愚行連鎖

野遊びしま専科

■私的スキー考 -2-

続・悶々モン…

 「山でヘンな事する奴は僕が許さないぞっ!!」

 名作“アルプスの若大将”の田沼雄一の有名な台詞であります。
 ご存じない方に蛇足ながら状況説明すると…
 (昔の映画なんでちょっとうろ覚え、違うところもあるかも…)

 主人公は城南大学スキー部のエース。
 (文武両道真面目一方の彼は常に体育会のエースなんだわ。泳いだり飛んだり滑ったり、エレキも弾けば船も曵く。しまいにゃネクタイ締めて営業までやっちまう)
 友人の青大将は金持ちのボンボンで根っからの軟派遊び人。
 (しかし、この人がいなけりゃこの映画の面白さ半減。ライフスタイルは20年先取りしてたし、ファッションセンスは主人公等足元にも及ばなかった)
 そして忘れてはならない主人公とお互いにほのかな思いを通じているヒロイン、すみちゃん。(キャラクターの性格付けとしては私ゃ余り好かん)

 城南大学スキー部は苗場に合宿にきている。(苗場と言うのが何とも凄いけど…)

 青大将もすみちゃんを誘って赤いオープンで苗場へ繰り出す。
 青大将は首尾良くすみちゃんを連れだしたと思っているが、本当はすみちゃんの目的は合宿中の若大将。(実はひでぇ女。青大将って元祖アッシーなんよ)
 二人でゲレンデに出てすみちゃんは若大将の姿を探す。しかし、青大将は下心目一杯で避難小屋へすみちゃんを誘い込む。(ついて行く奴もついて行く奴だが…)
 折悪しくライバル校のスキー部の不良(お、何とも懐かしい言葉)に見つけられ、青大将は蹴散らされ、すみちゃんの運命は風前の灯火…

 そこへ偶然にも通りかかった若大将颯爽と登場!!

 「山でヘンな事する奴は僕が許さないぞっ!!」

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 数年前に流行った冗句。
 現代に蘇ったアルプスの若大将苗場に出現!

 旧式なスキー用具で身を固め重火器を大量に装備した初老の男、夕刻の苗場プリンスを完璧に破壊。
 事件後犯人田沼雄一はこう語った。

 「山でヘンな事する奴は僕が許さないぞっ!!」

お祖末様でやんした。チャンチャン!
(前振りが長い長い…)

 さて、時代は元に遡り、美しき青春まっ只中の苗場の夕暮れ。
 愛しのすみちゃんの貞操を守り、大会でも見事優勝した若大将達はロッジのダルマストーブの廻りに集まりギターをかき鳴らし“走れよドンキー”を唄いながら輪になって踊り狂うのでありました…

 きゃぁ!素敵よぉ!アフタースキーはこれが極め付け。

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 流石に私はこういうアフタースキーは知りませんが、想像は容易につきます。
殆ど昔懐かし歌声喫茶(そんなモン知らないぞ!)やユースホステルのミーティングの世界ですね。
 私が夢中で雪山通いをしていた頃も硬派スタイルが流行っていたので、女の娘はメンバーにはいましたが「山でヘンな事する奴は僕が許さないぞっ!!」の世界で、少なくともスキー行では色っぽい行動はまずありませんでした。
 夜は潰れるまでナイターか、潰れるまで酒盛りか、潰れるまで温泉ってな事が殆どだったような覚えがあります。(湯あたりで潰れるのは極めて苦しい)
 大体泊まる所はとにかく価格優先の民宿でしたしね。
 それでも長期逗留だったりすると、コード3つ位しか知らなくても必ずフォークギターを背負って来る奴がいたのは事実です。
 (ザックとスキーとギターを背負って夜行列車に乗る姿、想像して欲しい…)
 長期逗留と言えば、あのいつも金がなくてピーピー言っていた頃、2週間も半月も山篭り出来たのは一重に当時利用していた超安価民宿のお蔭でした。
 快適とかファッショナブル等という言葉とは全く無縁でしたが、とにかく安いと言うだけで通っていました。普通の民宿が4,000.前後の時に人数集めて頼めばなんと1,000.ちょっとで寝泊まりできたのですら、贅沢は言えません。
 但し、長丁場になると流石にヤバくなってきて、週末にOBや先輩に電話して布団を確保しておく条件で缶詰や瓶詰を差入れて貰ったりしていました。

 当然現着するとすぐに持参の一升瓶を抱えてリフトのオヤジさんの所へ。
 これでうまくすると係員用のリフトパスを借りられるし、始発終発時刻も多少なら都合してくれる。(すいたスキー場で融通が効いたんですね)

 道具だけはかなり良いものを使っていましたが、もちろん夏中バイトに明け暮れて探しまくって買い集めた年式遅れ。
 ウエァなんかは多少破けてもガムテープ補修なんかあたりまえ。スキー用でなくても使えそうなら何でも使いました。

 うう〜ん…ホントに泥臭いなぁ。
 とにかく雪の上に1分でも長くいたいと、心から思っていたあの頃でありました。
 でも、そこそこ20年位前までは、そんな格好のむさ苦しい若者がうろうろしていてもスキー場は決して場違いな雰囲気ではなかったのです。
 その頃メンズクラブのスキー特集でお奨めスキーファッションと言うのがあって、

スキー場の行き帰りにはやはりフラノのスラックスにネイビーのブレザー (エンブレムは忘れずに)。タイは当然レジメンタルかホリゾンタルのニ ット。足元はデザートブーツで決め、これにダッフルコートと言うのが粋 です。


等と言うのがあって、本気かよ、くろすさんと思った物です。

 当時バックパッキングの情報と共に、雪を求めて一年中あちこちを点々と放浪するアメリカのスキーバムなる連中の存在が紹介された頃。
 真剣にスキーバムみたいな生活が出来ないだろうかと考えていたリクルート直前の私は学生でした。

付録
 問題1:次の人物に扮した役者の名前を記入せよ。(5点×5)

  A.田沼雄一
  B.青大将
  C.すみちゃん
  D.雄一の父
  E.雄一のおばぁちゃん

 問題2:ドンキーは何処を越えてどこまで走ったか記入せよ。(20点)

 問題3:青大将の好んだ服装を当時なんと呼んでいたか。(30点)


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