GBのアームチェアCinema見ist:ポーラー・エクスプレス

ポーラー・エクスプレス

ポーラー・エクスプレス:THE POLAR EXPRESS

監  督 ロバート・ゼメキス
音  楽 アラン・シルヴェストリ
主  演 トム・ハンクス(日本語版:唐沢寿明)
助  演 ピーター・スコラリ/ノーナ・ゲイ
製 作 年 2004・米
原  作 クリス・ヴァン・オールズバーグ
シナリオ ロバート・ゼメキス
製作総指揮 トム・ハンクス/クリス・ヴァン・オールズバーグ

この作品は、前から一寸気になっていたのだが…
いつものシネマ・コンプレックスに、カミさん、三男坊とこれを見に行って、当日指定が買えたので、つい、はしごで見てしまった。
トム・ハンクスの5役(実際には主人公の少年の役は無理だったらしいが…)を期待していたのだが、小学生の息子が一緒だったので今回は吹き替え版。
まぁ、唐沢寿明の5役(…とパンフレットには書いてあるが、無理だったようで、やはり主人公の少年は演っていない。エンドクレジットにも載っていなかった。)もなかなか悪くないかも知れない

下に紹介する絵本の映像化であるが、本文27頁、表紙、裏表紙、扉含めてたった18枚の絵物語を1時間40分の(売れる)娯楽作品に構成する…という作業は並大抵のモノではない。
短い原作をいかに膨らませるか、が勝負だと思うが、それなりに楽しませる娯楽映画にはなっている。
まぁ、そこまでしないとイケナイの?と思う程、過剰に近いサービス満載なのだが…
もうケチョンケチョンの酷評もいくつか目にしたが、子供達はかなり喜んでいたようである。
恐らく、制作者の意図であった【絵本の世界を映像に定着させる】という作業は成功しているのではないかと思う。
映像は美しい。
ただし、原作絵本のしっとりとした落ち着きを期待すると裏切られるかも知れない。
私?楽しめましたよ、ミュージカル仕立ても結構良いし、“真性ローラーコースター映画”として楽しむのも良し。
クリスマス前にこういうのを見るのは気分的に楽しいしね。

気になったのは、サンタクロースの手伝いをする集団(村上春樹は「こびと」と訳している)を劇中では「エルフ」と呼び、劇場パンフレットにも「Elf」という記述がある。
(字幕版のオリジナル音声ではなんと言っているのだろうか?)
あれはどう見てもエルフではない。レプラコーンの類の小妖精である。
村上訳の「こびと」の方がずっとすっきりする。「森の木陰でドンジャラホイ」のあの「こびと」である。イメージ的には白雪姫に出てくる「七人のこびと」に近い。
(白雪姫の「こびと」は「Dwarfs:ドワーフ」で、本当はまた一寸違う種族なのだが…)



急行「北極号」 こちらが原作。“急行「北極号」The Polar Express”ISBN: 4-7515-1999-9
C.V.オールズバーグの絵と文による美しい絵本である。
日本語訳は村上春樹で、あすなろ書房からの刊行。
本作は1986年度コルデコット賞を受賞しているそうな。
コルデコット賞は、ウォルター・クレイン(1845-1915)、ケイト・グリーナウェイ(1846-1901)と並び19世紀イギリスを代表する挿し絵画家であった、ランドルフ・コルデコット(1846-1886)の業績に対し制定され、アメリカの優れた絵本作家に送られる。
(あのモーリス・ゼンダック等も受賞している)
オールズバーグはこの賞を本作を含め2度も受賞している希有な作家なのだそうだ。

return目次へ戻る