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武士の献立

武士の献立

監 督 朝原雄三
出 演
上戸彩/高良健吾/西田敏行/余貴美子/夏川結衣/緒形直人/成海璃子/柄本佑/鹿賀丈史/笹野高史
語 り 中村雅俊
脚 本 柏田道夫/山室有紀子/朝原雄三
音 楽 岩代太郎
主題歌 CHARA「恋文」
製作年 2013
製作国 日本


カミさんのお供で二日連続の映画館。

加賀騒動
江戸時代に加賀藩で起こったお家騒動のこと。伊達騒動、黒田騒動または仙石騒動とともに三大お家騒動と呼ばれる。

その加賀騒動に巻き込まれる、揶揄と親しみを込めて「包丁侍」と呼ばれた実在の加賀藩料理番、『料理無言抄』の著者、舟木伝内、安信父子らの姿を、安信の妻の視点から描く。 もっとも当時の記録では例え武士であっても妻の名前などは残されていないそうだから、お話は多分殆どフィクション。

2010年に公開された『武士の家計簿』に続き、江戸時代の加賀藩に仕えた武士をユニークな切り口で描く時代劇。
とは言え、続きでも何でもなく、舞台が加賀藩と言うだけの『武士の家計簿』の100年程前のお話。

「料理無言抄」は当時のいわばレシピ集、と言うよりも素材百科に近い物だったらしい。(料理の工程などは余り記されていないとか)
それを書き残した実在の包丁侍、舟木伝内と安信の父子とその家族を描く。

脚本は『武士の家計簿』の柏田道夫。監督は山田洋次の愛弟子であり『釣りバカ日誌』シリーズを手掛けてきた朝原雄三。

全くの予備知識無し、誰が出ているのかも知らなかったが、これはなかなかの佳作かも知れない。
刀を包丁に持ち替え、国を食で支えた武士の物語。

画面が暗いのは屋内、それも厨房シーンが多く、リアルな絵造りをすると薄暗くなるのだろうか?
当時の家屋内は壁も床も黒っぽいし。

食い意地が張っているので料理のお話は好きである。

出てくる料理は前述の「料理無言抄」に記録された加賀の国の料理数々。
これは圧巻…
と、言うべきなのだろうが…
確かに料理人と料理研究家が監修してかなり素晴らしい(多分)料理を画面に展開しているのだが…

残念なことに、何だかどうも「食いてぇっ!」と思わせる程美味しそうに見えない。
何故だろう?

女優を美しく撮るよりも料理を旨そうに撮る方が数段難しいに違いない。

食い物映画を観た後は、大抵同じような物が食いたくなるはずなのだが…
今回は余りそう言う気分にならなかった。
終わった後、昼食に鮨を食ったのだが、これは映画を観たからではなく、上映終了が丁度昼時であり、ショッピングセンター内のシネコンなので、観る前から昼はいつもの鮨屋と決めていたからである。

キャッチコピーは「ご賞味あれ」

いや、それは一寸な…

お話そのものはなかなか面白い。
殺伐とした抗争を料理で乗り切るという筋書きに好感を覚える。
が、しかし、料理映画と言うよりも、これは若い夫婦が夫婦になって行く過程を描いたラブストーリー。
どちらかというとこぢんまりとまとまってはいるが、何となく暖かい雰囲気がかなり良い。
(セリフ回しなどは「本物の時代劇」ではないけれど…)

ただ、加賀丈治がいつ「ワタシの記憶が確かならば…」「アレ・キュイジーヌ!(Allez cuisine!)」と言い出すか気になって仕方がなかったのである。
(言いませんっ!)

エンディング近く、夫婦がえにしを確認するシーンのバックで流れていたアイリッシュ風の控えめな音楽が素敵でもの凄く印象に残った。
が、その後エンドロールで流れる主題歌は…
う〜ん…

どうなんだろう、こう言う組み合わせのセンスは…


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