愚行連鎖 WorksGBの道具達-41

番外:BOSE L1 実奏レポート…の巻 その2-

協賛:BOSE株式会社

LiveとPublic Address

BOSE L1

【インプレッション:猫時間編】

どの演奏形態(ソロ、デュオ、コンボ等)でも威力を発揮したが、我ら猫時間が一番このシステムの威力を感じさせてくれた。
つまり、L1がL1たるべき構成で使わせて頂いたのが猫時間だったというわけ。

「GBさんのベースがあんなにハッキリ聞こえて、しかもnekoさんのボーカル、Kanさんギターもクッキリしているのは初めて!!」

と言う感想を頂いた。
今回お借りしたシステムは
の合計3本。
このうち1本のダブルベースパッケージは贅沢にも私(ベーシスト)専用。
この“ダブルベースパッケージ”はL1システムとしてはフル装備の13cmウーファー2発の125Wユニットを2段スタックした最強モデル。
(ウーファーは並列でも90°寝かせて積み上げでも設置可能。正面のBOSEエンブレムも設置の向きによって回転可能)

BOSE L1 さて、この出音、BOSEの特性とも言える、見事なまでな分離を持つクリアなオーディオライクな出音、明確な定位感も、アコースティック・ユニットにはうってつけだと言える。
故に、私にとってかなり印象的だったKYOKO+ユースケ(オカリナ+ギター)のユニットの演奏(-その1- 参照)などでも、実に美しく、ともすれば刺激的になりがちな小型オカリナの音色もL1のクリアでナチュラルな音質と上品なリヴァーブによって、何とも暖かく、そして、2本のL1の明確な定位感で《そこにいるプレーヤーの音》としてすっきりと客席に届いていたのだ。

音の遠達性についても、皆さん感動されていたが、あの「うなぎの寝床」のパタータで最前列から入り口付近まで殆どバランスが変わらずに音が届いていた、と言うのは凄い。

参加したプレーヤーからは

「あれだけ克明に聞こえちゃうと、気持ち良さより怖さの方が先に立ちそう。と言うか、あれだけ余裕のあるシステムだと力んで弾く必要がないのですよね。弾く方も自然体でゆとりを持って演奏しなくちゃいかんと言うのを身をもって体感しました。」

と言う感想も聞かれた。

BOSE L1 そして、特筆すべきは、魔法の様な耐ハウリング性能。
フィードバック要因の固まりの様なウッドベース。
写真を見て頂ければ分かる(いや、良いアングルがなくて分かりづらい)が、スピーカーユニットを数10cm(50cm位かな?)の距離で背負っている。
2段スタックのウーファー・システムも立っているスピーカー・ユニットの真下。
そして、演奏者本人がビビル位の音量(ホントに良いのか?こんなにでかい音出して…と同時に実際に舞台が低域振動を起こしているのを足の裏や体全体で感じた)で演奏したのに関わらず、ハウリングのハの字、フィードバックのフの字も感じられなかった。

「ベースのサブウーハーの重低音は、舞台自体を振動させてましたよ。でも、あれだけの音量で鳴らしてもブーミーな感じはしなくて、一つ一つの音がはっきりわかり、演奏内容が克明に聞こえるのが凄い。」
BOSE L1

オーディエンスによると、客席で壁やガラスがビリビリ振動していたのが分かったそうだが、それでも不快・耳障りな爆音ではなく、きちんと「楽音」として気持ち良く客席に届いていたとのこと。
ところが、ベーシストがそんな大音声を出力して演奏していても、当のベーシストにもボーカルもリードギターもちゃんと聞こえる。
(ちなみに主催者まさひろ氏が前日実験でアコースティックギターをスピーカー対面10数cmで鳴らしてもハウリングを起こさなかったそうだ)


猫時間 但し、これが、巷間言われる様な「演奏者と聴衆が同じ音を聴く」というようなモノではなく、ステージ上では「全くの生演奏での演奏中の音場感を超極端にデフォルメ」した、そんな雰囲気なのではある。
つまり、ステージと客席でのバランスがかなり異なる(らしい)のだ。
これには少々慣れが必要になるかも知れない。

「パタータ位の箱なら自分と相手の立ち位置通りの音量(当然自分が一番大きく、隣、その隣、と順に小さく聞こえる)を双方で確認しながらになるんでしょうね。」

そう言うことである。
背後から迫ってくる自分の音が強烈この上ないのだ。
嫌な音、ではなく、逆に気持ちは良いのだけれど…


猫時間 ステージと客席でのバランス、については、レポート -その1-でも書いたが、多分、システムと演奏者の距離が近すぎる、と言うことが原因だと思われる。
事実、当日の客席最前列(演奏者と1m少々しか離れていない)での評判、すこぶる良く、私が実際に別のプレーヤーの演奏を聴いた場面でも、賞賛すべき出音だった。
スピーカーから2〜3m離れれば抜群の音場だし、それより後ろなら、どこでも快適な音がバランスと定位を保ったまま聞こえた。

つまり、演奏者がシステムの前2m強程度のところに位置できればすべての問題が解決するという訳か…

一人一本を使ったフルシステムは、あまり小さなライブハウス向きではない、と言うことかも…
メーカーの図解でも、どう見ても公会堂クラスのステージが描かれている。

BOSE L1

この「ステージと客席でのバランスがかなり異なる」と言うことの解決策として、メーカーサイトによると、かなりの範囲を制御できるワイヤレスリモコンもあるようだ。
これからのP.Aオペレータは客席に紛れて親指一本でオペレーションできるのか?
ステージ出音と客席出力のイメージがあれだけ違うシステムだったら、リモコンオペレータは重要かも知れない。

コントローラー T1 ToneMatch audio engine:コントローラーは、今回自分でそれほど触らなかったので、何とも言えないが、こちらもかなりのポテンシャルを秘めている様だ。

ファンタム出力はもちろん(つまり、コンデンサ・マイクが使えると言うこと)、アクティブ・パッシブ、どちらのピックアップにも対応、チューナー内蔵、各種プリセットエフェクトあり、AUX入力も可能、等々、思いつく入力はほぼ網羅している。
パッシブがそのまま入力できる、と言うのはメーカーサイトの写真にある様に、エレキバンドをも想定しているのだろう。


BOSE L1 で、私がやった失敗と言えば…
撤収時に、最初にプロセッサの電源をOFFしてしまったこと。
プロセッサ全てのコントロールを0にしておいたのに、バスン!と衝撃音…
実はベースユニットにメイン電源があるのだ。
その辺り、ちゃんと始める前に取説読めば良かった。

通常のP.Aシステムと比較する格段にコンパクトで、設置も簡単。
…だが、サブウーハーを除いて約30kgの重さ、想像以上に大きなベースユニット(アンプ内蔵スピーカー台)は、運搬に車が必須となる。




ともあれ、これは初体験の衝撃であった。
ただ漫然と演奏していたライブで「自分達の出音」を真剣に考えるきっかけともなり、極めて有益な体験でもあった。
(文中出演者敬称略)
BOSE社用車


機材であるL1はBOSE株式会社からご提供いただきました。
ありがとうございました。


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