GBのアームチェアCinema見ist:RAILWAYS
RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ
監 督 蔵方政俊
出 演 三浦友和/余貴美子/小池栄子/中尾明慶/吉行和子/仁科亜希子/立川志の輔
脚 本 小林弘利/ブラジリィー・アン・山田
音 楽 ニック・ウッド
主題歌 「夜明けの雲」松任谷由実
製 作 年 2011
『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』に続く富山地方鉄道運転士のドラマを描く、地方鉄道を焦点にしたRAILWAYSシリーズ第2弾。監督は今作がデビューとなる蔵方政俊。出演は『死にゆく妻との旅路』の三浦友和。全編富山ロケを敢行した作品で、撮影は同年3月12日から行われた。舞台となった富山では、同年11月19日に先行公開され、12月3日に全国公開となった。
キャッチコピーは「いちばん近くにいるのに、一番わからないあなた。」「人生は鉄道に乗った長い旅――夫婦の絆を描く、感動シリーズ第2弾」。
富山地方鉄道株式会社(とやまちほうてつどう)は、富山県東部を中心に鉄道路線およびバス路線を運営する中規模地方私鉄。富山県では地鉄(ちてつ)と略して呼ばれる。
前作 RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語について…
いや…このタイトルはあんまりでないか?
TVの2時間サスペンスじゃねぇんだからさ…
もう少し頭使ってくれても良いんじゃねぇか??
Wikipediaによると…
仮題は『BATADEN』であったが、2009年7月29日の記者会見で『RAILWAYS』として発表された。
のだそうだが、“BATADEN”の方がまだマシか…んにゃ、どっちもどっちだ。
このセンスには一寸困惑してしまう。
と書いている。
いや、“BATADEN”にしないで良かったね。
こうして二匹目の泥鰌を捕りに(撮りに)行けた訳だし。
その前作の感想は…
映画そのものはヤオイ(やまなしいみなしおちなし)とまでは言わないが、大きな山のない平坦な映画ではある。
泣けるとか感動するとか言った類の作品でもない。(多分…)
だから、駄目…とは言わない。
心臓に悪いほどのジェットコースター・ムービーばかりが映画ではないだろう。
さぁ泣けと号泣強要感動押し売りが名画でもないだろう。
淡々と風景を描き出し、淡々と家族の情景を綴り、どこにでもあるような諍い、どこにでもあるような別れ、どこにでもあるような理解を映像に焼き付けている。
それはそれで、観ていて妙に落ち着く、気持ちの良い映画といえるかも知れない。
力のある役者を揃えて彼らも演技者としての使命を全うしているし。
これは鉄ちゃんによる鉄ちゃんの為の映画なのか。
だった。
今回は…
キャッチコピーが
いちばん近くにいるのに
一番分からないあなた
特報(30秒)のナレーション。
第二の人生、夫は妻と過ごしたいと願い…
妻は自分の時間を生きたいと願う
そして、TVでも幾度か放送された本予告で流れたナレーション…
一ヶ月後の定年を期にこれからは妻と一緒に、と思っていた夫
これからは自分の人生を生きたい、と思っていた妻…
遠く離れて初めて気づいた本当に大切なこと。
いや…TVスポットを一緒に観ていたカミさんが、「これからは…」のナレーションの時、鼻の穴でフッと笑ったのが…とても…
本編、米倉斉加年演ずる定年退職先輩のせりふ…
おまえ、この先の人生は、短いなんて思っとるんだろ。
長いぞ…これからの時間は…
が妙にキャッチコピーや予告ナレーションに重なって感じる。
劇場は中高年、それも女性が大半を占めていた。
彼女たちが一斉にウケてたシーンが…何とも…ヲッサンは一寸いたたまれない。
前作は島根の一畑電気鉄道(通称“バタデン”)が舞台だったが、本作は越中、富山地方鉄道(通称“チテツ”)に場を移し、メインタイトルこそ共通だが、全く無関係の物語として綴られる。
この地鉄沿線はカミさんの生まれ故郷。
カミさんの実家から数分、玄関を出ると見えるローカル駅も冒頭に登場する。
地元では先行上映され、義母はじめ親戚は首都圏上映に先立って既に観に行ったようである。
そんな訳で、カミさん、かなり楽しみにしていたようだが…
観賞後の感想は…
「県人会のための映画だね。映像は美しかったけど…」
ホントか?おぃ…
私は結構心に刺さるところがあったぞ…
些細な気持ちの行き違いで退っ引きならぬ所まで行ってしまう一組の夫婦。
そしてその結末は…
いや…
そうきたか。
このどんでん返しが、その後どういう意味を持つかは…是非ご覧になって考えて頂きたい。
物語中盤、主人公が数十年ぶりで再会する同級生(かつての恋人?)と当時観た映画の感想を語り合う。
主人公は「年上の女性に誘惑される映画」と言い、相手は「望まぬ結婚から救い出されるストーリー」という。
男と女というのは、まさにそう言う物なのかも知れない…
そして、「離れないと本当に大切なことに気づけない」のも真理なのかも知れない…
「あの人なんで出てきたの?」
と、カミさんは言う。
あんた…揺れ動くヲッサンの気持ち、解らないんだ…
ちなみに、地方の鉄道会社は何処も大都市圏の鉄道会社からの払い下げ車両を使っているが、このチテツも例外ではない。
京阪電気鉄道からの特急形車両京阪3000系電車、西武鉄道らの16010形電車通称レッドアロー等が登場する。
パンフによると京阪3000系はカボチャ電車、地鉄オリジナルの14760形旧塗装はダイコン電車と呼ばれる…とあるが、カミさんは「そんなの聞いたことない」と。
確かに黄色と緑の電車を「テレビ電車」と呼ぶのは知っていたが、カボチャやダイコンは私も聞いたことがない。
で、「なんで活躍する車両が地鉄オリジナルの白地にグレーと赤のラインじゃないの?」とカミさんは不満げであったが…
クライマックスなどでレッドアローが使われたのは、第二の人生とも言える払い下げ電車…多分そう言う意味なのではないか?
目次へ戻る