行の許される道路がある。 すなわち公園入り口南から始まるシェーファー・トレイル・ロード Shafer Trail Road を下り、この一周道路のハイライト、ホワイト・リム・ロード White Rim Road、公園外のホースシーフ・トレイル Horsethief Trail そしてミネラル・ボトム・ロード Mineral Bottom Road を経てビジター・センターの北8マイルのところでUT313に接続している道路である。

グランド・ビューポイント・トレイル

公園内の舗装道路の南端グランド・ビューポイント・オーバールックへ行く。 ここからの眺望は実に雄大で100マイル先まで見ることができると言われる。 しかし私たちは午前中にここを訪れたために、逆光で霞がかかったような状況でクリアーな遠景を望むことは出来なかった。 ここからの景観を堪能するには午後に来ることをお奨めする。
Grand View Pointグランド・ビューポイント・オーバールックから下を眺める(上写真)と、ホワイト・リムとさらに一段と低いモニュメント・ベースン Monument Basin が遠望できる。 上の写真では判別できにくいと思うが、ホワイト・リム(写真の高度の高い部分。 さらにその下の部分がモニュメント・ベースン。)の表層部は白色のナバホ・サンドストーンで覆われており、そのことからホワイト・リムと呼ばれるようになった。 モニュメント・ベースン(下写真)はリム頂上部Monument Basinの白色のナバホ・サンドストーンの強固だった部分のみをタワーとして残し、大きく侵食された深い谷だ。
グランド・ビューポイント・トレイルは駐車場からメーサの南側の断崖の縁に沿って1マイルほど続くトレイルだ。 このトレイルはほぼ平坦なため、お年よりものんびりとその景観を楽しみながら歩いていた。
柵の無い縁に立って下をのぞくと迫力満点だ。 すばらしいタワーの林立するモニュメント・ベースンにもっと近づいてみたくなるだろう。

Upheaval Domeアップヒーバル・ドーム

この日午後からはアーチーズに行く予定をしていた私たちは、グランド・ビューポイント・トレイルを歩くと、他のビュー・ポイントには目もくれず舗装道路北西の終点アップヒーバル・ドーム Upheaval Dome へ向かった。

その外輪の直径1.5マイル、深さ0.25マイルというアップヒーバル・ドーム(右写真)は火山の火口のような形をしており、クレーターとも呼ばれる。 緑がかった薄茶色の部分は岩塩層が露出している部分である。 しかしここは火山ではないのだ。 その成立については次の2説ある。 
まず昔から広く支持されてきたソルト・ドーム説 Salt Dome Theory。 3億年前この地は内海であった。 そしてその後の長期間の間に水分が蒸発し、塩分が残り岩塩層を形成した。 その上に堆積物がたまり、それが厚い岩石層となった。 その岩石層の重み耐えかね、岩塩層が浮力によって押し上げられドームを形成した。 その後長期間かかって上を覆っていた岩石が侵食され現在見られるようなクレーター状の地形になったという。 なおキャニオン・ランズには多くのソルト・ドームのあることからもこの説は長い間支持を受けていた。 「隆起ドーム」と言う意味の「アップヒーバル・ドーム」という名前はこの説による。 
最近になって有力となってきたのが隕石衝突説だ。 この説によれば約6000万年前に直径500mほどの隕石が落下し、隕石クレーターを形成したという。

この外輪上を8.3マイルのシンクライン・トレイル Syncline Trail がこのクレーターを一周している。 大方の人々は片道1マイル弱のファースト・オーバルックへ行き、火口を覗き込んで帰る。 私たちはシンクライン・トレイルをセカンド・オーバールック方向へ2-3マイルほど歩き、その火口をいろいろな角度から覗き込んだ後引き返した。 しかしこわごわと下を覗き込んでも、その底部までは見ることができなかった。

その他の見所

今回私たちはスキップしてしまったが、アイランド・イン・ザ・スカイには次のようなビューポイントや比較的短いトレイルがある。
メーサ・アーチ・トレイル Mesa Arch Torail グランド・ビューポイントと並びポピュラーな場所で舗装道路がY字に交わる部分にごく短いトレイルがある。 アーチ越しに見る景観がすばらしいと言う。
ホワイト・リム・オーバールック White Rim Overlook グランド・ビューポイントの北、グースベリー・トレイルと同じ駐車場から片道0.75マイルのトレイルが続く。
グリーン・リバー・オーバールック Green River Overlook 舗装道路のY字路をアップヒーバル・ドームの方へ少し行ったところから左に舗装道路を行った突き当たり。 ソーダ・スプリングス・ベースン Soda Springs Basin のかなたにグリーン・リバーを臨む。

旅のヒント

アイランド・イン・ザ・スカイはガイド・ブックや他のウェッブ・サイトに記述されているほど簡単に見て回れるところではない。 丸1日かければメーサ上の主要なビュー・ポイントは回れるだろう。 しかし実際にここを訪れてみ、また帰国後に調査し直してみて、アイランド・イン・ザ・スカイのすばらしさを体験するのはそう簡単ではないと改めて感じた。 ここのメーサ上の短距離のトレイルはニードルスのスコー・フラット南の一帯のトレイルに比べるべくも無いほど魅力が無い。 おそらくホワイト・リム・ロードからモニュメント・ベースンを覗き込んで初めて本当に感動できるのだろう。 しかしそれは生易しいことでは出来ない。 グランド・ビューポイント・オーバールックの近くからグースベリー・トレイル Gooseberry Trail を1,400フィート下ってホワイト・リム・ロードまで下りることが出来る。 往復6マイルの急なトレイルであるという。 ここからモニュメント・ベースンのふちまで最短片道約4マイル、次のふちまでが6マイル程度であり、このあたりまでなら日帰りが可能であろうが最後の急な登りを考えるとかなりな大仕事だ。 もしキャンプをする場合には事前にパーミットを取っておかないといけない。
比較的簡単にホワイト・リム・ロードを楽しむには、モアブから4WDによる1日ツアーがあるようである。 またじっくりホワイト・リムを楽しみたい向きには3日間のコースもあるが、年間数回しか開催されないのでスケジュールとパーミットの取得方法を事前に調べておくと良いだろう。 なお3日コースの場合にはテントやスリーピング・バッグを持参する必要がある。
アイランド・イン・ザ・スカイを十分満喫するには、十分な準備が必要なことは間違いない。 一般車で入る場合にはニードルスほど簡単にはその景観を楽しむことができないと言うことも知っておくと良いだろう。

旅行日 : 2003年9月19日(金)