GBのアームチェアCinema見ist:オケ老人!

オケ老人!

オケ老人!

監 督 細川徹
出 演
杏/黒島結菜/坂口健太郎/左とん平/小松政夫/藤田弓子/石倉三郎/茅島成美/森下能幸/萩原利久/フィリップ・エマール/飛永翼/光石研/笹野高史
脚 本 細川徹
音 楽 渡邊崇 原 作 荒木源「オケ老人!」小学館文庫
製 作 年 2016

今日はターミナル駅ではなく、下り電車に乗りシネコンがあるショッピングセンターへ。

実は一瞬、話題の「君の名は。」も頭をよぎったが、実はこの監督の前作、ざざっと観てナニが楽しいんだか解らなかったので、やっぱり劇場予告編が気になっていたこれを。

まぁ、そんなに期待していた訳ではない。
しかしながら、このキャストは凄いとしか言いようがない。

音楽映画としては決して期待すべきではない、と思っていたがコメディとしては期待出来る。

たびたび書いているが「ヲタクは映画を観られない」。
つまり、機械物のヲタクは映像の中に機械の完璧な再現を求めてしまう。
音楽は…ヲタクとまでは言わずとも楽器演奏の“マネ”をされると興ざめしてしまうのである。

邦画の音楽映画で稀代の傑作は「スウィングガールズ」だと思う。
なぜなら、あの作品は全ての出演者が役者であると同時にきちんと人前で演奏出来るレベルのプレーヤーになっていたからである。

本作は…
そういった意味では一寸残念な映画ではあった。
あったが、そもそもその辺りは殆ど期待していなかったので良いのだ。

このヲッサンオバサン達を揃えた時点でコメディ映画としての本作は成功している。

本編そのものは一言で言って予定調和のありきたりの映画。
それ以外の何物でもない。
ストーリーも全く「どこかでみた」そのもの。

筋書きは殆ど見え見え。
ダメ楽団が奮起をしてコンサートまでこぎつける話は全く目新しさがなく、超ご都合主義の展開。

クライマックスをどうやって盛り上げるかと言う事ばかりが気になった。

だが、それなりに楽しめた。

これ、後味が頗る良いのだ。
「老人あるある」と言う言葉をどこかで見たが、まさしくそれ。
しかし、ハッピーエンド、誰もが幸せになる結末はやはり気持ちが良い。
(約一名びみょ〜ではあるが…)
老人だろうが若者だろうが、夢を追いかけて希望を持って生きて行くと言う事は大切なのだ。
観た後に微笑める映画は、須く良い映画なのだ、と思う。

音楽には魔力がある。
音楽をテーマにした映画は、大抵感動作になる。
ましてや、集大成としての本番ステージがクライマックスとなれば、これはもう。
言ってみれば反則技みたいなもんだな。
たとえ演奏がニセモノであっても。

美女イケメン若手が綺羅星の如く並んだ作品ではなく、クランクアップまでに誰か欠けてしまうのではないかと思われる超ベテランを揃えて、全体的に地味な印象だが、映画は派手なら良いという物ではない。
何のてらいもないストレートなハートウォーミング・コメディもたまには良い物だ。
「音楽映画」としては少々情けない気もするが、コメディとしてはかなり良く出来ている。

何度も書くが、残念なのは演奏している“フリ”。
あのベテラン達に、殆どが新人だった「スウィングガールズ」の様な特訓は望めないだろうが…
やはりもう少し“演奏者”らしく振る舞って欲しかった、かな?

場内が明るくなってふと周りを見回すと…
殆どの観客がさっきまでスクリーンの中で演奏していた、まるで○け老人の如きおばちゃん(おばーちゃん)ばかりだった…


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