愚行連鎖 珍品入手

GB楽器博物館

物欲魔王転じてパチ物大王!!
Paradise PDR-900◆気分はDjango Reinhardt
SParadise PDR-900

正月に楽器屋で目にして、ずっと気になっていた得体の知れないギターを買ってしまう。
もう、殆ど衝動、というか洒落の世界である。
何しろ、試奏すらしなかったのだから…

Paradise PDR-900.
Selmer/Maccaferri #503 Le Modele Jazz(with Oval Soundhole)のレプリカである。

韓国製、Paradiseと言う聞いたこともないブランド。
あちこちの仕上げが妙にばらついた楽器である。
定価は98,000.だそうだが、明らかにハナからそんな価格で売るつもりは全くなさそうな、そんな楽器である。
(もちろん、ほぼ5割引の値札が付いていた。まぁ、妥当な線だろう)

ネック材は不明。妙に詰まった木目が真っ直ぐ通った材。指板はローズウッドであろう。
表板は普通の針葉樹である。スプルースか?一応単板のようだ。
(表単板と言うのが衝動を最終決定した要因)
サイド/バックは勿論合板だろうが、ローズのようである。バインディングもくすんだローズのような木目の木材。(オリジナルのSelmer/Maccaferriもモデルによってはサイド/バックは合板だったようだ)
ブリッジはウォルナットのような木目だが、赤い着色が強いので不明である。
材質は総じて悪くないようだが、仕上げは誉められたモノではない。
Scaleは670mm、Finger Boad WidthはNat部分で45mm、14Fletで57mmとほぼオリジナルと同寸法である。

さて、持ち帰って早速弾いてみると…
流石に試奏くらいはするべきだったか…ネックの狂いもかなり酷い。ううむ…
ネック調整するも3.4.5弦10flet以上でフレット当りが出る。


PDR-900 Head(Original)

オリジナルはノンアジャスタブルだが、この楽器はヘッド部分にアジャストロッドの調整口がある。
オリジナル同様、ゼロフレット付である。
ヘッド表にはデカールの類はないが、慎ましくも裏面に“Paradise”のロゴデカールが貼られている。
購入時にはヘッド部分に、誇らしげに“Martin Strings”のラベルがぶら下がっていた。
張られていた弦のグレードはM-140(Martinの普及品である。ラベル付けて自慢するほどの物ではない)のLight Gauge Bronze。調整していたら3弦のエンドボールが取れてしまった…(短い命だ)

OWNER'S MANUAL兼保証書として“Mavis”のロゴが入った(どこにも“Paradise”の文字はない)コピーの紙が一枚付いてきた。
“Mavis”は石橋楽器のロワーグレードクラスのオリジナルブランド。石橋楽器が韓国の工場で作らせた物なのだろう。
サウンドホール内のラベルには“Paradise”MODEL No.PDR-900 Made in KOREAとあるが、SERIALは空欄になっている。

チューナーはご多分に漏れずに、余り質のよろしくないGotoのコピー?(ラミレス・タイプ)の得体の知れない貧弱な3連オープンである。



PDR-900 Head(replace Machine Head)

以前、K.Yairiのo-16NYから外したGotoがあったので、早速交換してしまう。

まだまだ新しいので素性は掴みかねるが、そこそこ雰囲気のある音は出るようである。
結構個性的な音で、ジャンゴ・ラインハルト…と、言われればそう聞こえないこともない。
もちろんジャンゴ本人は本物のSelmer/Maccaferriを使っていたのだが、他のジプシー・ミュージシャン達は入手が容易なレプリカを使っていたことは想像に難くない。
事実、現在でも非常に高価なSelmer/Maccaferriではなく、レプリカを使うミュージシャンも又多いそうだ。(こんなに廉いのは使わないだろうが…)

完全に調整が出来れば、これは悪くないかも知れない。
(一部、仕上げが極端に悪い部分があるのに目をつぶれれば…全体的には悪くないんだよな)
とにもかくにも、このデザインが気になって衝動買いしてしまった物だから、これで良いのだ。
完全調整、と言う楽しげな作業も待っているし…



PDR-900

この楽器の特徴とも言えるブリッジ部分。ブリッジ両端のヒゲの部分は切りっぱなしで仕上げすらされていなかった。(写真は購入時)
色も不揃いだったので着色、仕上げ加工したら随分と雰囲気が良くなった。

東急ハンズでチーク突き板材を入手(本当は黒檀が欲しかったのだが…)。
このチーク突き板を使って、ブリッジ高調整。
ブリッジ底面に0.5mmを2枚貼りで1mm全高を上げたら、弦当りは無くなった。

ただ、このブリッジ、何を思ったか5弦に極端なオフセットがあり、オクターブ狂いがある。
一般には2弦をオフセットするのが普通だと思うが、このブリッジはガイドにもなっている両端のヒゲに当たって逆の取付が出来なかったので、取付間違いではないようだ。
オリジナルのブリッジにはこんなオフセットはないはずである。
東急ハンズを物色すると、黒檀端材(15×50×150mmドンピシャのサイズが2本取れる)をなんと530.で発見、入手。
暇を見つけて、ブリッジそのものを削りだしてみるつもりである。

きっと、続く…



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