愚行連鎖 資料の頁

GB楽器博物館

PEG(弦巻きについて:頑張れGotoh !)
GOTOH SD Series SD770

GOTOH SD770 BBSでも予告した、Gotoh製オープンギア・チューナーのレポートである。
Martinギターに装着されるオープンギア・チューナーは、一部を除いてMartinの刻印のあるGotoh製OEMである。
(上位の高額機種にはWaverlyが奢られている)
はっきり言ってしまえば、このMartinの刻印入バタービーン・ノブ・チューナーは、天下のGotohとは思えないほど情けないパーツである。
OEMでコスト制限が厳しすぎたのか、はたまたモデルにしたオリジナル(最近の数千円で手に入るGroverのオープンギア・チューナーに非常に良く似ている)がプアなのか…
とにかく、Martinを購入した物の、早晩社外品(大多数がWaverlyを選択するようだ)の同型チューナーに交換してしまうユーザーが多い。

そんな事情を知ってか知らずか、数年前からGotohではMartinにOEMしているのと同型のオープンバックを自社ブランドで発売している。


GOTOH SD770 今回購入したのは、そのSD Seriesと言うラインナップから、SD770 Nickel Finish,Broun Plastic Peg Buttonである。

型番は700 Seriesで2バリエーション、3タイプの合計6種類。更に、下に一覧を掲載したが、ペグボタンをかなり多くのバリエーションから選ぶことが出来る。
バリエーションにはスタンダードとも言える型番末尾無印と、型番末尾に“X”が付く、X Seriesがあるが、基本構造は全モデル同一で、ストリングポストにガタが少ない“ムーブレス・ストリング・ポスト”が採用されている。“X”はギア・ミッション部分がテフロンコーティングのオイルレス材質であることと、表面が耐腐食性仕上げで色味も少々違うと言うところが異なる。

写真左側のバタービーン・ノブはMartin刻印入の純正品。右がGotoh ブランド SD770

GOTOH SD Series


GOTOH SD Series 型番下二桁はストリングポストの弦穴位置とマウント穴の位置が異なる物で、Martin純正と互換があるのがSD770と言う事になる。

ボタンのバリエーションは写真の通り。
純正ではバタービーン・ノブが使われているが、個人的に丸いノブの方が好みであり、今回は変った物と言うことで茶色いプラノブを選択してみた。
(何故、黒い丸ノブがないのだろう。結構渋いと思うのだが…) 定価はニッケル仕上げ+プラノブで7,500円。型番にXが付くと仕上げがエクセレント・ニッケルとなり1,1400円となる。
スタンダードなら、Waverlyの約1/5。並行輸入物Waveryでも1/3程度と言うことになる。
他に表面仕上げの違いでクローム、ゴールド、ヴァイオレット・クローム、ブラック等がある。


GOTOH SD770 根元に注目。これがGotohご自慢の“ムーブレス・ストリング・ポスト”

ペグ軸の固定は引っかけただけのMartin純正とは異なり、しっかりした軸受け(樹脂製のブッシュとグリスが封入されている)を外側から打ち込みワッシャーで固定している。
見た目の好みはともかくとして、かなりしっかり出来ている。
ストリング・ボスト・ギアも純正よりも一回り厚みがあり、ギア歯の仕上げなども数段綺麗である。

ちなみに、ギア比はWaverlyの1:16に対し、1:15。気になるほどの差ではないが、何故ギア比を小さく設定したのか疑問である。
(Gotoh製のロトマチックには大ギア比を謳った1:16の物が存在する)



GOTOH SD770 左がMartin純正。
比較すると、設計段階から明らかに気合いの入れ方が違うのが感じられる。

SD770はそのメッキ色も、Waverlyと比べてしまえば、風合いにかけると思わざるを得ないが、Martin純正OEM品の「ただテラテラと銀色」なだけの物とは比較にならない深い色合をしている。

このSD770を取付ける予定のギターがまだ届かないので、実際の使用感は次の機会に。


問題は、これだっ!

GOTOH SD770 写真でお分かりだろうか?
プラスチックボタンの、くっきりと残ったパーティーション・ライン、歯で喰い千切ったかむしり取ったかのようにえぐれたまま何の仕上げもなされていない湯口傷!

・パーティーション・ライン:2枚合わせの成型金型の継ぎ目痕。
・湯口:射出成型を行う際の材料注入口。

Waverlyに比べれば安価とは言え、楽器パーツとしては決して廉いモノではない。
これはあんまりである。


GOTOH SD770 あまりに酷いので、瞬間接着剤を何度かに分けて盛り上げ、パーティーション・ライン共々磨きだしてみた。
詰め物(瞬間接着剤)が透明なので、多少色違いの感もあるが、少なくとも喰い千切ったような痕と継ぎ目が残っているよりは数段マシである。

Waverlyのアイボロイド・ノブは材料の特性もあるが、恐らく無垢材からの削り出しであろう。
存在感や質感ではこのSDのプラノブはWaverlyのアイボロイド・ノブには到底敵わない。



GOTOH SD770 左側が件のWaverlyアイボロイド・ノブ。

高いだけのことはある、と言う良い見本である。

Waverlyにも色々なボタンバリエーションがあり、エボニー・ボタンなどはかなり渋そうではある。
店頭では見たことが無いし、国内での価格も分らないが…かなり魅力的ではある。



GOTOH SD770 オマケでこちらはMartin純正バタービーン・ノブとWaverlyバタービーン・ノブの比較。
敢えて論評は避けるが…

Waverlyのサイトには
Knobs are solid brass.
not die-cast
と自信にあふれた記述がある。



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