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燃えよ剣

燃えよ剣 BARAGAKI UNBROKEN SAMURAI

監督 原田眞人
脚本 原田眞人
原作 司馬遼太郎『燃えよ剣』
出演 岡田准一/柴咲コウ/鈴木亮平/山田涼介/伊藤英明/尾上右近/山田裕貴/たかお鷹/坂東巳之助/安井順平/谷田歩/金田哲/松下洸平/村本大輔/村上虹郎/阿部純子/ジョナス・ブロケ/大場泰正/坂井真紀/山路和弘/酒向芳/松角洋平/石田佳央/淵上泰史/渋川清彦/マギー/三浦誠己/吉原光夫/森本慎太郎/嶋政宏/柄本明/市村正親
音楽 土屋玲子/宮沢和史と「GANGAZUMBA」
製作 2020


孫達が来ない日曜。
しかし、ちゃんと早朝に起床。

昨夜、カミさんに
「これはどうしても見たいのであなたが行かないのなら平日に一人で行くが?ど〜する?」
と訊いたら、彼女はその場で即座に劇場、朝一番ををリザーブした。

考えてみれば、これは幕末好き人間の映画であると共にジャニ映画だったのだ…
多分カミさんは単純にイケメン映画として鑑賞希望。

本作の原作『燃えよ剣』(もえよけん)は、司馬遼太郎の歴史小説。『週刊文春』誌上で、1962年(昭和37年)11月から1964年(昭和39年)3月にかけて連載、文藝春秋新社から1964年(昭和39年)3月に刊行された。

幕末の武装集団、新選組副長・土方歳三の生涯を描く。司馬の代表作の一つとして広く知られ、テレビドラマ・劇場映画・舞台など様々なメディアに翻案されている。
(Wikipediaより)

燃えよ剣
この新選組は、黒一色の隊服を着用。史実によれば、よく知られる浅葱色のダンダラ模様はほとんど着用していなかったという。「誠」の旗もない。(一度出たかな?)
勿論、池田屋の階段落ちもない。

『燃えよ剣』過去1966年に栗塚旭の「土方歳三」で映画化されている。

その他、1966年、1970年、1990年にテレビドラマもあった。

1966年版(東京12チャンネル、現:テレビ東京)では、「土方歳三」役を内田良平、「近藤勇」役を小池朝雄、「沖田総司」役を杉良太郎。

1970年版(NET、現:テレビ朝日)では、「土方歳三」役を栗塚旭、「近藤勇」役を舟橋元、「沖田総司」役を島田順司。

1990年版(テレビ東京)では、「土方歳三」役を役所広司、「近藤勇」役を石立鉄男、「沖田総司」役を辻輝猛が演じた。



燃えよ剣
一番印象に残っているのは1970年版かな。
栗塚版土方の印象が強かったので土方歳三はごつい豪傑のイメージがあったが、司馬遼太郎の描く土方はある面シャイで繊細な人物像を形作る。残された写真などを見る限り、ひらぱー兄さんは正に土方歳三なのである。
近藤、沖田もビジュアル的にはかなりぴったりじゃないかと私は思う。

上映時間148分。
長編である。一寸ケツが痛くなりそうだが、二時間半画面に見入ってしまった。
これ、私は好きである。かなり気に入った。

ふと気付いたら、当たらなかったがかなり好きな作品、『さらば映画の友よ インディアンサマー(1979年)』の監督・脚本だったんだ。

最近では『日本のいちばん長い日(2015年)』、『関ヶ原(2017年)』、『検察側の罪人(2018年)等の監督・脚本も手がけている。

なによりキャスティングが私のイメージにぴったりだし、文庫本で2巻に及ぶ原作なので少々駆け足なのは仕方がないが、逆に激動の時代を駆け抜けた男の半生の速度感が得られて好ましかった。

物事は良い・悪いではなく、好き・嫌いで判断するのが本質なので、この人のセンスは嫌いじゃないと言う時点で私的には当たりなのだが。




以前観た映画で、全編バロックを流していた作品があり、「そりゃ余りに安易だろ」と思ったのだが、本作でも後ろに流れる音楽が耳に馴染んだ物だった。
ところがこれが…
安易な印象がなく、どちらかと言えば映像にマッチングして何とも良い雰囲気を醸していた。
監督のオーダーは同時代のクラシックと言う事だったそうだが、これは何とも面白いセンスではある。

全編を通して変奏され、強く印象に残るのは、ビゼーの Je Crois Entendre Encore (耳に残る君の歌声)
作品名 : 「真珠採り」(原題 : Les Pecheurs de perles)は、フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼーが作曲した3幕からなるオペラである。

テノールのアリア「耳に残るは君の歌声」(通称「ナディールのロマンス」)


Georges Bizet (1838-1875) - Je crois entendre encore

ジョルジュ・ビゼー(Georges Bizet, 1838年10月25日 - 1875年6月3日)は、19世紀フランスの作曲家である。

代表作に『カルメン』、『アルルの女』、『真珠採り』、『美しきパースの娘(日本では作中のセレナードの旋律が「小さな木の実」(作詞:海野洋司、編曲:石川皓也)に転用され有名)』など。
(Wikipediaより)

セバスティアン・イラディエル(Sebastian Yradier, 1809年1月20日 - 1865年12月6日)は、スペインの作曲家。本名は、セバスティアン・デ・イラディエル・イ・サラベリ(Sebastian de Iradier y Salaverri またはサルベリ Salberri)。Yradierという綴りは、パリの出版社に強いられて用いた。バスク地方のアラバにあるランツィエゴ出身。
(Wikipediaより)

こんな曲も使われていた。
最初撥弦楽器のトレモロで、おや?マンドリン?と思ったが、実はバラライカ。


Sebastian Iradier Salaverri (1809-1865) - El Arreglito



バイカル湖のほとり


『バイカル湖のほとり По диким степям Забайкалья』は、19世紀後半頃に成立したとされるロシア民謡・歌曲。作詞・作曲者については明らかではない。1947年にソビエト連邦で制作・公開された2番目のカラー映画「シベリア物語」で主題歌・テーマ曲として使われて有名になった。
(worldfolksong.comより)

『バイカル湖のほとり』の歌詞は1825年12月にロシアで起きた将校による反乱事件「デカブリストの乱」が関係しているらしいが、デカブリストの乱は、その後のヨーロッパ各国での革命運動の契機となり、5年後のフランス7月革命(レ・ミゼラブルの歴史的舞台)にも影響を与えたと考えられている…と言うことで、なかなか興味深い選曲ではある。

燃えよ剣
遊郭で近藤達が熱狂の踊りを見せる場面で芸妓達が奏でるシルクロード無国籍風の音楽もなかなかだったな。
画面の隅でヴァイオリンを弾いているのは作曲家(土屋礼子)本人だそうで、この場面は完全なフィクションだが当時島原の芸妓がヴァイオリンを弾いたという記録はあるらしい。
映像には他にウードを弾く男など西方の渡来楽器も発見できた。

暗殺の宴 - 土屋玲子/宮沢和史と「GANGAZUMBA」

燃えよ剣
そして…
案の定、ひらパー兄さんが…

ひらパー兄さんはともかく、昨今の劇場パンフは内容希薄のペラペラで詐欺モドキのモノも多いが、本作のパンフはなかなか資料性も高く、お買い得であった。





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