LiveとPublic Address
![]()
一言で言うと、これは衝撃と言っても良いかも知れない。
BOSE L1と言う、全く新しいコンセプトの拡声装置である。
そのBOSE L1の試用実験を、2009年1月11日(日)、千葉県柏市新柏のキッチン・パタータにおいて、パタータ Bose 試奏会 と題してLive形式で行った。
店は非常に細長い、言うなれば「ウナギの寝床」タイプ。
通常の備え付けP.Aでは店最奥に位置するステージでの演奏は、店入り口付近ではまともなバランスでは聞こえない。
(逆に、出番前の指慣らし程度の音出しを入り口付近で行っても舞台付近にさほど影響がない)
各種演奏形態のアマチュア・プレーヤーにお願いして、それぞれ異なる使用方法で演奏して頂いたわけであるが…
出演者
- KYOKO & ユースケ(オカリナ+アコースティックギター)
- hirokoばん℃(AG/パーカション/EBのボーカルバンド)
- 猫時間(AG/AG/WBのボーカルバンド)
- Be-m(ギターインストデュオ)
- okayan(フィンガーピッキングソロ)
私も猫時間ベーシストとしてステージに参加した。
使用機材
L1ベースパッケージ(サブウーファー1本)2本
L1ダブルベースパッケージ(サブウーファー2本のスタックシステム)
☆KYOKO+ユースケ、オカリナにギター伴奏。
(L1+L1シングルベースパッケージ)
通常は電気拡声などをすると耳障りになりがちな笛の音(特に小さなC管オカリナ)の高域のロングトーンが実に自然にマイルドに響き渡る。
深めにかけたリバーブ(残響)も自然に品良く音色を引き立てる。
伴奏のギターも一つ一つの音の粒がきちんと鳴りながら、殆ど生音の様に届く。
何より、ギター、オカリナそれぞれに振り分けた2本のL1の定位感が凄い。
目で見た舞台と音の位置が一致するというのはこんなに気持ちがよいのだ。
一流のコンサートホールで吹いているような感覚で、すごく気持ちの良い体験をさせていただきました。オカリナ奏者からはそんな感想を貰った。
機材の知識が全く無い私もその音に圧倒されてしまいました。
小さい1C管を演奏するときはうるさいので必ずマイクから離します。
耳障りじゃなかったというのは通常ではありえないですね。
彼女も言うように、あのピーキーなC管オカリナの高域ロングトーンが心地よく聞こえる。
☆hirokoばん℃
(ギター、ボーカル、ベース:ベースアンプ経由を1台のL1ベースパッケージに入力して試用)
編成的には我が猫時間と似ているので、果たして1台でどうか…
と思ったが、パフォーマンス的には全く余裕たっぷりである。
音に関してはモノラルであるが、スピーカーそのものの発音拡散が上下方向死角無しで左右方向にも160°という扇形の広がりを持っているので、よく見かける2台のスピーカーを使いながらモノラル出力をしているPAシステムよりも数段自然に聞こえる。
但し、近距離で聴くとサイドに位置するギターの拡声音がセンター付近に定位し、実位置からは生音も聞こえるので若干違和感はある。
☆Be-m 1/2(Harf)
(L1ベースパッケージ1本にギターはラインとマイクのブレンド)
本来はギター2本が掛け合いで弾きまくり、暴れ回るデュオなのだが、残念なことに右ch.ギター病欠で、今日は左ch.ギターのソロ。
インストギターはもちろん、前述の様に実にナチュラルな音を出力するので、ピエゾのみでは少々心許ない。
マイク拾いも併用すると俄然気持ちの良い音になる。
もう、想像したとおりの音が出る。
なにより、細長いパタータの店内、ステージ直前から、入り口付近まで移動しても距離による音量減衰以外は殆どバランスが変わらずに聞こえるのが凄い。
☆猫時間
(L1ベースパッケージ2本、L1ダブルベースパッケージ1本)
![]()
