愚行連鎖

GB Racer icon 飛行機大好き/フォッカー三葉戦闘機(Fokker Dr.1)

Fokker Dr.1について

Fokker Dr.I Dreidecker | フォッカー三葉単発・単座戦闘機 Dr.1
Service Dates: 1917 to 1918 (320 built) | 1917-1918年(生産機数320)
18'-11"L 23'-7"W 9'-8"H | 全長:5.77m、全幅:7.19m、全高:2.98m
Weight: 1,289 lbs (893 empty) | 全備重量:586kg(乾燥重量:406kg)
Maximum Speed: 103 mph | 最高速度:185km/h(実際には165km/h位/失速速度 64km/h)
Maximum Range: 125 miles | 航続距離:200km
Maximum Altitude: 14,000 ft | 到達高度:4,300mm
Engine: Oberursel UR II (110 hp) | エンジン:オベルウーゼル UR2 110馬力
Arms: SPANDAU 0.312" Machine Gun x 2 | 武装:スパンダウ7.9mm機銃×2

Fokker Dr.1
Fokker Dr.1は、航空戦黎明期の第一次世界大戦、ドイツの撃墜王、リヒトホーフェンの愛機としてあまりにも有名な三枚翼の優雅なスタイルの機体である。
リヒトホーフェンの愛機と言えば機体を深紅に塗ったDr.1と言うくらい知られているが、実は彼の乗機にも数種類の塗色、マーキングが存在したようである。

本機は1917/08/21に登場、本格運用はその年の11月からであったという。
1918年半ばには徐々に退役し始め、第一次世界大戦終結時には訓練機として残るのみだったと言うから、意外に寿命が短かったと言えよう。


Fokker Dr.1 当時イギリスが開発した「ソッピーズ・トライプレーン(三葉機)」に影響を受け、開発中であったFokker D.6を三枚翼に設計変更した物がDr.1試作機である。
最初の量産機では翼取付強度に問題があり、その改修に時間がかかったと言う。
運動性能に優れた戦闘機で多くのドイツ軍エースに愛されたが、速度は遅く、迎撃局地戦、特に格闘戦に於いてのみ真価を発揮したらしい。

この美しいアングルの写真もそうだが、Dr.1はリヒトホーフェンの真っ赤な機体がイメージなのだろう。


Sopwith Triplane Sopwith Triplane
ソッピーズ・トライプレーン 三葉単発・単座戦闘機
1917年(イギリス)
全長:5.73m、全幅:8.08m
全備重量:697kg
最高速度:185km/h
航続距離:513km
エンジン:クレルジェ 130馬力
武装:7.7mm機銃×1


Fokker Dr.1 現存する機体(レプリカ)も多くは、リヒトホーフェンの機体を模して赤く塗られていると言うが、こちらの写真のようなオリーブグリーンの迷彩のものがスタンダードな塗色だったようである。

この角度からは顎の部分を切り欠いたカウリングが良く見えるが、これはエンジン・シリンダーの冷却を考慮した構造である。
星形9気筒のエンジンなので、露出部分のみ冷却されて、カウリング内との熱差が出るようにも思えるが、驚くなかれ、実は、このエンジンは“ロータリー・ピストン(空冷回転星型)式”と呼ばれる物で、エンジン部分もプロペラと同様に回転するので、露出部分は常に異なるのである。


Fokker Dr.1:Reprica 左の写真は、 The New England Air Museumに保存されている、やはり、リヒトホーフェン色のFokker DR-1 Replica

この機体は運動性が軽快で上昇力にも優れ、格闘戦に有利な機体だったと言われる。
3枚の翼により、翼長が短いに関わらず翼面積が大きく、更に主脚の軸にまで翼が装備され、揚力は大きく、確かに運動性能は高そうである。
翼の支柱もI型のシンプルなもので、主翼間にワイヤー張りもなく極めてすっきりしているのも軽快に見える理由だろう。
スペックを見る限りでは現在のリッターカー、下手をすると軽自動車のカタログと見間違いそうな物だが、こんな性能の機械が大空で戦いを繰り広げていたのである。


紅の男爵:RED BARON

Manfred Albrecht von Richthofen マンフレット・フォン・リヒトホーフェン
Manfred Albrecht von Richthofen
1892(明治25)年5月2日生
1918(大正7)年4月21日没
ドイツ陸軍大尉(戦闘機パイロット)
機体を赤く塗装したアルバトロス、ハルバーシュタットD.2、フォッカーDr.1に搭乗し80機を撃墜(第1次世界大戦のトップ・エース)、勇名を轟かせる。
彼は、男爵の爵位を持ち“Red Baron”或いは“Red Devil”等とも呼ばれた。
11歳で陸軍幼年学校に入学し、士官候補生訓練課程修了後、騎兵隊に配属される。
1914(大正3)年、第1次世界大戦勃発時騎兵少尉として従軍、後に航空隊に転属(偵察機部隊に配属)。
1916(大正5)年3月、第2戦闘機中隊に配属、同年9月17日、初の撃墜を記録する。
1918(大正7)年4月20日、通算80機撃墜(120機という記録もある)の記録を樹立するも、4月21日、ソンム上空でイギリス第209飛行中隊のアーサー・ブラウン大尉(ロイ・ブラウンという記述もある)に撃墜され戦死(墜落・戦死原因については異説も多い)。
不時着した機体から彼の遺体が見つかると、連合軍は、50万人の参列を記録する国葬をもって、英雄を弔ったと言う。騎士道精神華やかりし頃…
享年24。


