GBのアームチェアCinema見ist:真田十勇士

真田十勇士

真田十勇士

監 督 堤幸彦
出 演
中村勘九郎(6代目)/松坂桃李/大島優子/永山絢斗/高橋光臣/駿河太郎/村井良大/荒井敦史/望月歩/青木健/加藤和樹/伊武雅刀/佐藤二朗/松平健/大竹しのぶ/加藤雅也
脚 本 マキノノゾミ/鈴木哲也
音 楽 ガブリエル・ロベルト 主題歌 松任谷由実「残火」
製 作 年 2016

2014年に上演された日本テレビ開局60年特別舞台を、同作で演出を手掛けた堤幸彦監督が映画化。大坂冬の陣、夏の陣を舞台に、真田幸村を筆頭とした真田十勇士の活躍を描く。主人公・猿飛佐助を中村勘九郎、霧隠才蔵を松坂桃李が続投するほか、女忍び・火垂を大島優子が演じる。映画の公開と同時期に再び舞台上演されることも決定している。



劇場で予告編を何度か観て、一寸面白そうかな?と思ったのが大間違い。
以前に観た荒唐無稽な時代劇風無国籍無時代映画「なんちゃら剣×」並のハチャメチャ大活劇か、はたまたドタバタ仕立ての喜劇なのか、予告編では前者のイメージが強かった。
結論から言ってしまおう。
大変お金かけた(でも湯水のように使える訳ではない)「勇者ヨシヒコ」を入場料払って観る姿勢、あるいはイケメン揃いの俳優目当てで行くファンでないと腹が立つかも。

もはやこれは時代劇でも何でも無い。
猿飛佐助が鼻にブリーズライト貼ってるという所で気付くべきであった。

紐ビキニのグラマー美少女が甲冑に身を包み戦国武将の名を名乗り大活躍するゲーム、あのノリなのである。
(紐ビキニの美少女が出てくるならそれでも許したかも知れない…)

もう、あちこちでネタバラしされている様なので書いてしまうが…
金を掛けた…風に見える割に、あちこちにショボさが目立つ。

そもそも、冒頭のかなり長い時間、とても大スクリーンに映写すべきでないクオリティのアニメーションで前振り説明が続く。
10分以上あっただろうか。
作品間違った?どうする?おぃ!と思い始めた頃「この映画はアニメ映画ではありません。あと、数分で本編が始まります」のテロップが流れる。
シャレにも何にもなっていない。もう冒頭から滑りまくりである。
そんなに心配ならこんな事するなよ。
ここでもう、この作品に対する期待は一気にしぼんでしまう。

今回劇場パンフが品切れで手に入らなかったので、情報は少ないが、この作品、実は舞台演劇でかなり高い評価を得ているらしい。
そして、この映画版は舞台版とほぼ同じストーリーなのだそうな。

舞台版(3時間25分)は、十勇士を集めるだけで前半終了、と言う位時間をかけているらしい。

時間の都合で、仲間を集めるプロセスを端折るため?それとも俳優達、あるいは脚本にに短時間でそれを表現する力がなかった?

過去に「名画」と呼ばれる物でも、冒頭説明にアニメーションを使い、高い効果を上げているモノはあるが、ただ形式だけを真似ても、センスが伴わないと悲惨な事になる。

まずここで盛大にけっ躓く。

さて、本編(と言うか、この導入アニメーションも含めて本編なのだが…)。

笑いのセンスとは人それぞれなので、面白いと思う方はそれでよし。
制作側が楽しんでいるだけで、真面目に観ている観客は置いてけぼり、そんな感じである。

確かに合戦シーンは一見大迫力である。
がしかし…
なんか今ひとつなんだな。
どうだ!感動しろ!のシーンもあるが、流れが余りにちゃらんぽらんなので、感情移入など出来るべくも無い。
真面目に大活劇撮りたいのか、おふざけで疾走したいのか意図が見えない。

そもそもこのお話は明治以降に立川文庫にまとめられたフィクション。今で言うならラノベやコミックスに近い物語なのだが…
本作は漫画にもなりきれていない。

こう言うので感動したかったらワンピース見た方が素直だな。

エンドロールに延々と流れる紙芝居も余計、以外の何物でも無い。
ほら、こんなにネタがあるんだぞ、と言いたいのか?
だったら、こっちを本編にした方が面白かったんじゃないか?
結構出来が良いユーミンのエンドテーマが頭に入らないし、エンドロールを読む事も出来ない。

過ぎたるは猶及ばざるが如し

史劇なのか活劇なのか喜劇なのかはたまたラブストーリーなのか、シリアスドラマなのかスラップスティックなのか…
一体作者はナニがやりたかったのだろうか?

「これじゃない」感満載である。

いや、真田のお膝元上田周辺の人が観たら気を悪くしないか?これ。



真田十勇士(Wikipedia)

戦国時代末期から江戸時代初期にかけての武将で、講談で親しまれた真田幸村(史実では真田信繁)に仕えたとされる10人の家臣からなるキャラクターである。あくまで伝承上の架空の人物であるが、歴史的な由来を持つ人物もいる。
立川文庫以来、基本的な構成は、猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、三好伊左入道、穴山小助、由利鎌之助、筧十蔵、海野六郎、根津甚八、望月六郎の10人となっているが、作品によって差異が見られる。
真田幸村とそれに従う家臣という形の原型は江戸時代中期の軍記物および絵本の『真田三代記』に見られるが、「真田十勇士」という表現をはじめて用いたのは、明治・大正時代に刊行された立川文庫である。以後の「ヒーローとしてのイメージ」は、立川文庫という創作物によって定着した。

上田市デジタルアーカイブ

豊臣方の武将真田幸村の家臣として活躍をしたとされる十人の勇士の総称。この内の一部の名は、江戸時代中期頃に著された『真田三代記』などに見える。その武勇伝は架空のものであり『真田三代記』や『難波戦記』を種本として「立川文庫」によって創作された。
 十勇士の活躍舞台は、真田昌幸・幸村の九度山配流から大坂の夏・冬の陣までの間で、父子を中心に、徳川家康の動静を探りながら縦横無尽に活躍する痛快なおもしろさは大好評を博した。その郎党の顔ぶれが猿飛佐助・霧隠才蔵・三好清海入道・三好伊三入道・穴山小助・由利鎌之助・海野六郎・根津甚八・望月六郎・筧十蔵である。


return目次へ戻る