GBのアームチェアCinema見ist:私をスキーに連れてって

復活の日

私をスキーに連れてって

監  督 馬場康夫
音  楽 松任谷由実
主  演 三上博史・原田知世
助  演 原田貴和子/布施博/高橋ひとみ/沖田浩之/田中邦衛/竹中直人
製 作 年 1987
シナリオ 一色伸幸
原  作 ホイチョイ・プロダクション


ホイチョイ・プロダクション最初の映画。
原田知世、角川映画独立後、初の出演作品。
この映画で姉の原田貴和子と初めての共演。
脚本は、ホイチョイの“見栄スキー講座”を下敷きに当時若手No.1の一色伸幸。
監督は、これがデビュー作となる馬場康夫。
と、結構全てがお初の作品。そして、小品にもかかわらず、若者の圧倒的な支持を受け、大ヒットし、当時低迷続きの邦画界に新風を吹き込んだ。
音楽はユーミン:松任谷由実、徹底的に当時のゲレンデ流行をトレースし、スキー・ブーム世代には「涙チョチョギレ」の映像。
基本的にホイチョイは「ミーハー、ナニが悪い!スノッブ素敵じゃない!」のスタンスに徹しているのが凄いところ。
(バブル崩壊後の“メッセンジャー”では若干姿勢が変ったような気もするが…)

一言で言って、元祖トレンディ映画。封切り当時、「広告代理店がマーケティングによって作ったような」と言う評価も見られたがそれがホイチョイの持ち味そのもの。

実はこの映画、ハリウッドのシナリオ作成マニュアルに則って作られた映画なのだそうだ。
ハリウッドのシナリオマニュアルとは、映画を製作するにあたってどんなジャンルの映画でも一定時間での法則が用意されており、このセオリーに則ってシナリオを作成するというものである。
シナリオ1ページを1分で計算し、上映時間を3分割し、最初を「状況設定」次に「葛藤」最後までを「解決」と位置づけ、その要所要所にイベントを用意しておくのである。 まさにこの作品はそのセオリー通りのシナリオ進行で、観客を飽きさせない速度感に溢れている。
ホイチョイ・ムービーは、荒削りながらも処女作の本作がいちばん映画として完成度が高いのではないかと思う。

シーズン、毎月のようにゲレンデに通っていたことを思い出す。
役者たちは、はっきりと言って脇役以外決して上手くない、はっきり言ってド下手。
…なのだが、そんなことは気にならないくらい、雰囲気優先で見られる映画、それがホイチョイムービーなのである。
原田知世、可愛かったなぁ!
田中邦衛は“若大将シリーズ”の大ファンだと言う馬場監督、初監督、それもスキー映画では絶対に外せない配役であろう。
竹中直人も敵役で出演しているが、この胡散臭さはもう最高である。

馬場康夫のホイチョイは、小学生時代からの仲間が集まり、出版、広告、映画、テレビ企画を手がけるクリエイティブ集団。
ビッグスピリッツ漫画『気まぐれコンセプト』('80)でデビューした。


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