GBのアームチェアCinema見ist:借りぐらしのアリエッティ

借りぐらしのアリエッティ

借りぐらしのアリエッティ

監 督 米林宏昌
出 演 志田未来/神木隆之介/大竹しのぶ/竹下景子/三浦友和/樹木希林
脚 本 宮崎駿/丹羽圭子
音 楽 セシル・コルベル
主題歌 「Arrietty's Song」セシル・コルベル
製 作 年 2010



借りぐらしのアリエッティ 1952年に発表された「床下の小人たち」は、シリーズ化され「小人の冒険シリーズ」(原題:The Borrowers)として1952年の第1作から1982年までに全5作が発表された、イギリスの児童文学作家メアリー・ノートン(Mary Norton,1903年12月10日-1992年8月29日)の代表作。

1973年と1993年にTVシリーズ化、1997年には「ボロワーズ」というタイトルで映画化もされているらしい。
日本では1969年に発行後、一時期品切となっていたが、復刊をリクエストするサイト「復刊ドットコム」で要望が多く、2002年10月に復刊となり話題となった。


昔、どこかで借りて読んだ覚えがある…

原題の“The Borrowers”は“借用者たち”という意味。


借りぐらしのアリエッティ イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。
必要なものはすべて、こっそり人間から借りて暮らしていたが、ある日、その家の男の子に姿を見られてしまう…

「小人の冒険シリーズ」は第1巻の「床下の小人たち(The Borrowers)」、の他、続編「野に出た小人たち (The Borrowers Afield)」、「川をくだる小人たち(The Borrowers Afloat)」、「空をとぶ小人たち(The Borrowers Aloft)」、「小人たちの新しい家 (The Borrowers Avenged)」が岩波文庫で邦訳されている。

「床下の小人たち」は、カーネギー賞,アメリカ図書館協会賞、ルイス・キャロル・シェルフ賞等を受賞した「小人シリーズ」の第1作。

イギリスの古風な家の床下で「人間」から食べ物や生活用品を「借りて」平穏に暮らす小人の3人家族のお話。

ファンタジーとは言え、魔法を自由に操り、ドラゴンと戦ったりする…訳ではない。 小人たちの生活はエコロジカルでストイック。
極めてマクロ視点のこぢんまりとした世界。

借りぐらしのアリエッティ さて、その「小人の冒険」、宮崎駿が40年近く前から企画を温めていたと言う。

前評判はかなり良かった。

前作「ポニョ」は…悪くはなかったモノの、私には老匠宮崎の苦悩が見えてしまって、少々痛々しかった。
その前の今後の会社の経営戦略に目がくらんだ“経営者”鈴木プロデューサーの先行による“親の七光り作戦”では、名作「ゲド戦記」を見るも無残に改竄、破壊しまったという罪を犯し、もうジブリもお終いかと思わせたのであったが…

“人に何かを伝えるちから”と言うモノは“世襲”などでは決してないのだ。

今回、音楽に久石譲がクレジットされていなかったことに事前に気付いた。
監督は宮崎ではないのだ。

今回の監督は、巨匠が「今一番才能があるアニメーター」として評価している人物だそうな。
現場最前線の兵士が良い指揮官になれるかどうか…必ずしもそうではないとは思うが…

今回の人選に関しては、巨匠の人選は誤っていなかったかも知れない。
いくら現場に優秀な人間を集めた所で、世襲の七光りだけを頼りのマヌケなボンボンではどうにもならない。


現場たたき上げでも、人を動かすことを知らない人物でもどうすることも出来ない。
人を動かすのに長けていても、映画のような総合芸術ではセンスと才能がなくてはいかんともしがたい。

今回は「絶賛」という程ではないモノの、一代で終わりを告げそうだった斜陽のジブリ帝國に些かの光が見えたような気がする。

借りぐらしのアリエッティ 内容について少し触れるならば、宮崎作品では「(物理的あるいは精神的に)親を欠いた」子供達が主人公になり、特に父親不在の子供が多いが、今回のアリエッティでは家族の物語、特に娘と父の絆が強く描かれる。

病弱の少年、に、「小人たちは滅びゆく種族だ」などと語らせるのは少々説教臭い気もするが…

映画全体の完成度はかなり高い。

エンディングの余韻もなかなか素敵なセンスである。


原作が原作だけに、派手なドンパチはないし、爽快な飛翔はないし、独特なスティームパンク風メカも出てこない。

小人視点のこじんまりした作品なのでスケールもこじんまりしているのだけれど…

コロボックルやティンカー・ベル…ピクシーや座敷童…そんな連中は…確かにいるのだからしかたがない。

借りぐらしのアリエッティ そうそう、音楽。
今回の作品はフランス人ケルト民族音楽歌手兼ハープ奏者セシル・コルベル(Ce'cile Corbel)

これがね、なかなか良いんだわ。

借りぐらしのアリエッティ
☆これ、一寸スケールが違うような気がしないでもない…(単3電池はサイズ比較用)


return目次へ戻る