これが本来の使い方で、ひとり一つのシステムを背負う形になる。
実はこれだと、流石にステージでは真後ろにある自分専用システムの音がかなり強烈に聞こえる。
ただ、通常のPAシステムでやたらボリュームを膨らませた音とは趣が異なり、でかいが五月蠅くはなく、取りにくいウッドベースの音程が実に明瞭に聞こえる。
これは5.7cm小径スピーカー24発を2mの高さまで一列に積み上げたと言うL1システムの一番の特徴だろう。
前述した「離れてもバランスが変わらない」というのもこの構造に由来する。
自分の音はかなり強烈に聞こえるのだが、かといって、ボーカルやサイド、リード・ギターが聞こえない、と言うわけではないのが何とも不思議である。
カタログにもあり、期待した「舞台の音と客席の音が同じ ※ 」とは一寸印象が違い…
実際に全くの生で演奏している時の状況を極端にデフォルメした感じである。
後ろから来る自分の音がかなり強烈なのである。
けっして嫌な音、ではなく、気持ちは良いのだが…
舞台では自分の音が一番でかく聞こえるセッティングが客席によいバランスを届けるコツなのではないかと思う。
音質もきわめて自然で、演奏したそのままが前に出る。
演奏していて非常に気持ち良いがミスもそのまんまナチュラル出力してしまう恐ろしいシステムかも。
クリアにしてナチュラル、そして明確な定位感。
この二つがとにかく印象的・驚異的でである。
通常は1本、低音楽器には同じモノをスタックして2段重ねで使うウーファーシステムは、ハーフボリュームで店全体がドカンと鳴るくらいの重低音を発生する。
重低音なのだが、ダボダボでただラウドなだけの音ではない、芯がビシッと決まった音だというのが凄い。
ハウリングは、ウッドベースであれだけでかい音(客席で壁やガラスがビリビリ振動していたのが分かったそうで…)、それも音源から1mと離れていない状態(実質50cm位かな?)で、全くその兆しもなかった。
で、それが只喧しいラウド・トーンではなく、客席に気持ち良く届いていた…らしい。
足の裏がくすぐったい位舞台も振動していたが。
音質は実にクリアかつナチュラルなんですが、そのサスティーンがもの凄い。
「おい、こら、おまえ、どうだ?制御できるか?」って…
へたれベーシストにとっては、もう半ば脅迫されてるようなロングサスティーンだった。
ピッキングするといつまででも音が延びてゆく…
ウッドベースの音なんだけど、別の楽器になってしまったようだった。
遠達性は、皆さん感動されていたが、あの「うなぎの寝床」のパタータで最前列から入り口付近まで殆どバランスが変わらずに音が届いていた、と言うのは凄い。
何だかマジックの様である。
☆okayan
(L1ベースパッケージ2本)
本日の白眉。と言うか、実験をお願いした形になる。
ギターソロだが、ステレオ出し。超リバーブ深がけ!
これが…もう…
いや、筆舌に尽くしがたい、新感覚の衝撃的な音。
こりゃ、聴かないと分からないよな…
リバーブが店中を廻って広がりまくって前方全てから攻めてくると行った感じなのである。
実は、演奏者自身は2本のスピーカーと生音のディレイで ※ とてつもなく弾きづらい、と言うことなのだが…
オーディエンスは飛びそうになる位気持ち良いから、それで良いのだ。
※BOSE担当さんの話では、舞台上の演奏者と客席の聴感が異なるのは、スピーカーと演奏者が近すぎるのでは、とのこと。演奏位置をあと数10cm前進できれば解決できるそうだが…パタータのステージはちょいと狭い。
![]()
ご来場の皆様、出演者の皆さん、試し演奏に参加いただいた皆さん、そして我侭な企画に快く了解いただいた会場のパタータMaster、休日に2日間も御付き合い下さったBOSE株式会社の長谷さん、ありがとうございます。
特に、BOSE株式会社担当の長谷さんのご尽力と手際がなければ成功しなかった企画でしょう。
感謝いたします。