GBのアームチェアCinema見ist:わんぱく戦争

わんぱく戦争

わんぱく戦争:La Guerre des boutons / War of the Buttons

監  督 イブ・ロベール
音  楽 ジョゼ・ベルクマン
主  演 アンドレ・トルトン
助  演 ミシェル・イセラ / ジャン・リシャール
製 作 年 1961/仏
シナリオ フランソワ・ボワイエ / イブ・ロベール
原  作 ルイ・ペルゴー


原作はルイ・ペルゴー(Luis Pergavd)の「ボタン戦争」。
フランスの片田舎の少年達の派閥抗争。肉弾戦で相手の服のボタンをむしり取ることが勝利の条件。最初からボタンがなければ負けることはない…
冷戦時代の作品で、原題の「ボタン戦争」はもちろん「核のボタン」…
そんなことを知らなくても、そして40年以上経った今でも充分楽しめる。
比喩的な意味は一切無視しても、子供達が生き生きと、そして、ほろ苦く、画面一杯に飛び回る佳作である。
特にラストシーンは心に残る名シーンの一つである。

しかし、もう40年…これをオヤジにせがんでリアルタイム、封切館まで連れていって貰って観た事を冷静に思うと、何故かタメイキが出てしまう。
(考えてみれば、随分と渋好みの小学生だったのか?)

主題歌「わんぱくマーチ(原題:La Guerre des Boutons、作曲:F.Lemarque J.Berghmans 訳詞:阪田寛夫」も明るく楽しい名曲である。

原作が書かれたのは実は1913年。
第一次世界大戦(1914〜1918)以前である。
映画は内容を巧みに冷戦時代の風景に移し変えてある。
感動のラスト、ルブラックとラズテックの友情の芽生えシーンも映画のオリジナル。

余り言及している人はいないのだが…
この作品、篠田正浩の傑作“少年時代”(1990)に大きな影響を与えているのではないかと思う。
(そう、あの陽水の“少年時代”を主題歌にした邦画ね)
ラストシーンの印象はまさに、時代の異なる二人の監督が同じ物を見ているのではないかと思う。

原作者ルイ・ベルゴーには数作の動物小説(その一作でゴングール賞受賞)があるが、一般小説はこの“ボタン戦争”のみ。
原作者のペルゴーは第一次世界大戦に従軍して帰らぬ人となってしまったが、当時、“ボタン戦争”の続編を構想していたという。
映画“わんぱく戦争”の印象的なラストは、その未発表の構想からヒントを得たのではないかという話もある。

なお、原作も何社からか翻訳が出ていたはずだが、今でも手に入るのだろうか?
わんぱく戦争/ルイ・ぺルゴー/訳:鈴木力衛/講談社
わんぱく戦争/ルイ・ペルゴー/訳:鈴木 力衛/ハヤカワ文庫
ボタン戦争/ルイ・ペルゴー/訳:なだ いなだ/集英社文庫
2008.11.25.加筆


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