GBのアームチェアCinema見ist:太陽の帝国

太陽の帝国

太陽の帝国:Empire of the Sun

監  督 スティーブン・スピルバーグ
音  楽 ジョン・ウィリアムズ
主  演 クリスチャン・ベール
助  演 ジョン・マルコビッチ/ミランダ・リチャードソン/ナイジェル・ヘイバース/伊武雅刀
製 作 年 1987/米
シナリオ トム・ストッパード
原  作 J.G.バラード


スピルバークが撮ったヒコーキ映画、それも主役は零式艦上戦闘機。
ヒコーキ好きとしては、これは一応観ないと話にならん…という動機で観た映画。
原作者、ジェームズ・グラハム・バラードはSF作家(寡聞にして私は知らなかった)で彼の自伝的小説が原作なのだそうだ。

クライマックスで飛行するP-51ムスタングは流石に本物の大迫力だが…
肝心の零戦は…ちょっと待ってくれよ。
いくら何でも酷すぎないか?
この作品での零戦は主役級の存在なのに、あまりにぞんざい。
考証もヘッタクレもない。
飛ぶ物はともかくも、地上で朽ち果て、オブジェ化した機体くらい、もう少しきちんと誂えて欲しい物である。
この辺りはオキラク戦争青春映画「君を忘れない」の方がそれでも、まだ数段マシである。
飛行機マニア落胆。これだけで既に映画の評価は採点不能となる。

基本的にヲタクは戦争映画を見られない、あるいは、見てはならないのだ。
ストーリーや配役など殆ど見られずに、考証や登場機器類の型番ばかりを見てしまう哀しい生き物だから。

気を取り直して、内容だが、主人公の少年が前向きなのは良いが、あまりにオキラク過ぎやへんか?

意図はどうあれ、原爆投下をあたかも“神の啓示”の如き美しいシーンとして表現する、これはやはり幾ら何でも失礼無礼という物である。

戦争中の一般人の生活と精神混乱が見たければ、これ又賛否両論ある作品だが「火垂るの墓」辺りの方がお薦めである。
「毎年毎年夏になりゃこれ放映しときゃいい」シリーズに定番化してしまった感もあるのは何とも…とは思うのだが。

それから、ビデオも手に入りにくいのでなかなか見るチャンスには恵まれないだろうが、このジャンル、個人的には
拝啓天皇陛下様を一番に推しておく。


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