GBのアームチェアCinema見ist:シェイプ・オブ・ウォーター
シェイプ・オブ・ウォーター(原題:The Shape of Water)
監督 ギレルモ・デル・トロ
脚本 ギレルモ・デル・トロ/ヴァネッサ・テイラー
出演 サリー・ホーキンス/マイケル・シャノン/リチャード・ジェンキンス/ダグ・ジョーンズ/マイケル・スタールバーグ/オクタヴィア・スペンサー
音楽 アレクサンドル・デスプラ
原案 ギレルモ・デル・トロ
制作 2017/米
そしてサンドリヨンは王子様と幸せに…
監督は『ぼくは「美女と野獣」が好きじゃない』と語ったらしい。
まさに、これはBeauty and the Beastへのアンチテーゼ。
半魚人とおばさんの純愛物?
見に行くかどうするか、一寸悩んだ作品。
アカデミー賞ノミネート、作品賞ほか4冠を達成したことが報じられたので、取り敢えず観とけと、劇場に足を運んだ。
ストーリーはありがち。ラストも「あ、やっぱりそう来るのね」ではある。
一歩間違えたら完璧にキワモノ映画である。これがアカデミー作品賞かいっ!
この手の話は我が国にも沢山ある説話類型。
「鶴の恩返し」やら「浦島太郎」やら「羽衣伝説」やら…
異類婚姻譚
その異形の物との愛の物語は、一寸前にもあった。
個人的には、この静かで美しいお話は大好きなのだが…興行的には大ゴケだったようだ。
しかして、本作は大きな栄誉を手にした。
確かに最初はゲテだと思っていたが、劇場の椅子で何とも不思議な世界に取り込まれて行く自分がいた。
とにかく映像はとても美しい。
何となく既視感がある映像美に感じたが、思いだした。
これはクリムトの世界なんじゃないか?。
この作品、本来はR18だったそうな。R指定がつくと上映できる館が限定されるらしい。
それでか、掛かっている劇場が少ないのは…
それでも日本公開では一カ所ボカシを入れてR15+に制限を下げての上映。
その経緯は鑑賞を終えて、この感想文を書くに当たって知ったのだが、ボカシシーン、いや「なんだこりゃ?」の数秒間。実に強い印象を与える。
もう、ずっこけてしまいそうなほど。
「半魚人とおばさんの純愛」と言われる本作では、実はプラトニックでも何でもなく、件のボカシを含めて性描写がかなり多い。
性描写の必要性が解らない、と言うご意見もあるようだが、異類婚姻譚としては異形の者との愛を確認するために、多分肉体の結びつきは必要なのだ。
問題のボカシシーンも、冷酷無比に見える敵役であっても、家に帰ればフツーのおとーさんでありフツーの夫であるという事。
そして、ヒロインの孤独を一シーンで伝えるために冒頭の自慰シーンもまた。
この、ヒロインが年頃の美少女でないところがこの映画を魅力的かつ美しく仕上げている要因でもあろう。
パディントンのママさんを演じているサリー・ホーキンスは実際にはもっと若々しく美しい(可愛い)女性である。
ここまでフツーのオバサンになりきる演技もまた素晴らしい。
何度か披露される彼女の裸体も、ガイジン丸出しのグラマーやブヨブヨの肢体でなく、程よく肉のそげた可愛らしいスレンダーで、これも情景の一部分として映像を美しくしている。
舞台は1960年代冷戦の時代、人種、性別、年齢、社会階層といった様々な壁に隔てられた人々が描かれる。
そしてそれを演じる俳優達のまぁ、達者なこと。
あれ?
ただのキワモノだと思っていたのに、随分評価しているじゃないか?私。
予想通りだが、力みのない自然なラスト。
原題“水の形”か…
お話そのものよりもグロテスクで美しいシーンごとを切り取って、妖しくも美しい一幅の絵画としてみるのもまた素敵かも知れない。
何とも不思議な映画である。
こう言う作品を一等賞に選ぶ映画の国は…凄いな。
2017年8月に第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映されて金獅子賞を受賞し、第42回トロント国際映画祭で上映される。北アメリカで2017年12月8日に広く一般公開された。暴力描写や自慰行為の描写があるため日本国内では、東京国際映画祭で公開されたオリジナルバージョンはR18+指定で公開され、2018年3月1日に公開されたものは1か所をぼかし処理したR15+指定バージョンのものである。第90回アカデミー賞では作品賞など4部門を受賞し、第75回ゴールデングローブ賞でも2部門を受賞した。
(Wikipediaより)
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