Albatros D2 紅の男爵、もう一機の愛機、Albatros D2。

アルバトロス D2 二葉単発・単座戦闘機
1916年
全長:7.4m、全幅:8.5m
全備重量:888kg
最高速度:175km/h
航続距離:350km
エンジン:メルセデス D.IIIa 160馬力
武装:7.9mm機銃×2


Sopwith F1 Camel 紅の男爵を屠った機体。

Sopwith F1 Camel
ソッピーズ・F1キャメル 二葉単発・単座戦闘機
1917年(イギリス/生産機数:5,400)
全長:5.72m、全幅:8.53m、全高:2.60m
全備重量:658kg(乾燥重量:421kg)
最高速度:182km/h
航続距離:455km
到達高度:5490m
エンジン名:ノーム9気筒ロータリーエンジン130馬力
武装:ヴィッカース7.7mm機銃×2

1918年4月21日にドイツ空軍のエースパイロット「レッド・バロン」こと、マンフレッド・フォン・リヒトフォーフェンを撃墜した第209飛行隊のブラウン大尉の乗機がこのソッピーズ・キャメルであった。


Snoopy スヌーピー・ブラウン
Snoopy Brown
チャールズ・シュルツの筆による世界的に有名なビーグル犬
黒メガネの探偵やジャグ・バンドのリーダー、少年野球の外野手など、極めて多彩な顔を持つが、愛機「赤い屋根の犬小屋」に搭乗し、紅の男爵を好敵手として日夜祖国の空で索敵を続ける愛国犬。
彼は現在ブラウン家に居住するので、便宜的にブラウン姓を表記したが、雛菊丘子犬園からブラウン家へ養子に来たので、本来、姓はブラウンではないはずである。
よって、撃墜王を墜としたブラウン大尉とも姻戚関係はないと思われる。
また、彼の制空圏である米本土へは、想定敵フォッカーやアルバトロスの数100kmの航続距離では作戦行動が少々難しいような気もするのだが…
(大体年代が合ってないって…マジで突っ込んではイケナイ)


紅の豚 もしかしたら、あの宮崎駿の“紅の豚/Porco Rosso”も、リヒトホーフェンからのインスパイアなのだろうか?
この機体“サボイア”はどうやら、架空の物であるらしいが…




モデラーの血 沸き上がる!

Delprado Fokker Dr.1:1/63 Model これは、我が書斎のTVの上に鎮座まします、ダイキャスト製の手のひらサイズ、1/63のFokker Dr.1である。
先日本屋で目にした模型付き週刊誌“Delprado Collection 世界の戦闘機#13”の付録(イヤ、こっちが主で、ついている印刷物がオマケか…)である。
小さいが実に雰囲気が出ている。
(左側は同じく“Delprado Car Collection #35”のランドクルーザー・プラド。右側は高速のS.A.で衝動買いした1/38 Ford Woody Wagon 1949.)

話は、ある日、仕事帰りの道すがら、本当に十数年ぶりに覗いた模型屋の店先から始まる…


HASEGAWA Fokker Dr.1:1/8 店先の棚に麗々しくディスプレイされた大きな、しかしシンプルな装丁の箱。
それが、この、長谷川製作所フォッカーDr.I(ミュージアムモデル)である。

実はこの模型、20年ほど前に欲しくて仕方がなかったが、当時は金がなく、買えなかったものであった。(仕方なく、単体で発売されていたエンジンと機関銃部分だけを作った。引っ越しで紛失してしまったが…)
その後、やっと小遣いを貯めて探したが既に絶版で入手不可だった。
それが、限定再販されたというのだ!

限定生産数500個
「限定500」の数字にクラッと来てしまった。
1/8 scale で、L=722mm、W=838mm、H=358mm、パーツ数857pcs

HASEGAWA Fokker Dr.1:1/8 価格は69,800円。20年前より大分高くはなったが、一も二もなく即予約である。

HASEGAWAの説明

ヨーロッパやアメリカの博物館には、実機を鋲一本にいたるまで実機に忠実にスケールダウンした精密模型をよく展示しています。これらの模型のことを一般にミュージアムモデルと呼び、これに匹敵する精密感あふれるパーツ構成でキット化した贅沢な模型がハセガワのミュージアムモデルシリーズです。
総パーツ点数857点、木、ソフトメタル、真鍮、プラスチック、ラバーなどあらゆる素材を用いて、実機の構造を再現いたしました。外形の再現はもちろん、操縦桿やフットペダルと連動して補助翼、昇降舵、方向舵が動くといったギミックも楽しめる内容です。部品点数が多いので、組み立てに時間はかかりますが、特殊な技法を使用せず親切丁寧な組み立て解説書により、誰にでも組みあげられます。

メーカーからの出荷時は、こんな段ボール箱に納められている。

HASEGAWA Fokker Dr.1:1/8

段ボールの中身は、こんな化粧箱。→

シンプルで好感が持てるパッケージングである。


HASEGAWA Fokker Dr.1:1/8 そして、その中身は、こんな具合である。
素材は、アルミニューム、ホワイトメタル、ブラス、カッパー、ゴム、ヒノキ材、バルサ材、ラミン材、ポリ・スチレン、ABS、ボルトナット、スクリュー、釘等多岐にわたる。
これはモデラーの腕の見せ所。
説明書によると
「手慣れた方が根を詰めて約2ヶ月、出き得れば6ヶ月から1年の時間をとってじっくりと組上げていただきたいと思います。」
と、ある。
考えてみれば、これは極めて廉い(相対的に…)価格であるとは言えないだろうか。
さぁ、部屋の片付けから初めて、腰を据えて掛かろうではないか!
老眼と戦いつつ、完成を見るのはいつの日であろうか…




○製作記(準備編へ)



return飛行機大好き目次へ戻る

return乗り物目次へ戻る

returnトップページへ戻る