愚行連鎖

野遊びしま専科

■私的スキー考 -2-

続・悶々モン…2

 映画…と言えば、かつては明るく楽しいスキー映画が沢山ありました。
 最近は洋画は完璧シリアスかメタクソコミカルかの2極分化してしまい“明るく楽しい青春スポーツ映画”は余り見かけなくなりました。
 邦画は全くだらしがなく映画そのものが大飢饉状態ですから話になりません。
 かつては邦画でも前述の“若大将”シリーズを始めとしてそんな肩のこらない映画が沢山あったのですが…
 ちょいと古いけど、“私をスキーに連れてって”を始めとするホイチョイはそんな中でもオキラク映画ファンにとっては一つの希望だったんですけどね…。
(ホイチョイの馬場氏の原体験はやっぱり“若大将”じゃないかな?)

 洋画に目を向けるとこれまたリラックスして見られるスキー映画がかなりありました。トニー・ザイラーはその極めつけのスーパースターで彼の名前や映画は知らなくても、“白銀は招くよ”のメロディーは恐らく殆どの人が知っているでしょう。
 今にしてみればなんとも長閑な曲ですが、やっぱりゲレンデにはあの位の優雅な雰囲気がぴったり来ます。
 ユーミンも悪くないけれど、“白銀”に比べるとやっぱりちょっと「賑やかすぎる」様な気もします。
 狭いゲレンデを直線的なショートターンで駈け降りるのには16Beatも悪くないですが、長い長い林間コースをロングターンで気持ち良く流す時にはやっぱりね。
 (しかし、これは決して鉄柱のラウドスピーカーのひしゃげた大音量で音楽を流せと言っている訳ではない。あくまでもスキーヤー一人一人の頭の中のメロディの話)

 昔のスキー映画と言えばタイトルバックがやたら格好良かったのがあって、しかし、肝心のタイトル(題名)が思い出せないんです。
 真っ暗な画面に平に置かれたスキー板のトップが映っている。板が静かに回転してスキーサイドが見え始める。ゆっくりとスキーが(確か)左に移動してビンディング部分で停止。ビンディングはいにしえの銘器LOOK ネバダ。画面上から静かにスキー靴が降りて来る。靴はビンディングに乗り、特徴的なLOOKの作動--水平に倒れている筒状のテールピースがガシャンと直角に立ち上がる--で靴と板がしっかりと固定され、本編が始まる…

 う〜ん。この映画なんだっけなぁ。“黒い稲妻”だったかなぁ?
 ご存じの方います?
 靴は確か黒いラングだったし、ビンディングがLOOKだったからせいぜい20数年前だと思います。30年は経ってない筈なんだけど…

 映画と言えば音楽、スキーと言えばやはり音楽です。
 特にスキーはリズム感が重要になるスポーツですから、音楽感覚は必要なものになると思います。
 でもね、前でも書いたけど、これは決して鉄柱のラウドスピーカーで音楽を流せと言っている訳ではないのですよ。
 どうして何処のスキー場でもあの演説用のスピーカーでガンガン音楽を流したがるんでしょうか。
 元々が音楽用でないスピーカーで音質が極めて悪い所に持って来て配線が長く、地形が入り組んだゲレンデではあちらこちらでディレイしてエコーして大山彦大会になってしまって、これはもはや音楽とは言えない。不快な雑音でしかなくなってしまいます。
 大体、私が『ユーミンも悪くないけれど、“白銀”に比べるとやっぱりちょっと「賑やかすぎる」様な気も』する等と言うのも全くの個人的趣味であって、勝手な言いぐさであります。音楽なんて完全に個人の趣味の問題だから、聴きたくない時に聴きたくない音楽聴かされるのは拷問に近いものがあります。

 かつてリフトのオッサンの趣味か、一日中大音声で三波春男を流しているゲレンデに当たってしまって、この時は感覚が狂ってスキーどころではありませんでした。
 最近は素人がラジオの真似してDJ紛いにケーハクに喋りまくるのを放送をするスキー場も増えましたが、これも要らぬお節介。
 阿呆丸出しの、まともな日本語も使えないようなねーちゃんの駄喋りに耳を傾けないといけない程ゲレンデでは退屈しません。
 風の音や雪の音、耳を澄ませば山の音や空気の音まで聞こえる快感を奪われるのはたまったものではありません。
 ゲレ食のクオリティなんぞは多少低くても我慢できますが、こーゆーのだけは迷惑以外の何物でもないですね。

 とは言え、若気のいたりで背負子に大型ラジカセをくくり付けてE.W.&F.をガンガン鳴らして仲間と踊りながらゲレンデを駆けずり回ったのは独身の頃の私でありました。
 (三波春男ゲレンデで殆どヤケクソ状態だったけど…使った曲で年代が分かる?)

おんめぇ〜よぉ!そんれが、さーびすっちゅうもんだがや!

 …と言われてしまえばゲレンデの三波春男もケーハクねーちゃんのDJモドキも、遊ばせて頂いているヨソモンとしては「はぁ…そーでっか。どもども」と言うしかありません。(をっ!ヒクツな態度)

 これもかなり昔、ゲレ食で珈琲を頼んだら、割烹着に姐さん被りのバァちゃんが持って来てくれた、ソーサーも無いカップには斜めにスプーンが突っ込んでありました。
 なんとなく不安になってカップの中を覗き込むとまぁ、もう一歩でカフェオレになろうかと言う位の牛乳がたっぷりとブチ込まれ、スプーンでかき混ぜようとしたら過飽和状態でカップの底に溜り、流動抵抗で一瞬でたじろぐ位の量の砂糖もまた、奢られていたのでした。

おんめぇ〜よぉ!こぉひぃなんちゅうもんにゃちちとさとういれるのがき まりだべ。だいたいこったらにげぇもんにゃたっぷりのちちとさとういれ なきゃのめねぇべ! おんめぇ〜よぉ!こんれが、さーびすっちゅうもんだがや!

 「はぁ…どもども、ご厚情恐れ入ります。」

 ちなみに私は学生時代から珈琲はブラック以外は飲まない人でありました。
  (↑気取んなよ!この薄ら都会人が!)

 スキー場のサービス精神はこの時代から殆ど進化していないんじゃないだろうか。

続・悶々モン… 付録の答

 問題1:A.加山雄三
     B.田中邦衛
     C.星由里子
     D.有島一郎
     E.飯田蝶子
 問題2:山も谷も越えて遠い故郷の牧場へ走った。

 問題3:みゆき族スタイル(アイビールック)


●野遊びしま専科入口

returnトップページへ戻る