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オデッセイ

オデッセイ(原題The Martian)

監督 リドリー・スコット
脚本 ドリュー・ゴダード
出演 マット・デイモン/ジェシカ・チャステイン/クリステン・ウィグ/マイケル・ペーニャ/ショーン・ビーン/ケイト・マーラ/セバスチャン・スタン/アクセル・ヘニー/キウェテル・イジョフォー
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
原作 アンディ・ウィアー『火星の人(英語版)』(ハヤカワ文庫SF)』
制作年 2015米


日曜日に鑑賞順選択で後味の悪い映画を見てしまったので、口直しに、多分見た後に幸せになれるであろう映画を見てきた。

2015年のアメリカ合衆国のSF映画である。アンディ・ウィアーの小説『火星の人(英語版)』(2011年出版)を原作としている。監督はリドリー・スコット、主演はマット・デイモンが務める。火星に一人置き去りにされた宇宙飛行士の生存をかけた孤独な奮闘と、彼を救いだそうとする周囲の努力を描く。

2011年に『火星の人』が出版された後、間違いがあることが判明した。作中では火星での砂嵐によって船が深刻なダメージを受けたことになっている。確かに現実の火星では風速が時速190キロメートルにもなる。しかし、火星の大気圧は非常に低いので、船に深刻なダメージを与えるほどの風を発生させることはできないのである。この間違いは映画においても訂正されなかった。
映画版独自の不正確さもある。火星の重力は地球の約40%の大きさであるが、リドリー・スコットは地球と火星の重力の差を再現しなかった。あえてその差を表現する意味を見出せなかったためである。
(Wikipediaより)

確かに冒頭部分で、なんで火星の大地を普通に歩いてるんだ?と言う違和感はあった。
あったが、主人公が一人になる辺りでそんなことはどうでも良くなってしまったのである。

主演はマット・ディモンは劇場パンフレットのインタビューで
「もしも彼が2時間ずっと手に汗握る緊張感をみなぎらせていたら、見ていてそれほど楽しくなかっただろう。初めてリドリーと会った時に、その点をよく話し合った。この男が感じている本物の危険やプレッシャー、恐怖を感じる必要があるが、同時に楽しめて面白い物にしたいとも思った。」

とにかく、徹頭徹尾ポジティブなサバイバル・ストーリー。

諦めたらその人の人生はそこで終り。諦めない限り、可能性は残されている。その為の知識や技術、経験は必要だが、加えてポジティブ思考が如何に重要になるか。

飛行機事故などで墜落までの間に遺書を書いたりする人は大抵助からない。やはり「死んでも命が惜しい」と思う人間が最後に残るのだろう。

宇宙でひとりぼっちになる…まぁ、定石なら家族と電話するとか、悲壮な決意を語るとか…そんなシーンは敢えて外したのだろう。
最初から最後までジョーク満載、挫けない。

知恵と勇気とジョークで生き抜く主人公に久しぶりにワクワクした。
マット・デイモン、冒頭で裸になるが、これがラスト近くの映像への伏線になる。
役者って凄いね。

原題はMARTIAN=「火星人」だと思うのだが、火星人だとタコのような宇宙人のイメージだから邦題を変えたのだろう。原作の邦訳題「火星の人」ってのもなかなか良いと思うが、映画的ではないんだろうな。

ちなみに、オデッセイ(Odyssey)はギリシアの叙事詩であり、名詞としては長期の放浪、長い冒険、遍歴等の意味を持つ。

そして、全編で流れまくる70年代ディスコ・ヒッツ。 この艱難辛苦を我に、の深刻な状態にオキラクノリノリの16Beart。何ともミスマッチで素敵だ。
船長が長期にわたる探査機滞在の退屈しのぎに持ち込んだ楽曲という設定だが、音楽はこの映画のとても重要な要素である。
各楽曲がシーンに絶妙に絡んでいるのが印象深い。
ここでフルオーケストラの壮大なハリウッドスタイルの劇伴流したら、本作はただの陳腐なスペクタクルになってしまっただろう。

そんな重要なBGM達の紹介が劇場パンフレットには一切無い。
いつも思うのだが、劇場パンフレットの編集者は、実際テキトーなやっつけ仕事しかしていない。

The Martian: Song and Score Deluxe Soundtracksと言うCDを見つけた。
2枚組で2枚目はオーケストラ劇伴だが、一枚目は挿入歌のようだ。

 Turn the Beat Around/Vickie Sue Robinson
 Hot Stuff/Donna Summer
 Rock the Boat/Hues Corporation
 Don't Leave Me This Way/Thelma Houston
 Starman/David Bowie
 Waterloo/Abba
 Love Train/The O'Jays
 I Will Survive/Gloria Gaynor
 The Martian Score Suite/Harry Gregson - Williams

ありゃぁ〜〜!ポチってしまいそう。

さて、宣伝コピーにあったが世界中が見守って…ない。
(正確には「70億人が彼の還りを待っている。」)
見守ってたのは関係者と利害関係?の3国だけじゃないか。

ともあれ良くも悪くも、アメリカ映画。
でもアメリカ映画の良さが存分に出ている。
少なくとも「ゼログラビティ」なんかより数段好きだな、私は。



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