GBのアームチェアCinema見ist:パトリオット・デイ
パトリオット・デイ(原題:Patriots Day)
監督 ピーター・バーグ
脚本 ピーター・バーグ/マット・クック/ジョシュ・ゼッツマー
原案 ピーター・バーグ/マット・クック/ポール・タマシー/エリック・ジョンソン
出演 マーク・ウォールバーグ/ケヴィン・ベーコン/ジョン・グッドマン/J・K・シモンズ/ミシェル・モナハン
音楽 トレント・レズナー/アッティカス・ロス
製作年 2017/米
史実と言うには記憶が新しすぎる。
2013年4月15日。毎年4月の第3月曜日「パトリオット・デイ」(愛国者の日)に開催されるボストンマラソンの最中に発生した爆弾テロ事件。事件が解決する108時間を時系列に追った、ドキュメンタリー風ノンフィクション。
と思いきや、これが…
不謹慎な観客は手に汗握るアクション・サスペンス物として観てしまう。
逆に言うと、ノンフィクションでありながら娯楽作品としても通用するだけの作品に仕上がっている、と言うことか。いや、事実は小説よりも奇なり、なのか?
主役以外の名前のある登場人物は全て実在しているらしい。
主役の警官も実在の3人の警官をモデルにしているとのこと。
映画をそのまま観ると、派手なドンパチの警官物と言うことになるが、現場確保のために路上に取り残された少年の遺体に寄り添って直立不動で屹立する警察官の表情が悲しみをそそる。
主人公はなかなか格好良いが、後半大活躍する実在の街警察の署長。この爺さんの格好良さに全部持って行かれてしまったな。
中国人青年も大活躍、と思ったら、製作は中国資本なんだな、本作。
PG12指定と言う事で、テロシーンは凄惨だが、これは作劇上仕方のない部分だろう。
この凄惨なシーンがエンディングの「それでも、人は強く生きていける。」というメッセージにつながって行くのだから。
愛国者の日(あいこくしゃのひ:Patriots' Day)とは、アメリカ合衆国のマサチューセッツ州、メイン州、ウィスコンシン州の3州において制定されている祝日。アメリカ独立戦争の緒戦となる1775年4月19日のレキシントン・コンコードの戦いを記念したもの。4月の第3月曜日。
ボストンマラソンが開催される日としても、知られている。
劇中で犯人が「9.11のテロはアメリカ人がイスラム教徒を迫害するために自作自演で起こしたもの。この国に正義はない」と語るシーンがあるが、本作の元となったボストン爆弾テロ事件もアメリカがでっち上げたものだという陰謀論がアメリカで出回っているらしい。
テロは許されざるモノではあるが、あれだけの犯罪に走った犯人側の論理には全く触れられていない。
本作の監督はその辺りどう思っているのだろうか?
何にせよ、本作はみんなのアメリカ、強いアメリカ、アメリカは負けない、と言った国威高揚作品に仕上がっちゃっている側面はあるよなぁ。
なかなかの良作なのだが、その辺りで一寸現実に引き戻されて、醒めてしまった私であった。
土曜の夜にも関わらず、客席は…
私ら夫婦を含めて5人の入りだった。
沢山のエピソードを詰め込んでいるにも関わらず、引き締まった作品に仕上がっている。何人もの登場人物の物語が一つに収束して行く作りは見事である。
昨年の“ハドソン川の奇跡”に引き続き、ノンフィクション佳作だと思うけどなぁ。
目次へ戻る