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グレン・ミラー物語

グレン・ミラー物語:The Glenn Miller Story

監  督 アンソニー・マン
音  楽 ジョセフ・ガーシェンソン
主  演 ジェームズ・スチュワート
助  演 ジューン・アリスン
製 作 年 1954/米
シナリオ バレンタイン・デイビス


1940年代のビッグ・バンド華やかなりし時代のトップ・スターで、ジャズの歴史に新しいスタイルを確立して世界中のジャズ・ファンに愛されているトロンボーン奏者グレン・ミラーの生涯を描いた伝記映画。
人気絶頂期に愛する妻子を残し、軍人として彗星のように消息を絶ってしまった、と言う劇的な生涯。面白い映画にならないはずがない。

ミラー役は、容姿がソックリで既にスターとして活躍していたジェームズ・スチュワートが演じている。
グレン・ミラー大好きで若い頃から何度もこれを見ている私は、実は、あまりに似ているので本人と映画のキャラクターが既にごっちゃになっている。

「真珠の首飾り」、「茶色の小瓶」、「ペンシルバニア65000」、「ムーンライト・セレナーデ」等々、サウンドトラックだけでもわくわくしてしまう。
編曲は、後に“ティファニーで朝食を”(1960)や、“シャレード”(1963)などの音楽を手掛け、巨匠と言われるようになったヘンリー・マンシーニが担当している。
ミュージシャンも、ルイ・アームストロング、ジーン・クルーパ、ベン・ポラック、フランセス・ラングフォードといった面々が特別出演しており、その演奏は見所の一つだろう。
夫婦の愛の物語ともいえるが、大人になってから冷静に見ると「アメリカ国威高揚映画」にも見えてしまうのが少々気にならなくはない。
分列行進の行進曲が途中でスィングして「セントルイス・ブルース・マーチ」になってしまう下りはジャズファンとしては最高なのだが…

本作の大ヒットで、ユニヴァーサルは本作の脚本を書いたヴァレンタイン・デイビスの脚本・演出で1955年に“ベニイ・グッドマン物語”を製作したが本作ほどの評価と成功は得られなかったらしい…
個人的には“ベニイ・グッドマン物語”も同じ位好きなのだが… *

グレン・ミラー(1904〜1944)

グレン・ミラー 1904年3月1日アイオワ州クラリンダ生まれ。
1937年に楽団を結成、1939年ビル・フィネガン等をアレンジャーに起用してから人気が爆発、1942年兵役にとられるまでミラー楽団は全米最高の人気を誇った。
入隊後アーミー・エアフォース楽団を率いて海外慰問などに活躍したが、1944年12月15日英仏海峡をフランスに向け飛行中に消息を絶った。
映画では語られていないが、ドイツ爆撃の帰還機が海上投棄した未使用爆弾が直下を飛行中の彼の搭乗機を直撃したというのが真相のようだ。



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