愚行連鎖   ギターのチューニングについて


目 次

  1. オープンチューニング:Open Tuningについて

  2. チューニングの分類

    1. オープンコード系

    2. ドロップ系

    3. モーダル系

    4. ユニゾン系

    5. その他


  1. オープンチューニング:Open Tuning Topへ戻る ) ( 目次へ戻る )

    ギターの調弦は一般的にはDADGBE(6→1弦)で演奏される事が多いが、時としてこの調弦法とは全く違ったチューニングがされる事がある。
    私の記憶では、かつて20年以上昔、ウエストコースト・ミュージックと言う名前と共に“変則チューニング”として我が国に紹介され一般に知られる様になった。
    最近はオープンチューニングと称される事が多いが、“オープン”が開放弦で和声を構成出来ると言う事だとしたら、「変則チューニング」全てを「オープンチューニング」と呼んでしまうのには少々抵抗がある。
    変則チューニングのルーツは、元は正しいチューニングを知らなかった元奴隷達やハワイ原住民がギターを抱えた時に、自分の声域や演奏した音楽に合わせて適当に調弦した物が定着したのではないかと言われている。
    ハワイアンのチューニングはスラック・キーと呼ばれる。
    ハワイアンやアメリカンミュージックで使われる指板上でバーをスライドさせる奏法では“オープンチューニング”でないとかなり演奏が困難になる。
    クラシックギターでは低音弦を低く調弦する方法がしばしば使われる。

    変則チューニング、と言うとやはり

    ライ・クーダ
    CSN&Y
    ポール・サイモン
    ジョニ・ミッチェル

    等の名前が頭に浮かんでくる。
    彼らのチューニングは狭い意味でのオープンチューニングである事が多い。
    もちろんライ・クーダはスライドの名手であるから、チューニングも“オープン”になるのは当然ではあるが…

    パット・メセニーや
    ラリー・コリエル

    等も好んで変則チューニングを使用している。

  2. チューニングの分類 Topへ戻る ) ( 目次へ戻る )

    変則チューニングは分類すると

    1. オープンコード系

    2. ドロップ系

    3. モーダル系

    4. ユニゾン系

    5. その他

に分類出来る。

  1. オープンコード系 Topへ戻る ) ( 目次へ戻る )

    文字通り、開放弦で和声を構成するチューニングで代表的な物に

    Open-D(DADF#AD)
    Open-G(DGDGBD)

    等がある。
    マイナー系のオープンチューニングもあるのだが、私は使ったことがないので良く分からない。今後の研究対象である。

  2. ドロップ系 Topへ戻る ) ( 目次へ戻る )

    これは先にも書いた様に一部の弦を低く調弦するもの。
    代表的な物としては

    Dropped-D(DADGBE)

    があり、これはクラシックギターでも良く使われる伝統的なチューニングである。
    低音弦を低く調弦する事によって音の幅が出ると同時にベース音の自由度が増す。
    例のDropped-Dでニ長調の曲を演奏すれば常に6弦が開放で主和音のルート(根音)を出せる、と言う訳である。

  3. モーダル系 Topへ戻る ) ( 目次へ戻る )

    教会音楽や民族音楽の旋法(MODE)を基にしたものでオープン系と同様に運指の簡略化と開放弦の有効利用が可能になる。
    音楽的にはコード進行が無い構成の曲調に向いている。

    代表的な物として

    Modal-D(DADGAD)

    が挙げられる。このチューニングは「ダッドガッド」等と呼ばれる事もあり、アイリッシュ系のギタリストが好んで使っている事が多い。

    モーダル・チューニングでは

    ディビー・グラハム
    バート・ヤンシュ
    ジョン・レンボーン
    ピエール・ベンスーザン

    等の名前を挙げることができる。

  4. ユニゾン系 Topへ戻る ) ( 目次へ戻る )

    例としては

    Unison-D(DADDAD)

    位しか思い浮かばない。かつてCSN&Yが使っていたと思う。
    これは一人でやっても余り面白くないかもしれない。

  5. その他 Topへ戻る ) ( 目次へ戻る )

    その他としては

    全弦下げ
    ナッシュビル・チューニング(4〜6弦オクターブ上げ)
    完全4度(EADGCF)
    Open-D69(DADF#BE)
    Open-D6(DADF#BD)

    などが挙げられる。
    全弦下げはレコーディングなどで良く使われる様で、弦のテンションが下がるので非常に運指が楽になる。
    全ての弦を下げて調弦するのだが、全て全音低く調弦する物、半音下げる物などがある。
    私個人としては低いチューニングは音の張りが失われるので余り好きではないし、練習としてはテンションに負けない指の力を付ける為にも全弦下げは余り使いたくない。
    (…等と言いながらも、Light-Gauge以上の弦を使わない軟弱者)

    ナッシュビルチューニングはハイストリングスなどとも呼ばれ、低音弦全てを細い弦に張り替えないといけないのでギターを複数持っている人以外余り実用的ではない。更にかなり特殊な音が出るので使い所が限られてしまうだろう。(面白いけどね)

    完全4度は話には聞いた事があるが、実際の音を聞いたことがない。しかし、そもそもギターはどうして2弦のみ違う間隔で調弦されるのだろう。

    ナッシュビル・チューニングは、最近では打田十紀夫の「思い出の鱒釣り」の中で使われていて新鮮だった。
    このアルバムでは他にもOpen-C(スライド)、Open-D、Dropped-D、Dropped-G(半音下げ)、G-Modal、High-Strings等を聴くことができる。
    差し詰めチューニングの見本市のようなアルバムである。

    Open-D69(DADF#BE)はどちらかと言うとモーダルに近い雰囲気を持った調弦法で一般的ではないが、名曲「キツネの嫁入り/中川イサト」(My Favorite Tuneでもある)で聴くことができる。個人的に大好きなので例に挙げた。

    Open-D6(DADF#BD)はやはり中川イサトが良く使用するチューニングでOpen-Dの2弦のみノーマルに戻した、といった調弦方法である。
    私のTabで
    埴生の宿がTabの表記はOpen-Dとしてあるが、正しくはこのチューニングになっている。
    中川イサトのソロアルバム「Standards」(これは選曲がすごく渋いぞ!)でもOpen-D6や全弦下げが使われている。


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