GBのアームチェアCinema見ist:ハドソン川の奇跡

ハドソン川の奇跡

ハドソン川の奇跡(原題:SULLY)

監 督 クリント・イーストウッド
出 演 トム・ハンクス/アーロン・エッカート/ローラ・リニー
脚 本 トッド・コマーニキ
音 楽 クリスチャン・ジェイコブ/ザ・ティアニー・サットン・バンド
原作 機長、究極の決断(静山社文庫)チェスリー・サレンバーガー/ジェフリー・ザスロー
製 作 年 2016 米


"This movie is based on a true story."
(この映画は実話に基づいています)

上映時間96分は随分端折っているのか?と思った。

しかし、実際には無駄を極力省いて、誠実な男の話を誠実に描き、短い時間に的確に詰め込んだ作品。
実話なので結末を知っていても最期まで見入ってしまった。

「さぁ!感動しろ!」等という演出は一切省き、物語は淡々と描かれる。
勿論、事故のドキュメンタリーなので、パニック場面はあり、リアリティはあるが、決してパニックを誇張せず、必要最小限にとどめる。
過剰な演技、盛り上げようとする音楽、派手な演出などなくても、心に残る映画は作れるのだ。
アメリカン・スナイパー”もそうだったが、敢えて登場人物に対して多くの感情移入をせず、映画作法的にも過飾を排し、淡々と描く名匠クリント・イーストウッドの力を見た気がする。

本作も含めて時系列を行き来するシナリオは近年かなり多いが、これはその手法が充分に生きている。

本当に無駄のないドキュメンタリー風作品。

事実が悲惨でなかったから、と言うのもあるが、後味の良い映画である。

なお、本作も本編終わっても決して席を立たないように。

原題は「サリー(SULLY)」。
トム・ハンクス演じるチェスリー・サレンバーガー機長のニックネームである。

本題から逸れるかも知れないが、自動車自動運転の開発が進んでも、それは「出来る」にとどめておいて欲しいモノだと強く思う。
まだまだ機械の判断は人間の経験には及ばないのである。

今回は通常版での観賞だったが、本作品は全編IMAXによる撮影が行われたと言う。

ちなみにIMAX(アイマックス)は70mmフィルムを水平方向に送ることで、1コマに使うフィルムの面積を通常の映画より広くし、高精細度の映像が得られるようにしたシステム。
フィルムの70mm幅を映像の垂直方向に使い、水平方向には15パーフォレーション分のフィルムを使う。
アイマックスシアターは、通常の映画館より大きく正方形に近いスクリーンを持ち、広い視野角により映画の中にいるような感覚を強めるために座席が急勾配に傾斜している。

高価な70mmフィルムを大量に使用し、カメラのレンタル料も高額なので制作費が多くかかってしまう。また、撮影素子(フィルム面積)が非常に大きいため、フォーカスの合う範囲が非常に狭く、セッティング、撮影に時間がかかってしまうのだとか。


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